第59話:シャルル対ダンテ!お互いに守りたい者!
隣がやけに賑やかになったことでララ達の席に兄のシャルル達がやってきたことに気付いたルル。そのうちに自分の席にも来るだろうと思っていたが、中々訪ねてこないことにイライラしていた。
ルルがイライラしているもののダンテは変わらずルルに話かける。
「ルル。年内に式を挙げるのだからいつにしようか。きっと君のドレス姿はとても美しいのだろうなぁ…。」
ダンテがそんな話をするものだからルルはご機嫌になった。
隣の席では「もうすぐ21時になるから最後のダンスを踊りに行こうか。」という話になって4人は席を立つことになった。そしてそのままルルの方には一切、目もくれずに中央ホールへと向かって行った。
〝……………え?〟 ルルは驚いた。完全に無視されたのだ。ララだって知ってるはずなのにシャルルに自分のことを言わないのも気に食わなかった。隣を見るとダンテは「え…?シャルルも一緒だったのか…。」とポツリと言った。
「ダンテ、気付いていなかったの?」ルルは不思議そうにそう聞いた。
「あぁ、今気付いた。僕は君しか目に入っていなかったからね。」そう言われるとルルもまんざらでもないようだった。少しご機嫌になったルルは
「ダンテ、私たちも踊りにいきません?」と誘うとダンテは「いいね。」と言ってルルに手を差し出して二人も中央ホールへと向かった。
そして曲が流れ始めて、お互いにお辞儀をしてダンスがスタートした。
シャルルとリアンヌのカップルも、ルシアンとララのカップルもとても楽しそうに踊っていた。それに引き換え、ルルはダンテが目の前にいるのにさっきとは違った感情でダンテの手を取っていた。ダンテもまたシャルルに声をかけてもらえなかったことに驚きを隠せていない様子だ。
そんな二人の心情とは別に21時を告げる鐘が鳴り、それに合わせて曲が終了した。今デビュタントを迎えた子息、令嬢はこのあと帰宅しなければならない決まりとなっている。
「残念ですね、侯爵邸までお送り致します。」ルシアンはララにそう言って手を差し出した。
「はい、お願いします。」ララはそう言ってルシアンの手を取った。
「ルシアン、ララのこと、頼んだよ。」そうシャルルがルシアンに声をかけ、そばにいたダンテにも「ダンテ、ルルのことを頼んだよ。」と声をかけた。
ララたちはニッコリと笑って会場を後にした。
シャルルから声をかけられたダンテは黙ってシャルルの方へと歩み寄った。
シャルルは〝何事だ?〟と思いつつ、ダンテの方を見ていたが、
「シャルル。さっきは気付いていたのに声をかけてくれなかったのか?」
ダンテがシャルルに向かって冷めた声でそう言った。周りにはまだ舞踏会を最後まで楽しもうとしている者たちが大勢いた。ダンテの声は比較的大きめなので意識してしゃべらないと普通に大声となってしまう。だから残っていた者たちは彼らの方に注目していた。
みんなの視線に晒される中、シャルルはダンテに
「どうしたんだ?いつの事を言ってるんだ?」と、あくまでもしらを切ったが、ダンテはカッとなって
「シャルルっ!」とシャルルの胸ぐらを〝ガシッ〟と掴んだ!驚くシャルル。
「待て!どうしたんだよ、お前らしくない!」ダンテに向かってシャルルが言うが、そこにルルが口を出してきた。
「お兄様の方が変でしてよ?さっきララ達と一緒にいたじゃない!隣に私たちが座っていたのに、気付いていないとは思えないわ。なのに一声すら掛けずにいたじゃない…。」
ルルのその言葉に回りがざわついた。今まではシャルルの普段の行動から一方的にダンテが絡んでいるのだと思いながら傍観していたのだ。だが、今のルルの発言で明らかに非があるのはシャルルの方だと皆が認識してしまったのだ。
「確かに気付いていたが、お前たちは自分たちの世界に入っていてこちらに気付いていなかったからな、邪魔してもと思っただけだ。他意はない。」
「……………本当にそうかしら?」
「ルルっ!」
「最近のお兄様はララばかりを可愛がっているじゃない!だから私を無視したんだわ。一緒にいるダンテ様でさえ…。」
ルルは悔しそうに震えながら言っていた。シャルルはそれが半分ルルの演技であるとわかっているが、ここでそれをバラしたところで家門の恥なだけで何も良いことはない。だからグッと堪えた。
「ルル嬢…。僕のことを思ってなんだね。大丈夫さ。僕は。だからもうやめにしよう。皆が注目してしまっているよ。」
ダンテがそう言うとルルも〝ハッ〟として周りを見た。瞬間、皆が視線を逸らす。
「……………。」ルルはその状況に呆れながら
「続きは帰ってからにしましょう。お兄様。今日はもう遅いから明日…。」
「ああ、わかった。」
そう言ってその場は収まった。そして曲が流れてきたので会場に残っていた人たちはその曲に合わせてまるで何事もなかったかのように踊り始めた。まだ中央ホールにいたシャルルとリアンヌはお互いに気まずそうに見つめあいながらもその場に立ち尽くすのも、そこから抜け出すのも無理なのでお互いに何も言わなくても互いの手を取り合ってダンスを楽しむことにした。
〝ああ、わかっていたよ。ルル達がいることは。だけど僕の中にもルルに対して守りたいという思いと同じだけ嫌悪感がどうしても沸いてくるんだ。大切な妹でありながら俺の大切な人間を傷付ける存在でもあるから…。だから俺が悪者になればいいんだ…。〟
シャルルはそう考えていた。そんなシャルルを見てリアンヌは目を細めて彼を見つめる。
ご覧下さりありがとうございます。勝気なルルにシャルルはどう挑んでいくのでしょうか。ルルに対しての自身の複雑な感情も…。




