第25話:ルシアンが暗殺者に狙われる理由
どことなく険悪な雰囲気になってしまったダンテ、ルル、ルシアン。とても居心地が悪く感じるルルはダンテに
「ファモアーゼ侯爵子息が大丈夫とおっしゃってるのだから私たちは行きましょう。」
と言ってダンテの顔を覗き込んだ。ダンテはルシアンの事が気になるが
「あぁ、本当に大丈夫だ。僕を気にしないで行ってくれ。その方が楽だ。」
その言葉を聞いてルルはちょっと〝ムッ〟となったが、ダンテの手前、言葉にも表情にも出さずにいた。
「わかったよ、気を付けてくれ。」
「ああ、悪いな。」
二人はそう会話をし、ダンテはルルの方に向きを変え、エスコートを再開する。
「ルル嬢、ではあちらのティールームへ参りましょうか。」
「ええ、そうね。ダンテ様。」
ルルはニッコリと笑った。ダンテは少しホッとした。
〝どうしたんだ?ルル嬢。この前は挨拶程度ではあったが普通にルシアンと話していたはずだが…。〟
ダンテは少し疑問に思っていたが、目の前のルルはいつものように無邪気なルルだったのでそれ以上あまり気にすることはなかった。
ルシアンはそんな二人の後ろ姿を見送って、〝ララによく似た顔立ちでララとは真逆な女だな。この前はさほど思わなかったが…。〟とルルのことを思っていた。
時々噴き上げる噴水の水しぶきを浴びながらララを亡くした悲しみの涙を隠して泣いていた。もうどんなに思ってもララとは二度と会えないのだと…。水しぶきは太陽の光を映してキラキラと輝いていた。その煌きが彼女の輝きを思い出させ、余計に胸が苦しくなった。
そんな弱り果てた彼を遠くから黒い影が見ていた。いつもならそんな気配に簡単に気付くルシアンだが、今はまだ気づいていない。
トボトボと歩いて馬を引き取りに行く途中、人並みが途切れたさびれた場所に立ち入ってしまった。
〝ハッ、しまった。ついボーっと歩いていたからこんなとこに来てしまった。引き返えさねば!〟
そう思った時だった。先程の黒い影がルシアンの後ろから切りかかろうとしていた!
瞬時にルシアンはその影を察知し、横に避けた。
「な…!」
振り返ると3人の覆面をした男たちがルシアンを狙っていた。
「へぇ、今日は3人がかりですか!」
「……………。」
覆面の男たちは言葉を発しない。身バレがしないようにするためだろう。
一人がルシアンに切りかかる!すぐさまもう一人も切りかかる。残った一人は様子を伺っているようだ。
ルシアンは華麗に身をひるがえし、彼らの剣捌きをかわしていく。様子を見ていたひとりがルシアンに切りかかりに来たのでルシアンはそいつの脚を蹴り、転んだ先に転がったそいつが持っていた剣を奪った。
二人の男相手にルシアンは剣を交わす!
そのうち、騒ぎを聞きつけて人が集まってきた。
「……………!」
一人の男が口笛を〝ピューッ〟と吹いた。それを聞いた残り二人はルシアンに一振りしたのち、その場から逃げ去った。
あの口笛は退散の合図だったようだ。
「……………。ふぅ、危なかった。油断したな、」
ルシアンはやってきた警備隊に拾った剣を預けた。そして状況を説明し、解放された。
ルシアンは表向きはまだ「皇子」として公表されていないため、「ファモアーゼ侯爵家の子息」という形で活動している。ファモアーゼ侯爵家はルシアンの母の実家だ。ファモアーゼ侯爵家には本当の子息が一人いるが、病弱でずっと屋敷内にいるため、誰も本当の彼を知らないのだ。しかもあまり長くはないと言われている。だからルシアンが彼を語っても特に問題は発生しないのだ。王宮とファモアーゼ侯爵家を行ったり来たりして生活をしている。
が、時々側妃側からの刺客により、狙われるのだ。普段護衛が付いているのだが、今日はララに会いに行くために護衛をまいてきたので一人だった所を狙われたということだ。騒ぎを聞きつけて人々が寄って来てくれたために何とか無事だったのだ。
〝ララのいない世界なんて無価値だが、パドルに王位を継がせることだけはしてはいけない。〟
ルシアンは悲しみの中、それでも国民の事を思うと自身の利益しか考えないパドルを王にすることは避けなければならないと考えているのだ。
パドルは側妃の子であり、ルシアンよりも先に産まれていた。将来の国王だと思われていた所に、ルシアンが産まれたために名声は全てルシアンに移ったため、側妃は暗躍を始めたのだ。
しかも側妃はパドルを溺愛するがために好き放題させてきたからパドルの女遊びも豪遊も全て目をつぶってきたのだ。
ルシアンの母は妖精だったのでルシアンを産んでから体力が徐々に落ちてほぼ寝たきりになってしまい、まだ8歳の時にとうとう亡くなってしまったのだ。
まだまだ母親が必要な時に亡くし、代わりに側妃がパドルと共に面倒を見るようになったようだが、ララ同様、凄まじい虐めにあっていたようだ。ルシアンの食事にだけ微量に毒を混入させ、食べなければ体罰が待っていた。それ以外にも側妃が気に入らなければ何かと理由を付けてルシアンを鞭で殴ったりしていたのだ。
ご覧下さりありがとうございます。ルシアンの過去が少しずつ明かされていきます。正妃の息子でありながら命が狙われ続けていること、父王が無関心であること、これからもっと明かしていこうと思ってます。
そして同時にララの悲惨な状況からどうやって這い上がっていくのか…。うまく表現出来ればいいのですが…。とにかく頑張って書いていきます。
応援して下さると嬉しいです。




