第36話:家族会議で発覚!侯爵家の危機…!!
ルルが帰宅してから侯爵邸ではファモアーゼ侯爵家主催の支援活動プログラム発表会の話になり、ララも侯爵の応接室へと呼ばれた。その際、シャルルもララに付き添った。
「どうしてお兄様まで…?」
「身代わりがバレたら全てがパァになるんだぞ?!それを理解してるのか?僕も話を聞いて協力するよ。ボロを出さないようにね。」
と、ルルに対してちょっと冷たい言い方をした。
「それもそうね。」
ルルは兄が少し冷た言い方をしていると思いつつも自分が身代わりを使ったからだと思ってスルーした。そんなルルとはたいしょうてきにララは侯爵に向かって睨みつけるように問う。
「私に拒否権はないんですよね?」
「そうだ。」
「では、詳細を頂けますか?それがないと当日困惑してしまいます。それに行動も把握しておきたいです。
ララは真剣な顔で侯爵にそう言った。侯爵は自分に対して堂々としているララに対し不思議な感覚を持った。
〝まだここへ来て数か月なのに、この変わりようは……………。これが元々この娘が持っていた気質というものか?!私はルルとこの娘を逆に扱っていたのか…?!〟
侯爵の目から見てもルルの方が圧倒的にララよりも劣る。立派な家庭教師をつけてこのざまだ。それに対してレベルも低い地方の学校に通っていてもルルと肩を並べても何一つ見劣りしない、その上学力は雲泥の差だ。
〝髪色なんかで選ぶべきではなかったのか?!〟
侯爵は心の中で自問自答していた。
目の前のルルは真剣に物事に向き合おうとするララとは違って文句ばかりだ。それに気付いた侯爵は思わずルルに対して口走っていた。
「ルル、もうお前に用はない。部屋に戻りなさい。」
実際、あまりにもルルがうるさかったからだ。ルルはビックリしながら
「ごめんなさい。お父様。お部屋に戻って休みます。おやすみなさい。」
そう言って応接間を出て行った。ルル付き侍女アイーダも一緒に出て行った。ルルが咄嗟に誤って即座に行動したのには父に怒られると面倒だからだ。
ルルが去ったあとの応接間は静まり返った。
〝ルル一人の存在感でこんなにも違うのね…。〟ララはそう思っていた。ララがそんな事を思っているうちに、シャルルは父、侯爵に質問を投げかけた。
「それで父上、支援活動プログラムの発表とは何をするのでしょうか?」
「あぁ、私も招待されたことはないのだが、学問に対して討論する場だと聞いておる。勉強が出来ない人間にはあの場は苦痛でしかないようだ。実際、少し見学させてもらったが、かなり難度の高い話が飛び交っていたよ。印象としては今の王室、王政についてと今後どのようになっていくか、みたいな話も出ていたな。この国の今の情勢は必須だよ。」
「そうか、ララ。優先順位を変えよう。まずはそれの対策だ。一月後、それまでにこの国のことをしっかりとララは覚えなくてはならない。あと、上位貴族が集まってくるのだから、顔と名前、特産物など覚える事は多い。」
「はい、シャルル。」
侯爵はシャルルとララのやり取りを見て、二人の間に信頼関係が成り立っているのだと実感した。そして今までしてきたララへの仕打ちを考えると疑問でしかなく、思わずララに質問していた。
「ララよ、お前はどうしてそう前向きに取り組もうとするのだ?!お前にとってはこの家を出る方が楽なのではないか?」
突然、侯爵がララにそう尋ねた。
「………………。それは…。」ララが答えあぐねているとシャルルが代わりに応えた。
「父上、それを父上が言いますか?!無理強いして何を今更…。それを答えたとしてララを解放するのですか?それとも正式にクレハトール令嬢として皆の前で紹介するのですか?!」
「……………………!! 」
「そうですよね、返事に困りますよね。しっかりとこれからの事、考えて下さい。あなたにはもっと人間らしくなって欲しいです。」
「お前は………っ、生意気な!」
侯爵はそう言ってシャルルを睨みつけたが、侯爵自身に身に覚えがあるせいか、それ以上言えなかったようだ。そして侯爵は別の事を語り出した。
「もし………………。今回、この場を上手く乗り切ったとして、その後はどうなるのだ?」
侯爵のその言葉にシャルルもララも〝ハッ〟とした。
学年3位の問題どころではない。正式な場での問答に受け答えしてしまった限り、いつ、どこでそれがなされるかわからないということだ。つまり、ルルは社交界に出る事が出来なくなってしまう………………。
「父上、この発表会よりもそちらの問題の方が大きいですね、どこかでキチンと正さなければなりませんね………………。」
再び応接間は静まり返った。
〝どこかで正す―これの持つ意味は色々ある。どれを選択するかで私の運命が変わる〟
ララは手に汗を握っていた。
そしてその言葉を発したシャルル自身も同じだった。社会的にどちらかが消えなければならない。ララを生かすか、ルルを生かすか………………。はたまた二人を生かす方法はないのか………………。
「とにかく、今は僕とララは発表会対策を行います。父上はこの問題に対して真摯に向き合って下さい。」
「あぁ、わかった。いつまでも身代わりが通用しない、ということだな。」
「そうですよ。そもそも何で身代わりなんて思いついたんですか?!絶対にバレるだろうに………………。」
「ルルの我儘だよ。一度でもいいから高得点を取って自慢したいって言ってな、そこでお前の存在を思い出して調査したのさ、」
「………………。」
「失望しました。父上。」
シャルルはそう言ってララの手を取って応接間を出て行った。
ご覧下さりありがとうございます。身代わりをするだけではどんどん済まなくなってきました。いつ、誰に、どのうような話題をかけられるか、それを答えられるかで身代わり自体がバレてしまう恐れがある、そういうことに気付いた侯爵。家族を顧みなかった罰が今、侯爵を襲っていると思われます。




