第41話:浴びせられた水が冷たいのか、言葉が冷たいのか…?!
侯爵にするどい眼光で睨まれて一瞬ドキっとしたララだったが、ここで怯えて言わないのは今後の自分の身の振り方が変わってくるからグッと堪えて勇気を出して侯爵に向かって言った。
「はい、困っております!ファモアーゼ侯爵子息様との仲が険悪でしたが、私知らなくて…。大変困りました!」
侯爵は驚いた。自分に歯向かうように立ち向かってきたからだ。
「ファモアーゼ侯爵子息?」
その場にはシャルルも立ち会っていた。
「父上、皇家と近しいファモアーゼ侯爵家ですね。」
「ふむ…。それはちょっとまずいな…。ルルにもう少し言動に気を付けさせろ。」
「はい、父上。」
「よい、もう休め、二人とも。」
シャルルとララは侯爵にペコリとして応接室を退出した。
そして二人で部屋に向かって歩いた。
「ララ、そんなにファモアーゼ侯爵子息とルルの中は険悪なのか?」
「はい…。私がダンテ様とファモアーゼ侯爵子息様のお二人のお話を聞いて笑っただけで驚かれました。今日の私は調子が狂うとさえ…。」
「それはあからさまにルルはルシアンを避けているということか…。何故だろう?」
「それは私にもわかりませんが…。今後どう対応してよいものかと…。」
ララはそう悩みを打ち明けた。
「わかった。俺からルルにもう少しルシアンに対する態度を改めるように言っておく。」
「よろしくお願いします。」
「うん、今日は疲れただろ?ゆっくり休め。明日一日、休みをくれてやる。自由に過ごせ。」
「はい、ありがとうございます。」
そう言ってそれぞれの部屋に戻った。
そして翌朝、一日休暇をもらったララは部屋でゆっくりと過ごそうかと思っていたが、何やら朝から騒がしい様子だ。
─────ドンドンドン!
「開けなさいよっ!ちょっとあんたに話がるのよっ!」
朝一から一番聞きたくない人物の声だった。
「ルル…?でも私は今日は非番だし………………。」
そう言ってもうひと眠りしようとした時、ドアの鍵が開けられる音がした。〝ガチャリ!〟
「─────!?」
ララは飛び起きた。またもや合鍵で侵入してくるのか?今日は確かシャルルは王城へ行ったはずだ。それを知っているからこんな強引な方法を取るのだろう。
とにかくルルにこんな姿を見られたらまた何を言われるかわかったもんじゃない!何か服に着替えないと………………。そう、ララはまだ眠るつもりでパジャマでいたからだ。
急いで着替えている所に乱入してきた。
「やだ!あんた何?その恰好!?まだチンタラしてたの?お兄様が今日休みにしたって、あんたには関係のない話よ。」
そう言って着替えてるララを突き飛ばした。
──────────ドンッ!!
「ハハッ!地べたに這いつくばった姿がお似合いね!私のダンテ様と昨日ずっと一緒だったのでしょ?どれだけダンテ様から甘い視線をその身に受けたのかしらね?私の婚約者なのに、やだわ、不潔!」
そう言って侍女にバケツで水を汲んで持ってこさせてララにかけるように指示した。
-─────バシャーン!!!
「キャッ!!!」
季節はそろそろ肌寒くなってくる時期だ。水もそれなりに冷たくなってきていた。
「あら?震えてるの?私のダンテ様を独り占めした罰よ?!こんなんじゃ私の気が治まらないわ!」
そう言って侍女にバケツを3杯持ってくるように指示した。ララは逃げようにも周りを囲まれて逃げられなかった。かばってくれる人物もこの邸にはいない。
侍女がバケツを持ってきて、次から次へとかけられた。
部屋中が水浸しだ。
「あぁ~ぁ、私のドレスの裾にもかかっちゃったじゃないの?着替えなきゃね。あんた、そこちゃんと掃除しとくのよ?わかった?!」
そうララに言い残してルルは侍女たちを引き連れて戻って行った。
ララは体中に浴びた冷たい水のせいでブルブルと震えていた。
「ふ…拭くものを…拭くもの探さなきゃ………………。」
しかし歩くたびに絨毯はララが受けた水が滴り落ちて濡れていく。それが気になったララは仕方なくその場に下着を含めて全部脱いで、髪を目一杯絞ってシーツを引っ張って身体に巻いて拭くものを探す。
何とか拭くものを探し出し、服も着替えて身に纏っていたシーツで水分を拭きとった。何度も絞ってはふき取ってを繰り返し、水浸しの絨毯を乾かさなきゃならないと必死だった。朝食を摂るのも忘れて………………。ずっと絨毯の水分を拭き取っていた。
その間、ルルにされたことが悔しくて仕方なかったが、ルルの立場になればそれはそれできっと悔しいのだろう。だけど、それはララには関係ないことだ。ララは家長の命令でそうせざるを得ないのだから………………。いや、元をたどればルルがしっかり勉強していればこういう事が起きなかったのかもしれない。そういう事がララの頭の中をグルグルと回っていた。
ご覧下さりありがとうございます。やはりルルの報復がありましたね。ララの中にはルルに対してまだ許してあげたいという気持ちがあるのでしょうか………………。




