表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】助けた女の子が実は皇子だなんて誰が思いますか?!  作者: 慧依琉:えいる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/108

第66話:ルシアン、十数年ぶりに父王と直接面会する!



久しぶりに会う父王は普段目にする国王としての顔とは違ってルシアンには随分と老けて見えた。

〝父上…随分老けたな、僕が王城から逃げるように去る前からだから老けもするか…。〟ルシアンの中には複雑な思いがあった。


二人きりで会うのは久しぶりではあるが、一応表向きはファモアーゼ侯爵家の子息として王宮にも行き来していたし、舞踏会など行事ごとのたびに見かけはしたが、ルシアン自身、自分を守らなかった父親なので興味もなく遠目にしか見ていなかったからだ。


「どうした。私に用があって戻ったのではないのか?」


沈黙の中、口を切ったのは父王だった。ルシアンは唇をギュッと引き締めて、気合を入れて父に向かった。


「はい、私もそろそろ公の場に顔を出そうかと思っております。」


そうルシアンが言うと父王はルシアンをジロっと見てから


「何故その心境に至った?理由がない限り、お前はここには戻らんつもりであったであろう?」


そう、父王の指摘は鋭かった。彼の言う通り、ルシアンは最終的にはパドルが王位を継いでも構わないと思っていた。だが、パドルの聞き捨てならない噂を耳にしたので自分が王位を継ぐべきだと考えてもいたからだ。


ルシアンは忠誠を誓うかのように父王に向かって跪き、サッと顔を上げて王を真っすぐに見据えて言い放つ。


「パドルの婚約者候補のララ・クレハトール侯爵令嬢が欲しいのです!」


彼の目は真剣そのもので父王に対して一切の心の揺れがなく真っすぐに目を見ている。そのまま時が止まるのではないかと思った瞬間、父王の方が視線をそらし、


「何故だ?何故その娘なのだ?パドルに対抗するためか?」


とルシアンに問う。しかしルシアンはパドル関係なくただララを求めていたので


「いいえ、そもそも彼女は私と出会っており、私が将来を見据えてアプローチしておりました。パドルは面識すらありません。対抗するなどもっての外!しかもパドルにも心に決めた女性がいるはずです!」


父王に必死に説明するルシアン。父王はそんなルシアンに


「どちらが先であろうが、決めたことを覆すのは難しい。そもそも侯爵も了解を得ているのだぞ?今更破棄など出来まい。お前が今まで皇籍から離れていたのも原因ではないか?」


「それに関しましては私の不徳の致すところでございます。しかし!」そう言ったところで父王からのピシャリと止めの言葉が遮った。


「しつこいぞ!私が認めたことだ。パドルに何かあるならまだしも…。無理だ。引き下がれ。」


「……………っ‼」


ルシアンは悔しかった。何も出来ない自分が。悔しくて俯いてその場で立ち尽くしていた。そんなルシアンに無慈悲にも父王は言う。


「それから、公の場に出るのはいいことだ。この際だ。キチンと皆に認めてもらいなさい。」


「わかりました。」


そう言ってルシアンは父王の執務室を後にした。ルシアンの心臓はバクバクと音を立てていた。人生の半分以上を父ではなく、ファモアーゼ侯爵、祖父と過ごしてきたのだ。父とは言っても他人に等しい。


「ハッ、皇子だなんて言っても何も出来ないではないか!ララ嬢……………。力になれなくて申し訳ない。」ルシアンは暗殺に対してもそうだが、父や王位に対しても逃げていた自分を後悔した。

しかしどんなに後悔しても過ぎたことはどうにも出来ない。こうなれば第二皇子としてララ嬢を少しでも守る事が出来ないかを考えて行動することにしようと思った。そして隙あらば側妃を廃位させ、また、その息子であるパドルも廃位させればララ嬢を開放する事が出来ると思いついた。


だが側妃もそうそう愚かな真似はしないだろう。焦りは禁物だ。


久しぶりに入る自分のための部屋。有志によって清潔に保たれていた。いつでも使うことが出来る状態だ。


「王宮のみんな……………。」ルシアンは机や調度品を手で触っては有志のみんなに感謝した。


王宮では第二皇子が戻って来たと口々に伝わり、皇子を慕っていた者たちが集まって来た。


「皇子様。また再びお仕え出来て幸せです。」


皆が口々にそう挨拶をして、懐かしんだ。


「噂には聞いておりましたが、本当にファモアーゼ侯爵子息様が皇子様だったのですね。よくご無事で……………。」


「ああ、皆には心配をかけたな。祖父が今まで守ってくれていたからな。僕のために一線から引いたんだ。もうその地位に戻るつもりはないと言っていた。だが陰ながら力になってくれる。これからもまだ危ない事があるかもしれない、だが僕は僕らしく生きる事を選ぶよ。出来るだけ皆には迷惑をかけるつもりはないけど、よろしく頼むよ。」


ルシアンがそう言うと集まった者たちは「はい。ルシアン皇子様。」と返事をした。


ルシアンの目もうるっとした。皆の気持ちが嬉しかったのだ。



そして疑いたくはないが、この中にも側妃の手下になった者たちはいるはずだ。些細な情報でさえきっとどこからか伝わるだろう。ルシアンはまず、その者をあぶり出す計画を立てた。


〝すまない…、皆を疑いたくはないが、これも生き残るためだ。〟


ルシアンは複雑な気持ちだった。







ご覧下さりありがとうございます。今回、父子対面でしたが、父は相変わらずルシアンには興味がなさそうです。かと言ってパドルにも興味があるわけではなさそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ