第78話:王宮へ潜入するルル!
ルルは第一皇子のパドルの執務室へと向かっていた。
〝見事な庭園ね!これも全て上手くいけば私のものになるんだわ!〟ルルはそう思うと興奮してきて必ず上手くこなさなければならないと手に汗を握った。
そして向かっている途中で目の前からルシアンが歩いてくる。
〝…!あれはファモアーゼ侯爵子息?何?どうして宮殿の中をあんなに堂々と歩いているの?!〟
ルルは不思議に思った。そしてルシアンは前からララ(の姿をしたルル)が歩いて来たのに気付いた。
ルルはてっきりそのまま通り過ぎるだろうと思っていたが、
「ララ、どうしたんだ?何か忘れ物か?」
と声をかけられたのだ。
〝え…どういうこと?確かに舞踏会に何度か一緒に行ってたみたいだけど、そんなに仲が良かったの?〟
困惑するルル。そんな時に案内してくれていた侍女が
「第二皇子様…。ララ様はこれからパドル様の執務室へと向かわれる途中でございます。」と言った。
〝え…?第二皇子?────ファモアーゼ侯爵子息が第二皇子?どういうこと?!〟焦るルル。
「そうなんだね、ではまた。」
ルシアンは残念そうな顔をしてララ(ルル)に対してそう言った。
「……………。」 〝な、なに?この人のララに対する表情は……………?〟
「ララ?」
何も言わないララに対して疑問に思ったルシアンはララに声をかけた。
「あ…。ごめんなさい。では、また…。」
そう言ってお辞儀をしてそそくさと侍女に「行きましょう。」と声をかけた。
〝一体何なの?!これじゃあララはどっちの皇子に転んでも王妃になるんじゃない!なんであの子だけ…!!〟
ルルはララへの苛立ちを覚えながら最初の目的の通り第一皇子の執務室へと向かった。
ルシアンはそんな様子を見て不思議に思っていたが、人目もあったからだろうと思うことにした。
ルルは侍女に案内されてパドルの執務室に辿りついた。
「ララ様。着きました。」
「そう、ありがとう。」ルルはそう言って侍女は戻って行った。
パドルの執務室の前でルルはどうやって入ろうかと悩んでいた。
そんな時、中からドアが開き、パドルが出てきた。
「おや?君か。どうしたのです?」
ルルにそう声をかけた。ルルは咄嗟に
「いえ…。殿下の執務室を一度見させて頂きたいと思って…。」と答えた。
パドルは考えた。執務室へは関係者以外立ち入り禁止だ。いくら婚約したとはいえ、ララの事を信頼しているわけではないからだ。そしてそれ以前にさっき別れた時の流れからこの話にはならない。
「はは、それは私に会う口実、ということですね。いいでしょう。さっきは私も言いすぎました。」
パドルがそう言うとルルは二人の間で何があったかわからないが、ここは上手く合わすしかないと思って
「いえ、私こそ、生意気言ってすみませんでした。」
とパドルにお詫びをした。
「いや、君の言い分はもっともだ。君の立場からすれば後継者を残さないわけにはいかないだろうからね。」
ルルはこれに対して答えられなかった。どういう話をしていたかわからないからだ。
それはこの場合において最も適した対応だったのだろう。
「ああ、それだけ君を傷つけてしまったようだ。すまない。」パドルは再びそう言った。
そんなパドルを見てルルは思った。
〝ダンテもかっこよかったけど、皇子様の方が断然いい男じゃない!これは上手くやらないと!〟
そう強く思った。
「ここでは何だから庭園へ行きましょうか…。」パドルはそう言ってサッとルルに腕を差し出した。ルルはその腕を取って二人は庭園へと向いて歩いて行った。
「どうやら私たちが婚姻をしなければならないのは変わらないようです。君ともそれなりにやっていけるように仲を深めておこうと思います。」
「それは後継者も含まれますか?」
「……………?いえ。先ほどもお伝えしたように、私の意思は変わりません。私が言う仲を深めるとはお互いに信頼関係を積み重ねましょうということです。」
「そうでしたね…。」
そう返事をしたものの、ルルは〝タイミング悪っ!これだと皇子に迫ることが出来ないじゃない!〟と心の中では焦っていた。皇子に迫って既成事実を作ったように見せかけようと目論んでいたのにそれが出来ないことを知ってショックを受けた。が、同時にララが皇子からそう宣言を受けていたのかと思うと顔がニヤけてしまった。
〝私よりも優位に立ったかと思っていたのに、この仕打ち…。〟ララが自分よりも幸せでいるのが許せないようだ。だから婚姻しても関係を持とうとしないことに何故だか優越感を感じた。
「また来ます…。」
そう言ってルルはパドルにお辞儀をしてその場を後にした。パドルは〝結局何をしに来たんだ?〟という思いが過った。そして彼女を愛することは出来ないが、それなりに夫婦にはなれるだろうと思った。それがルルだったとは知らず…。
そしてルルは侍女が待っている場所へと戻って来た。
「お嬢様っ!」
「戻りましょう。」そう一言だけ言ってルルは馬車に乗り込んだ。
「はい。お身体は……………。」
そう侍女が言いかけたのでその侍女の口元を塞ぐようにして
「大丈夫!」と言った。
二人が乗った馬車は街はずれの家へと戻って行く。
ご覧下さりありがとうございます。今度はルルがララに変装して王宮へと乗り込みました。まさか変装してルルが乗り込んでくるとは思っていなかったため、周りはララだと捉えたようです。




