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【完結】助けた女の子が実は皇子だなんて誰が思いますか?!  作者: 慧依琉:えいる


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第33話:側妃、ドロシア・ド・スクラバの陰謀



ここは王宮のシベリアン宮殿。つまり、側妃であるドロシア・ド・スクラバの宮殿である。このドロシアはパドル・ド・スクラバ、つまりこのスクラバ皇国の第一皇子の母である。


〝パリ────────ン!〟


グラスが割れる音がした。



決して落としたという状況ではない。茶色の髪をアップにした側妃ドロシアは紫のドレスを身に纏い、気品あふれる姿をしている一方で、秘書からの報告を受けて激高していたのだった。つまり、グラスが割れる音がしたのは、側妃ドロシアが怒りをグラスに向けて投げつけたのだった。




「ドロシア様!落ち着いて下さい!」


「………………。ハァハァ…これが…落ち着いていられるか…‼」


まとめた髪が乱れるほど怒り狂っていたのだろう。おくれ毛がパラリとドロシアの顔に触れた。



「どうすればあやつを消すことが出来るのだ?!誰も彼も!無能ばかりではないか!これだとそのうちこっちの仕業であると証拠を握られるのも時間の問題だぞ!何をしている!」


「はっ。今回は失敗しましたが、次の手を仕向けておりますゆえ。」


「その言葉、何度聞いたことか…!」


「………………。」



ドロシアは窓に手をついて苛立ちを押さえていた。


「えぇい、やつの弱みでも見つけられればいいのだが、ないのか?!」


「はい…。縁談を持ち掛けてくるところもなければ親しくしている令嬢すらもありません。」


「パドル、パドルはどこだ!?」


ドロシアは先程までの怒りを抑え、溺愛する息子、パドルを呼ぶようにと指示を出した。



しばらくしてパドルがドロシアの部屋を訪ねた。




「お呼びですか?お母様。」


「そこに座りなさい。近頃のあなたの様子を聞かせて欲しいわ。」


そう言ってドロシアは椅子に息子を座らせた。パドルは剣の稽古をしていたが急いで抜けてきたようで少しだけ息を切らしていた。


〝またお母様は大した用事でもないのに僕を呼びつけたんだろうな…。〟


母の心子知らずとはよく言ったものだ。



「お母様、私はもう20歳になります。いつまでもあなたの一言で物事を投げ捨ててまで訪れているようでは私の信頼にかかわります。今後はおやめ頂けないでしょうか。」


「まぁ、それが母親に向かって言う言葉かしら?」


ドロシアはパドルを〝ジロリ〟と見て言った。

だが、パドルも負けてはいない。


「お母様!私は20歳です!小さな子供ではありません!今も剣術の稽古の真っ最中だったのです。他のメンバーにも師匠にも迷惑がかかります!」


パドルは呆れる母に向かって言った。しかし、その母としては自分が手を出さないと何一つ出来やしな癖にと思っているのだ。


「まあいいでしょう。それで?あなたは功績を挙げる為に何かしたのかしら?ルシアンは正妃の子というだけで有利なのですから、先手を打たなければいけませんよ?」


「お母様に指図されなくても私は私で力を尽くしますから…。話はそれだけですか?でしたら戻ります!」


「あ・待って…。パドル!」


ドロシアが止めようとしてもパドルは一刻も早く母の元を離れたいようでそそくさと母の部屋を後にしてしまった。



「もうっ!パドルは‼私がどれだけ気をもんでいるか知らないで呑気なんだから!」


と悔しそうにしていた。



一方、パドルはというと、〝上手く抜け出せてよかった。長いんだよな、お母様は。いちいち監視されてるようで息が詰まるよ。はぁ、ちょっと街にでも行って気晴らししてくるか!俺も大人だしな。ハハハ。〟


そう、ルシアンが言っていたように、パドルの女癖は酷かった。パドル自身、剣には興味があるようで真剣に向き合っているようだが、その時間を邪魔された反動なのか、母に呼ばれた後は必ずと言っていい程街に向かって酒場に入りびたり、女性を侍らせていた。その時の気分でそのまま姿をくらますこともあるようだ。一つ賢いのは皇子だということを隠して行っているということだろうか。女性たちもせいぜいいいところの貴族だという感覚でしかないのだろう。





そしてその頃ルシアンはファモアーゼ侯爵家に無事帰宅していた。

流石に侯爵家の中では毒殺や暗殺はないが、ルシアンが小さい頃はそういう事もたまにはあった。邸宅内の人員の入れ替わりもそのせいで激しかった。

その後、彼が大きくなるにつれて本人の対応能力がアップしたのが大きいのだろう。

毒については少しずつ耐性を付けていったようだ。


ルシアンは自室に戻り、窓を開けた。

空は既に星が出ていた。その夜空を眺めながらルシアンはララと過ごした約一年を思い出していた。


〝ララ…。君と過ごした一年は今でも鮮明に思い出せるのに、君はもう手の届かない所に行ってしまったんだね。君によく似た女の子が近くにいるけど、全然性格が違い過ぎてびっくりしているよ。最初あの子にあった時、君にそっくりだと思った分、とても残念だったよ。〟


その時、ルシアンが見つめていた夜空には流れ星が〝スーッツ〟と一つ、流れた。



〝あぁ、願い事を言えば本当に叶うのだろうか、だったら君に会いたいよ。ララ。〟


ルシアンの瞳からは涙が流れ彼の頬をそっと伝っていた…。




ご覧下さりありがとうございます。今回初めて、ルシアンを狙う側妃のお話を書きました。こうなると本格的に側妃とルシアンの話も進めていかなければならなくて、今、どうやってお話を進めようか、悩んでいたりします。が、書き始めると勝手に話が進んで行くので私にもわかりません。

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