第4話:明かされるララの生い立ち
どんなに悲しい事があっても、朝は無情にも誰にでも平等にやってくる…。
ララは泣きはらした目をこすりながら仕方なく荷造りする。だが、ララは何か持って行くものをと見ていたが、特に何もなかったのだ。本来であれば育ての親との思い出の品などがあるはずなのだが、ここにきて初めてそういうものが一切なかったことに気付いたのだった。
〝ふふ…。そうか、そういうことか。この日の為にそういう物を作らなかったんだ。初めからこの日は決められていたんだわ。子爵家で高い教育を受けられたのはもしかして本当の親の家が資産家だとか、上位貴族だからだとか、そういうことなのかもしれない…。生みの親だってどんな人間なのだか…!〟
ララの心はとてもすさんでしまった。
そして執事がララを呼びに来た。
「お嬢様、旦那様がお呼びです。」
「……………。」
ララは執事を見て
「……………。わかったわ。」
そう言って立ち上がった。
執事は泣きはらしたララの目元を見てとても心配している…。
ララはスタスタと歩き、応接間へと向かった。そして応接間に辿り着くと
「執事…。今までありがとう。」
そう一言だけ言って、応接間へと入って行った。
ドアを開けた瞬間、デジャヴのように感じた。子爵と子爵婦人、そして使いの者の三人が一斉にララを見たからだ。その突き刺さるような視線は以前一度経験がある。シアンとのお別れの、あの日だ。
〝シアン…!〟
ララは気を確かに持って部屋の中へと進んだ。
子爵が紹介する。
「こちらがララお嬢様です。」
そしてララに向かって
「ララ。こちらがお前の本当の家族であるクレハトール侯爵家からの使いの方だ。」
〝クレハトール?侯爵家…。シアンの使者と同じ階級の侯爵家…!〟
使者がララに向かって声を掛ける。
「ララお嬢様。お迎えにあがりました。私、クレハトール侯爵家の秘書をしておりますサラマン・フラモネでございます。今後、お見知りおきを…。」
「サラマンさん、私はクレハトール侯爵家の人間なのですか?」
「さようでございます。」
「では、何故!…今まで子爵家で育ったのですか?!」
ララは怒りでわなわなと震えていた。
「お嬢様、申し訳ございません。私の口からは何も言えないのでございます。まずは、お屋敷に戻り、ご主人様との面会をなさって下さい。」
流石侯爵家で秘書をしているだけあって、13歳の小娘が怒りをぶつけてきても堂々としていた。
ララは納得していないが、上下関係のある階級社会だ。言えないと言われたら絶対に言わないだろう。こうなると直接親にあって理由を聞くしかないと思ったのだ。
「わかりました。連れて行って下さい。私を…、私の本当の両親の元に…。」
サラマンはララに対して頭を下げ、そして子爵と子爵婦人にもお辞儀をしてその場を後にした。
ララは侯爵家の馬車に乗った後もずっと黙り込んだままだった。
サラマンはそんなララを見てポツリと言った。
「あなた様はもっと愛情たっぷりに育てられていると聞いておりましたのに…。」
その言葉を無視しようと思えば出来たはずだ。しかし、ララは今とても感情的になっていて思わず反応してしまったのだ。
「私だって…。昨日までは愛情たっぷりに育てられてきたと思っていたわ。まさかこんな…!」
ずっと耐えていたのだろう、ララの目からどんどん涙が溢れていった。
その様子を見ていたサラマンは
「あなた様が望むのでありましたら、子爵家への援助も打ち切り、破滅へと向かわせる事も可能ですが…?」
と言ってきたのだ。その言葉を聞いてララはゾッとした。
-貴族階級
今のララは侯爵家の人間になった、いや、戻ったのだから、そんなララを酷い目に合わせた子爵家をどうしようとどうにでも出来る立場になったのだ。
ララはふっと微かに笑って
「そんなこと、望まないわ。最後は手の平を返すようだったけど確かに育ててもらったんですもの…。」
サラマンはその言葉を聞いて
「わかりました。しかし、お嬢様、これだけは覚えておいで下さい。お嬢様はそういう立場の人間であるということを…。」
ララは遠い目で外の景色を眺めていた。
〝私はこれからどうなるんだろう…。13年も私の事を放置していた人が本当の家族だからって愛情を持って接してくれるのかしら…。そして私も愛情を持って接することが出来るのかしら…。〟
何もかも不安なララだった。
ご覧下さりありがとうございます。とうとうララの生い立ちが明かされていきます。これから先、ララに待ち受けているものは…?
次回もお楽しみに!




