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【完結】助けた女の子が実は皇子だなんて誰が思いますか?!  作者: 慧依琉:えいる


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第57話:苺のショートケーキのように甘い時間にはまだ遠い



曲が流れる。大理石で出来たホールを大勢のパートナー同士が相手とダンスを楽しんでいる。

そんな中、昨夜デビューしたばかりのララは、密かに人気はあるものの、素っ気ない態度でどこの令嬢からも敬遠されがちなルシアンと共にダンスをしていた。


ララも何となく周囲の令嬢達がルシアンに羨望の眼差しを送っているにも関わらずいつもサラリと交わすルシアンを見てきた。そして令嬢たちのルシアンに近づきたいのにどうしようかという躊躇するのも見てきた。だが、ララにとっては最初からルシアンは兄シャルルと変わらない位、普通の男性だったのだ。


〝どうしてかしら…。やっぱりルシアン様のあの瞳のせいね。どうしてもあのシアン色の瞳がシアンを思い出すのよね。シアンは今頃13歳かしら………。元気にしているのかしら。〟


そう思いながらララはルシアンを見ていた。それにルシアンが気付いて


「どうしたの?余裕が出てきた?」とララに声をかけてきた。


「いいえ、ルシアン様の瞳、とても綺麗なシアンですね。」


「………………‼」


ララのその一言を聞いてルシアンは驚いた。それはかつてのララが初めてルシアンに会った時に言った言葉だからだ。この言葉を言った人間はララで三人だ。一人は亡き母、もう一人は今は亡きララ、そして今目の前のララだ。



「そうですね、同じ言葉を昔、言ってくれた方がいたのですよ。」


「まぁ、そうですの?やっぱり皆様、同じことを思いますよね。」


ララがそう言った時、ルシアンはララを強く引き寄せた「……………!?」ララは戸惑ったがルシアンはララを見て悲しそうな顔で言った。


「いいえ、あなたとこの前お話したあの方だけなんですよ。」


そのルシアンを見てララは胸が痛む思いをした。


〝前に言っていた女性ということは私にとても似た女性のことね……………。〟



ララは目の前のルシアンこそが3年前に自身が助けたシアンだということに気付かない。それもそのはず。シアンは10歳の女の子だった。今年13歳になったであろう。それなのに

目の前のルシアンは20歳の男性だ。気付くはずがない。


また、ルシアンもどう見てもあのララが成長した姿にしか見えないが、ララの親であるポツトマ子爵が病死したと言った上にララのお墓まであったのだ。どうしても同一人物だとは辿り着かなかった。実際、ルルを知っているのだ。ララと同じ顔の人間が別にいるのを知っているのだから目の前のララもそういう別の人間なのだろうと思い込んでいた。



〝ルシアン様が冷めていると言う要因はきっと彼女の存在なのね。今もまだ大切なんだわ。きっと……………。それだけルシアン様はお優しい男性なんだわ。〟


ララはそう思ってルシアンを見て踊っていた。自身の胸の奥底に不思議な感覚を覚えながら…。




そして曲が終わり、二人は向き合ってお辞儀をした。


「このあとはどうしますか?」


ルシアンが訪ねてきた。続けて踊るのか、軽食を取りに行ったりするのかという意味だろう。だが、続けて踊るのは婚約者や恋人、夫婦だけだ。


「そうですね。休憩しましょう。昨日は軽食を頂き損ねたので見てみたいです。王宮の軽食はどれも素敵で美味しいという噂ですので、実はちょっと楽しみにしていたんです。」


ララはにっこりと笑ってそう答えた。ルシアンもにっこりと笑って「そうしよう。僕もよく頂くが美味しいのは確かなようだ。」と言った。


そんな二人を遠くから見ていた人たちが口々に言っていた。


「ルシアン様ってあんなお顔もなさるのね。」「あのクレハトール令嬢はルシアン様を独占して羨ましいわ。」「ルシアン様おひとりにならないかしら…。」


いつもの冷淡なルシアンとは違うので令嬢たちはこの機会にお近づきになりたいと思っていたのだ。


そんな令嬢たちの声がルシアンに聞こえていないわけがないが、彼はそんな声には一切反応せずにただひたすらララだけを見ていた。誰がどう見ても勘違いしそうなくらいに…。それが通じないのはララと、通じていても信じたくない令嬢たちだけだった。



ルシアンはそんな声が聞こえても無視していた。


「さあ、ララ。ここにあるものはどれでも自由に食べれるんだよ。僕が取ってあげよう。」


ルシアンはそう言ってお皿とトングを手にしてニコニコしていた。ララは男性に取ってもらうなんて………。と思って慌てて


「ルシアン様、私自分で取れますよ?」と言った。しかし


「こういう時は男性に任せるのがマナーだから気にしないで欲しい物を言ってくれたらいいよ。」


ルシアンはニコッリとほほ笑みながらララに言った。

〝マナー〟そう言われたらルシアンに恥をかかせるわけにはいかないのでララはルシアンに


「じゃぁ、あのいちごのケーキがいいわ。お願いします。」


と小さめの声で言った。きっと恥ずかしいのだろう。ルシアンは口角を少し上げて


「オッケー。」そう言っていちごのケーキを二つ取ってきた。


「二つも?」


ララが驚いてそう言ったが「大丈夫、ケーキが小さいから絶対に2つ必要になるから。」と笑ってルシアンは答えた。


確かにケーキ自体は小さい。3センチの正方形だ。一口で食べれるくらいだ。小さい形なのに苺一つがまるごとケーキの上にのっているのだ。


「今社交界ではこういう小さなケーキを何種類もお皿に載せてその華やかさをも楽しむのが流行っているんだって。だからあと何個か取って行こう。」


どうやらルシアンはこの状況を楽しんでいるようだった。それを察したララは


「じゃあ、ルシアン様のおすすめのケーキも載せて頂けますか?」と言ってルシアンの提案に乗ることにした。

二人は昨夜出会ったばかりとは思えないほど、とても自然に振舞っていた。





ご覧下さりありがとうございます。二人がどんどん近づいていく回となりました。早くお互いの存在を知れるようにしたいのですが、まだそれまでに書かないといけないことがあるのでもう少しじれったい二人をお楽しみ下さい。


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