第5話:ここが…私が産まれた侯爵家!
ゆっくりと走っていた馬車がどうやらクレハトール侯爵家に到着したようだ。馬車の扉が開き、手を差し出され、その手を取って馬車を降りるとララは驚いた!
〝流石侯爵家!子爵家とは全然規模が違うわ!ここが…私が生まれた場所?〟
侯爵家は子爵家の4倍もの広さがあった。まず、建物は白亜のごとく、門から正面玄関まで長く続く馬車道。そして正面玄関前には大きな噴水………………。サイドには薔薇の花を始めとする色とりどりの花たちが咲き乱れている。
建物も中央に大きく広く、サイドに円筒状に左右2棟があり、その大きさに圧倒されていたのだ。
「さあ、お嬢様。旦那様がお待ちです。どうぞこちらへ。」
サラマンがララにそう声を掛けた。
〝旦那様…、つまりお父様ということね。〟ララは緊張していた。
サラマンに付きしたがって通された部屋は侯爵の執務室だった。ここでもララは息を呑んだ………………。子爵家の大広間並みの広さだ。床は大理石で出来ており、カーペットが敷かれ、その上に素晴らしい調度品で出来た応接セットだ。
椅子に座って待つように言われ、そのまま待つことに…。しかし侯爵は中々現れなかった。フカフカの椅子が心地よかったのだが、段々と居心地が悪くなっていった。それは………………。
〝待っているって言ってなかった?……………産まれてすぐに外に出されただけあって、今も正直なところ歓迎されてないってことね……………。〟
ララの表情が曇った。辺に期待させられた分、そうでなかったことに悲しみが増してしまったのだ。
ガチャリ……………。
ドアを開く音がした。ノックもなしに扉を開けるということはこの部屋の主人、すなわち侯爵だ。
ララが立ち上がり、お辞儀をして出迎える。高位貴族への挨拶だ。
入室してきたのはどうやら一人のようだ。
ララのそばまで来て立ち止まる。
「お前がララか……………。」
そう言われララは顔を上げて挨拶をする。
「はい。私がララでございます。侯爵様にはご機嫌麗しく存じます……………。」
そう言ってカーテシーをした。
「うむ。座りなさい。少し話をしよう。」
ララは侯爵の言葉に促されて着席した。
「ずっと子爵家で育ててもらっていたから、貴族としてのマナーなどがどれだけ身についているのか心配ではあったが、それは大丈夫そうだな。食事の時もマナーを見させてもらおう。それから学問について、子爵領の学校に通っていて学年で1.2位を争う程だと聞いている。王都の学園とのレベルを比較してもそれだけ実力があれば上位10人には入るだろう。」
「……………。ありがとうございます……………。」
〝侯爵は何を言いたいのだろうか……………。〟
「今夜、食事の席でお前の家族に合わせる。これからのこともその後で決めるからまた後日詳細を伝えよう。部屋に戻りなさい。」
〝え………?それだけ?家族でしょ?元気だったかとか、どういう風に過ごしていたのかとか、そういうのはないの?〟
ララは驚いていた。13年ぶりの娘に対して何もかもが淡々としていたからだ。
「さあ、部屋に戻りなさい。」
「…………!わかりました。失礼します。」
侯爵に向かってカーテシーをしてその場を後にした。部屋を出るとサラマンが待っていた。どうやらララをこの部屋に案内してから侯爵を呼びに行って共に戻ってからここで待機していたのだろう。
「お嬢様のお部屋はこちらです。」
そう言ってララをその場から連れ出した。サラマンの後ろをトボトボと歩いて沢山の階段を登ってようやくララの部屋に着いた。食事の時間になりましたらまたお伺い致しますので、フォーマルな室内着に着替えてお待ちください。
そう言ってサラマンは侯爵の元に戻ったようだ。
部屋の中に入り、ララは驚く。
〝広いわ!すごく広い!子爵家の私室の何倍もある広さだわ。子爵家では身の回りをしてくれるメイドが数人いたけど、ここでもいるのかしら……………。流石に誰もいないってことはないわよね?〟
ララは室内の家具も見回した。
〝わぁ。凄い。価値はあまりわからないけど、こんな艶のある家具、見たことないわ。〟
そして窓に気付いた。近付いて、扉を開けてみた。するとララの目に沢山の光景が飛び込んできたのだ!
〝すごい!遠くまで見渡せるわ。さっき通ってきた門があんなに小さく見える!ここから見えるのは正門がチラリと、ほとんどがきっと裏山ね。森が見える!〟
それもそのはず。ここは4階なのだ。子爵家では2階までしたなく、ララの私室は2階にあった。
〝そう言えば…………さっき侯爵様の執務室は2階だったわね。1階は大体お客様用に作られてる所が多いから、2階が実務を行うお部屋ね。そうすると……………3階は侯爵様のための階になるのね。じゃあ、4階はお客様とか……………?まぁ、私は13年も放置されていたのだからお客様のようなものかしら……。〟
ララはこれから先のことが更に不安になった。娘として迎え入れたのではないのなら、今更どうしようと思っているのだろうか…………。そして色々と考えているうちに、子爵家がどうして裕福なのかも理解出来た。きっと侯爵からの援助金があったのだ。そして侯爵からの預かり子だから優しく接していただけで、そこに愛情はなかったということも……………。
ご覧下さりありがとうございます。ララは悲しい思いをしながらも冷静に自分が置かれている状況を探っています。どうして自分は違う所で育てられたのか。どうして今になって迎えにきたのか…。知りたいことが沢山あります。それなのに一切知る事が出来ず、モヤモヤしています。
さて、ようやく私の頭の中で登場人物が動き出してくれました。こうなると物語は勝手に動くので、あとはそれを文字に置き換えるだけとなります。
ドキドキハラハラしながら読み進めて頂けたなら嬉しいです。




