第80話:ルル、ララに接触を試みる!そしてある提案を堂々と…?
そして次の日の朝、ダンテは
「ルル、仕事を探しに出かけてくる。身体が辛いなら安静にしておくといいよ。」
そう言って出かけて行った。きっと傭兵の募集がないか探しに行ったのだろう。ルルはというと、ダンテが出かけてから布団から出て来た。
「私も出かけるわ。用意して。」
そう侍女に詰め寄った。
「お嬢様…。お身体がお辛いのでは…。」
「あなたは私の言う通りにしていればいいのよ。」
そう言って無理に支度をしてまたもや王宮に押し掛けた。そして王宮に着くと何やら今日は騒がしかった。様子を見ていると何と!ララが来ているではないか!
〝ララが来てるだなんて…。これじゃあ鉢合わせしたらまずいわ…。〟そう思って馬車でそのまま待機していた。
どうやら第一皇子の婚約者として王宮の中の一部屋をララの為に用意されたというのだ。
〝何ですって?!〟ルルは顔を真っ赤にして怒っていた。そして暫く考えてから何かを思いついたようでにこやかになった。
「だったら、堂々とララの元に行って、そこで泊めてもらえばいいんじゃない!双子の姉妹なんだし!」
そう言ってかつらを着用せずにルル自身として王宮へ入って行った。
が、
もちろん、王宮の中の衛兵に捕まった。
「何をするの?私は第一皇子様の婚約者であるララの姉よ?!」
そう言って暴れていたのだ。
その話はララの元まで届き、ルルが保護されている部屋までララが出向いた。
「これは一体、どういうことですか?ルル。」
以前とは立場が逆だ。だが、ルルはそんなことはおかまいなしにララに詰め寄った。
「私はあんたの姉よ?一晩でいいから部屋に泊めてくれない?」
ルルの突飛な申し出にララは面食らった。
「出来るわけないでしょ?私にそんなことを許可する権限があると思ってるの?」
「出来る、出来ないじゃないのよ、泊めるの。私、あんたの秘密を知ってるのだから。」
ルルのその一言にララは一瞬、何のことかわからなかった。そしてララの耳元でルルはこう呟いた。
「ファモアーゼ侯爵子息様、第二皇子様ですってね?あなた第一皇子様と婚約してるのに、ただならぬ仲だと思ったわ。違って?!」
ララはドキッとした。彼とは舞踏会に何度か行っただけでそれ以上の関係ではない。だが、自分の中で彼への気持ちが大きくなっているのは確かだった。そのことがちょっとした動揺に繋がって、それをルルは見逃さなかった。
そして
「それに…。お父様の命令とは言え、私たち、入れ替わって試験までも受けたわよね?その件、ここで話してもいいのかしら?」
流石にこの言葉にはララも大きく反応した。これはララだけの問題ではなく、家門全体の問題にもなり兼ねないからだ。
「わかったわ。どうにかしましょう。ついてきて。」そう言って、衛兵には自身の姉であることを証明してルルを保釈した。
ルルはニヤリと笑ってララの後ろを着いて行った。
〝隙を見つけて入れ替わってやるわ。〟そう思っていたのだ。
そのあと、側妃の元にもルルが来ていたことが耳に入った。だが、側妃はその件に関しては特に問題視しなかった。それはルル自身が既に平民になっているから何か騒いだ所でどうにもならないことを知っていたからだ。
〝確か…。あのルルという娘は相当わがままだという噂があったな、しかも今はプラスタール公爵家のダンテの子を身ごもっているとか…。用心はしておくか。〟
側妃は側近に言ってララの為に王宮への引越し祝いとして花束を用意して届けるようにと伝えた。そして明日、自分とのお茶会に参加するように伝えるようにと伝言もした。何なら姉も同席しても構わないとさえ…。
〝一度二人揃っているところを見るのも面白いかもしれぬな。〟
側妃ドロシアはそう呟き、ニヤリと笑った。
ほどなくしてララに連れられてルルは王宮の中でララに与えられた部屋に辿り着いた。
部屋の中に入るなり、侯爵家や公爵家とは違う広さや豪華さにあっけにとられていた。
「何て素敵なの!ララ、いいわね、こんな素敵な場所で暮らせるんですもの!」
「ルル?何を言ってるの?私はここで暮らしたいだなんて思っていないわ。侯爵邸の方がずっと落ち着くわ…。」
そんなララに対してルルはムッとして
「何を贅沢なこと言ってんの?!私なんて平民扱いよ?それがどんなに大変かわかる?これから子供だって産まれるっていうのに!」
「え…?子供?」
「……………?!」
二人は顔を見合わせた。
「え?って…。あんた聞いてないの?」
「ううん…。何も。ただ、ダンテ様と婚姻が早まってダンテ様のお邸で過ごすことになったとしか…。」
「はあ────っ、あの狸じじぃ…!」
「ルル?お父様でしょ?あなたはあの父に大切にされてきたんじゃない…!」
「なぁ~~にが大切よ。あいつは自分のことしか考えてないのよ。いつだって。大切にしてるように見せて結局侯爵家の為になる事でしか私たちの事すら見てないんですもの。」
「……………。」
ルルはララの方を横目でチラっと見て
「あんただって犠牲者じゃない。」
「そうかもしれないけど…。」
ルルは大きくため息をついてララのベッドにドカッと座った。
「同じ双子なのにね、あんたは今まで苦労して、私はこれから苦労する。あんたはこれから幸せになるのに、私はこれまでの贅沢三昧のツケかしら?。皮肉なものね!」
「確かにそうかもしれないけど、言っても仕方ないわ。」
「ほんと、あんたのそういうところ、私嫌いだわ。いい子ぶって本音を言わないのよね。そんなんだったら私と交代してよ?!」
「……………?!まさか…!」
ルルはララを見てニッと笑った。
ご覧下さりありがとうございます。ルルは直接ララに会って打開策を考えようとします。そんな上手くいくわけないですよね…。




