第105話:とうとう書状の内容を知るララ。ルルはララを追い詰める…。
ララが侯爵に呼ばれて訪ねた応接室にはルルが来て座っていた。ララはルルを見て驚く。ルルはララを見て不敵な笑みを浮かべていた。そして侯爵はララに
「お前も座りなさい。大事な話がある。そのまま立って聞くような内容ではないし、お前にとっては衝撃が大きいだろう。」
「……………?」
ララは不審に思いながらも父である侯爵の言う通りにした。ルルとは向かい合う形の座席位置だ。侯爵がルルとララの間に座り、二人は互いに向かい合っている。
ララは侯爵が何を話すのかドキドキしてながら話出すのを待っていた。
ルルは相変わらずララを見下すかのような仕草をする。
〝ここにルルが呼ばれてるということはどういう事なのかしら…。〟
ララが色々と考えていると侯爵が静かに話だした。
「実はルルが陛下から直接書状を預かってきたのだ。」
〝ルルが…?〟
驚くのも無理はない。ルルは確かに陛下、ルシアンから接近禁止命令が下されているのだ。近付けば命の保証はない。それなのにそんなルルに書状を託すなどと考えにくいのだ。
「その書状は誠の物なのですか?」
ララは思わず侯爵に尋ねた。
「ああ、私もそう思って確認したが、キチンと王家の刻印がある。確かな物だ。」
その言葉を聞いてララは愕然とした。
〝どういうこと?私がプロポーズを断ったからルルはもう王城に来ても関係ないということ?〟
そんなララの動揺におかまいなしに侯爵は話を続ける。
「この書状の内容が気になるか?ララ。」
侯爵がそうララに問う。〝もちろんだわ。〟そう思ってララは静かに頷いた。
「そうだろう。ここにはお前にも関係のある事が書かれている。」
「私にも……………ですか?」
「そうだ。私はお前にこの事実を言うのが辛い。」
〝────え?〟
驚くララとは対照的にルルは耐えきれなかったのか、席をバッと立ち上がり、
「はっ!何を今更仰ってるの?お父様。こいつのことも!私の事も!この侯爵家から追い出しておいて今更っ!」
侯爵に反論した。それはルルの正直な気持ちであろう。
「ルル…。お前はそのように私の事を見ていたのか?」
「そのようにって、実際そうですわ!醜聞だとか言って匿ってくれずにサッサと追い出したではありませんか?!」
「すまない。家門の長になるとそう簡単にはいかないのだよ…。」
侯爵は小さな声でそう言った。ララは〝家門を背負うことの大切さ、重大さを〟知っているつもりだ。悔しいが、食べることにも寝る事にも困らなかったのは事実で親の愛情というものが偽物だったというだけだ。
ルルはずっと甘やかされて育ったと思っていたが、実際には母親である夫人がルルを育てたようなもので侯爵自身は兄のシャルルと弟のビターの事しか頭になかったようだ。女であるルルの事は結婚という駒でしかなかったということをルル自身が感じていたのだろう。ララはそれはそれでルルも可哀そうだと思った。
だが、今はその話ではない。気持ちを切り替えてララは言う。
「お父様、どうかお話の続きを…。」
ララがそう言ってルルも怒りを収めてソファに座った。そして侯爵は話を続けた。ふぅーと深呼吸をして…。
「陛下がな、……………ララ、お前との婚約を解消してルルと婚約すると言ってきたのだ。」
侯爵は最初は躊躇っている様子だったが、一気にそう言い切った。それを聞いたララは一瞬何のことかわからなかった。
「え?」
茫然として聞き返していた。するとルルが
「だ~か~ら、最初からそうしとけばあんたも傷つかずにすんだのに!アハハッ!」
そう言って笑った。
〝どういうこと?どうしてルルと?ルシアン様にとっては私でもルルでもどっちでもよかったってこと?顔が同じだったらいいの?〟
ララはそうグルグルと頭の中で考えていた。かなりショックだったのだろう。違う家門の令嬢ならまだ納得出来たのだろうが、一番触れて欲しくない人物であるルルを望むと言われたのだ。
「本当に……………本当に………、そのように書かれているのですか?」
「ああ。だから最初に言ったであろう?ほら、この通りだよ。」
そう言って侯爵は陛下からの書状をララに手渡した。ララはそれを震える手で受け取り、内容を確認した。〝間違いない!ルシアン様の字だ…。〟それを確認したララはガクガクと手足が震えて指先から体温が無くなるかのような感覚に襲われた。
ルルはショックを受けているララを見て更に言葉で追い詰めていく。
「残念ね。あんたが陛下を拒絶したのでしょ?だったら私がもらってもいいわよね?クスッ。」
ルルの言葉がララに耳に、心に突き刺さる………。
「嘘よ………。だって昨日、待ってくれるって………。」
「あんた、それも否定したんじゃないの?そんなあんたに愛想が尽きたのでしょ、きっと………。私なら自分を拒絶した相手なんて絶対に待たないわ!」
ララは手に持っていた書状を落としてしまった。
「ふぅー、あんたそんなに動揺するくらいなら何であいつを拒絶したのよ?」
ルルは今度はララを説得するかのように声も言葉も変えて聞いてきた。
「だって…自信がなかったのよ。それに………。彼に迷惑をかけるんじゃないかって………。それが怖くて………。」
ララのその言葉を聞いてルルは深くため息をついた。
ご覧下さりありがとうございます。とうとうララはルシアンからの書状を目にします。ルルはララを追い詰めていきますが…。




