第14話:幼なじみ兼側近のふたり
ルシアンはシャルルと幼なじみである。つまり、ルシアンの本当の年齢は17歳なのだ。ララと出会った時は10歳の子供に姿を変えて暗殺者からの難を逃れたのであった。ルシアンの魔法は見た目年齢すらも変えられるのだった。
〝ララ…。久しぶりに君に会いたいな。ポツトマ子爵家に行けば君に会えるのだろうか……………。〟
ルシアンはふと、ララに会いたくてたまらなくなった。しかし、ララに本当の事を告げなくてはならないこと、そして王位継承の争いに彼女を巻き込んでしまう事への恐怖から会いに行くという決断が出来ずにいた。
〝本当に昨日の女性はララにそっくりだったな。ララは魔法が使えるわけでもないのだから、あり得ないだろう。彼女の瞳は深い青なのに、ルルという女性は赤だったのだから…。それにララならあんなにおとなしいはずがない。〟
ルシアンはクスっと笑った。そばにいたシャルルは「なんだよ、ルシアン。気持ち悪い。」と言って揶揄った。そんな時だ。ルシアンの執務室を誰かがノックした。
コンコン!
シャルルが対応する。
「ルシアン!」
入って来た人物は腰を押さえながらルシアンに近付いてきた。そう、ダンテだ。
「ダンテ。腰、相当痛そうだな。それなのにこんな所まで…。大丈夫か?」
「ああ。かなりマシにはなったよ。ありがとう。昨日のことを話しておきたくてね。」
「そんなことなら俺がそっちに行ったのに…。」
「……………?昨日?ダンテ、その腰はいつからなんだ?」
ダンテが焦りながらシャルルの問いに答えた。
「シャルル、すまん。実は昨日の君んとこの妹とのデートなんだが、ルシアンに代役を頼んだんだよ。」
「はぁあ?!」
シャルルは突拍子もない声を出して驚いていた。
〝昨日、デートしたのはララだ。気付くわけがない。だが、ルル本人であったら気付いたのだろうか?〟
シャルルはそう考えていた。
「バレるわけないじゃないか。俺の変身は見事なんだから…。多少、違和感があったとしても、まさか赤の他人だなんて誰が思うんだ?ましてや魔法なんて信じる奴がいるか?」
シャルルはルシアンの強気な発言に〝確かに…。魔法なんて使える人間はそうそういないのだしな、〟と、納得してしまったのだ。
「わかった、妹には内緒にしておくよ。あぁ、だからさっきおかしな事を言っていたのか…。」
「おかしなこと?」
ダンテがシャルルの言葉に突っ込んだ。
「いや、ルシアンがルルに合わせろってうるさかったんだ。面識がないはずなのにおかしいと思ったよ。」
「いや~、あれはだな…。」
ルシアンが何かを言おうとした時にすかさずダンテが言葉を発した。
「ルシアン!例えあなたと言えど、僕は彼女を譲る気は全くありませんから!」
ダンテのあまりにも熱のこもった言葉にルシアンもシャルルも黙ってしまった。
「俺の妹は幸せ者だな、ダンテ。悪いがあの我儘娘、よろしく頼むな。」
「シャルル、ルル殿のどこが我儘なのですか?とてもしおらしい淑女なのに…。」
「ハハハ…。」 〝まさか、家での態度を告げるわけにもいかないしな。〟と、シャルルは笑ってごまかしたのだった。
そんな彼らのやり取りを黙って見ていたのはルシアンだった。
〝ダンテはいいな。そんなに堂々と彼女を譲れないと断言出来るのだから…。俺は彼女に会う事すら敵わないのにな…。早く王位についてしっかりと土台を作らないと、相手が誰であっても狙われるという事実には変わりないのだから…。〟
ルシアンは目の前の〝王位争い〟に早く決着をつけて安定を図りたかったのだった。
ご覧下さりありがとうございます。ルシアン側の状況が少しずつ明らかになってきました。物語は徐々に核心へと迫っていきます。




