第38話:白熱する議題!「王位継承」について触れる猛者がいた!
口を開いたのはルシアンだった。
「クレハトール令嬢、支援プログラムの発表会に参加してくれると聞いた。当日はかなり難度の高い話題も出るが、わかる範囲でいいから気楽に参加してくれたら嬉しい。」
ララは驚いた。主催者からそのような温かい言葉をもらえたからだ。
「ファモアーゼ侯爵子息様、ありがとうございます。正直、初めてのことでしてとても不安でした。私のような者が発表会になど、ご招待頂き身に余る光栄です。」
ララはそう言って軽くお辞儀をした。
「ハハ、何か今日の令嬢は調子が狂うな…。」
ルシアンはそう言って自分の頭を触った。
「ふふっ、そういう時もあります。」
と、ララは笑ってみた。その様子を見ていたダンテは
「ちょっ、そこまで!ルシアンも!ルル嬢は僕の婚約者なんだからね!」
そして三人で声を出して笑った。
「もう、ルル嬢、そういう優しさは僕だけにしてください!特にルシアンには駄目です!」
「ふふふ、わかりましたわ。ダンテ様。」
そう言うとダンテは笑った。
〝本当に素敵な方。ルルには勿体ないかもしれないほどに…。この方はどこまでルルの本性を知っているのかしら…。〟
ララはルルに騙されているであろうダンテの事が気の毒にさえ思った。ルルのダンテへの気持ちはあながち嘘ではなさそうだ。だが、あの気性の荒さはダンテにはどう映っているのか気になった。
そして月日は流れ、ファモアーゼ侯爵家主催の支援プログラムの発表の日がきた。
ララは今回もルルになりすまし、ダンテのエスコートの元、公爵家の馬車でファモアゼ侯爵家へと訪問した。もちろん、正式な場への訪問だ。婚約者なのでダンテとルル(ララ)の衣装は揃えて誂えていた。
「プラスタール公爵子息、ならびに婚約者のクレハトール侯爵令嬢のご到着です。」
会場はざわついた。プラスタール公爵子息、ダンテはここでの常連ではあるが、クレアトール侯爵令嬢、ルルは初めての参加だ。しかも前回のテストでは学年ランク、中の下だったのだ。それが今回学年3位という快挙!皆が注目するには好都合だ。
「本日はお招き頂き、ありがとうございます。」
二人でそう言ってお辞儀、ルルはカーテシーをした。
「よく来てくれました。今日は楽しむことを楽しんで行って下さい。」
ルシアンがそう言った。
ルル(ララ)はニッコリと笑った。そしてダンテのエスコートで席に着く。会場にいた他の客たちはルルの元に集まってきた。
「クレハトール令嬢、今回は学年3位おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
多くの人からそう声をかけられた。ここにいる人間は普段からルルとは接点がない人間ばかりだと事前調査で把握していたのでララは安心して挑めた。
「それでは皆様、お待たせいたしました!これより、支援プログラムの会を開催します。まずは高等科3学年の学年1位の方からお願いしまよう。」
そう主催者であるファモアーゼ侯爵家のルシアンは高等科3学年1位を呼び出した。
「まずは、ご招待ありがとうございます。私の課題は今後の王位継承について議題を投げたいと思います。」
一瞬会場がざわついた。一番ハードルの高い問題だからだ。そして誰もが無礼を恐れて口を噤む。そしてそれを察してか、
「はい、それでは意見のある方は挙手をお願いします。ちなみにここでの発言は無礼にはあたりません。有益な情報のみ通達させて頂きますので、その点は安心して挑んで下さい。」
ルシアンが補足した。
それを聞いて安心したのかどんどん手が上がっていく。
「今、次の後継者として二人の王子が候補となっているようですが、私共はパドル殿下しかお目通りが叶っておりません。しかしその殿下もあまりいい噂がなく…。」
「私もその噂を耳にしました。真偽のほどは掴めておりませんが…。」
「私はもう一人の王子が気になります。その方は今17歳でまだ成人として認められていないから公式的にはお目通りが叶わないと聞いておりますが、噂一つ出ていないのも気になります…。」
など沢山の意見が出そろった。
〝上位貴族でさえ、もう一人の王子の存在を把握していないの?じゃあ、この先の王位継承はどうなるの?〟
ララはソワソワしながら聞いていた。
「来年18歳を過ぎると第二皇子も正式に成人と見なされ、みんなの前に顔を出すだろう。それまでこの議論不適切じゃないか?」
と言う者まで出始めた。
「確かに、我等の今の情報だけではよりよい情報には繋がらないな。」
そこでみんなの熱が下がってしまった。
「はい、それではこの議題に関してはここまで。では、次は高等科3年2位どうぞ。」
ルシアンが次の議題へと話しを振った。彼は頭が切れるのだろう。すぐさま会場の雰囲気を察知してスムーズに会場の流れを変えたのだ。
呼ばれた2位の人もまずはお礼から述べた。
「私の議題は南地区への通路について投げかけたいと思っています。」
「おぉ、確かに南地区に行くには海岸線を回って遠回りをするしか今の所手だてがないからな。」
「一番近道が出来るのは樹海と呼ばれる森だ。ここは盗賊は出るわ、道が複雑で迷う人が多いわで皆が避けて通っているが、ここを整備すればぐんと近くなる。」
「そうだな、近くなった分、物資は早く届くし、その分安くなるだろう。」
皆が意見を出し合う。
〝これが学生たちの議論の場なの?まるで大人顔負けの会議のようだわ…。〟
ララは感心しながら聞いていた。いくら勉強が出来るからといってララがそこに加われる程の知識は何もなかったのだ。このままでは議題すら怪しい…。段々ララは不安になってきた。
隣に座っているダンテがその様子に気付いたかのようにララの手を握ってきた。
「ルル嬢、心配しないで。議題が過熱すれば持ち越しになるから、そうなると発表しなくても済むからね。」
そっと小声でそう言ってきた。
「ありがとうございます。ダンテ様。」
ララは少し安心した。そしてララを励まそうとしたダンテの思いやりに嬉しかった。
〝いつかルルとも和解出来る日がくるのだろうか…。〟
ララはそんな儚い思いを抱いていた。
ご覧下さりありがとうございます。今回気が付いた時点で2500字を越えておりました。どうやら私自身も白熱していたようです。
さて、いつもは2000字前後にまとめております。その分、今回はちょっと長かったと思います。お疲れ様でした。




