第11話:いじめの始まり…
エピソードの題名にもあるように、いじめのシーンが出てきます。注意して読み進めて下さい。
初めてのデート代行は上手くいった……………ようだった。その後、侯爵からもお叱りもなく、ララは安心していた。
「さあ!役目を終えたからと言ってお前の仕事は残ってるんだ!さっさと着替えて拭き掃除を始めろ!」
ダンテを見送ったあと、待ち構えていた侍女長にララはそう怒鳴りつけられた。
「はい…侍女長さま。」
そして着替えて用意をして拭き掃除の場所に向かおうとしていたそんな時、ルルと廊下で出会った。
「……………。あなたね、私の代わりにダンテ様とデートをしたんですって?」
「はい…。滞りなく出来たと思います。」
「……………!ダンテ様は〝わ・た・し〟の婚約者なの!色目なんて使ってないでしょうね?!」
そう言ってララを突き飛ばした!
ララはちょうど床掃除をするためにバケツを持っていたので、転んだ拍子にバケツの水が飛び散った!
「きゃっ!」
「大丈夫ですか?お嬢様!まあ大変!ドレスが染みになってしまいます!」
「ララ‼お前はなんてことを!ここを綺麗にしたら侍女長室まで来なさい!」
「はい…。侍女長様。」
ルルはララを見てニヤリと笑った。
「どんくさいから嫌になっちゃうわ!あんな人が代役だなんて、ちゃんと務まるのかしら本当…。」
ルルはわざと大きな声でそう言った。
「一体何の騒ぎだ!?僕の部屋まで聞こえてくるぞ!?」
そう言って部屋から飛び出してきたのはルルの兄、シャルル(20歳)だった。昨日遅くまで仕事で出ていた為、昼寝でもしていたのだろうか、機嫌が悪そうだった。
「お…。お兄様!」
ルルは慌てて兄にすり寄った。
「あの子が私にバケツの水をかけたんですの!見て!ドレスがこんなに…!」
そう言ってルルは兄にドレスを見せた。
〝……………。確かにドレスが染みになっている。が、言われないとわからない程度だな。〟
そして〝あの子〟に目をやった。
バケツの水をひっくり返してびしょ濡れになった床に這いつくばって本人も頭から水をかぶっていた。だが、何も言わず黙って俯いていたのだ。
「ルル……。この状況を見たら僕にはお前があの子に水をかけたようにすら見えるが…。」
「そんな事ありません!あの子が自分で倒れて、その時に私にも水がかかったんです。」
「わかった。ルル、新しいドレスを買ってあげよう。それで今回のことは機嫌を直してくれるかい?あの子の事は僕が罰を与えるから僕に任せてくれないか?」
「もぅ、わかりました。お兄様がそうおっしゃるなら。じゃあイヤリングも欲しかったから一緒に買ってね。」
ルルにはかなわないな~と言いながらシャルルはルルの頭を撫でて自室へと戻って着替えるように諭した。そして他の侍女たちも共に去って行ったその場にはシャルルとララしかいなかった。
「……………さて、本当の事情を説明してもらおうか。」
シャルルはそれまでの雰囲気とは違って鋭く今にもその視線で切られてしまいそうだった。ララは怯えてガクガク震えて
「わ……………。私が悪いのでございます!」
と、つい言ってしまった。
シャルルは大きくため息をついて、
「そんな答えを望んでいるわけではないのだよ。俺は!」
シャルルはしゃがみこんでその目線は床に座り込んだ状態のララと同じ高さになった。ララはまっすぐに見てくるシャルルがただひたすら怖かった。
「答える気がないのか。俺としてはお前をルルから守ってやったつもりだが?!」
「…………………………‼ 」
そこで初めてララはシャルルがララを守ったという事実に気付く。
「あ…、ありがとうございます!」
シャルルはニッと笑って指をパチンと鳴らした。どこからかシャルル専属の侍女たちがやってきて
「この娘を綺麗に仕立てて私の私室へ。」
そう言ってシャルルは自室へと戻って行った。侍女たちは静かにお辞儀をした。
ララは…シャルル専属侍女たちにシャルル用の風呂場へと連行された。
「あ。あの、さっき濡らした床の掃除がまだなんですが、先にあちらを片付けさせて頂けませんか?」
ララが思い切って声をかけた。すると、一人の侍女がこう言った。
「私たちはシャルル様にあなた様を綺麗に仕立ててお部屋へと仰せつかっております。つきまして、汚れてしまっている床は別の者が対処しておりますので、あなた様はどうか気になさらず、今は私たちにお任せを…。」
ララはびっくりした。〝あなた様〟と、言われたからだ。そして同時にこれから一体何が起こるのだろう?と一気に不安が込み上げてきた。
シャルルの侍女たちがララを磨き上げて、こっちの方が似合うとか言いながらドレスをあてがう。
ララはこれらの行為の意図がわからず不安や焦りが入り混じる。
ララは好きでダンテとのデートをしたわけではない。それなのにルルに目を付けられて虐められる。それを庇ってくれたかと思ったシャルルは一体何を考えているのか




