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第二王子は憂鬱~divine femto~ 学園都市ピオニール編  作者: 霜條
ゼノラエティティア暦35年10月1日 金曜日
12/146

11.『再会』と『新来』⑥

-回想中-

「ごきげんよう。楽しい余興(よきょう)をありがとう。――それで、あなたと後ろの仮面の殿方のお名前はなんていうのかしら」

 今まで離れたところにいたレティシアが妹のコレットと見知らぬ女性を二名を(ともな)って現れた。レティシアはコレットと同じく制服から召し変え着飾っており、豪奢(ごうしゃ)なドレスに身を(まと)い、華やかな色香を振りまいていた。

「レティシア姫、――こちらが蒼家に属する青龍商会のフィフス様と左翼様です。お二方、こちらの方たちがオクタヴィア女王陛下のご令孫で――」

 横に立っていたガレリオが間に入り、紹介をしようと口を出すも、

「左翼さまは仮面は外されないの? どのようなご尊顔(そんがん)をしているのか、とても気になるわ」

「彼は当家に伝わる修練の一環で面をつけおり、みだりに外すことが禁じられている。容赦(ようしゃ)願いたい。」

「あら残念。――ま、ミステリアスな御仁は嫌いでなくてよ」

 あまり残念そうでない様子のレティシアは、満足そうに二人を上から下まで見ていた。

「お礼が遅くれたけれど、弟の危ないところに駆けつけてくれて本当にありがとう。――私はアストリッド、こちらは末弟のエミリオよ」

「フィフス、兄さまを助けてくださりありがとうございます」

「礼には及ばない。それに彼の侍従が怪我を負った。もう少し早く駆け付けられればよかったんだが、力及ばず申し訳ない。」

「……、アイベルが……」

「命に別状はないし、普通に会話できるくらいの元気はあったから深刻なことはないかと。彼が早く治ることを祈っている。――あと、幸いにも王子は無傷で連れ帰ることができた。」

 波乱を経たディアスの話題になり、姉弟たちが心配だったり安堵だったりの表情を浮かべてこちらを見上げた。自分も何か言おうと口を開けた瞬間、レティシアと一緒に来ていた女性二人のうちひとりがフィフスの腕を引き、少し離れたところで何やら彼に問い詰めていた。

「……あなた、殿下に失礼なことしなかったでしょうね?」

「たぶん。」

「多分じゃないわよ……! 自信を持って否定できないことをしたってこと?」

「失礼をした覚えはないが、当人が失礼だったと言えば『失礼をした』と言えるだろ、王子に確認しろ。」

「――リタ、なんか誤解を生む話になってる気がするから、いったん落ち着こう、ね?」

「あらディアス、何か言えないことをされたの? 詳しく教えて頂けないかしら」

 三人のやり取りに興味を持ったレティシアが、きらきらとした表情で催促している。この従姉(あね)姉弟(きょうだい)とは違った意味で好奇心旺盛で困る。一気に賑やかになった周りに気圧されながら、今までのことを振り返ってみようとするも、あまりにもいろんなことが詰まりすぎていて考えがまとまらなかった。

「……彼には、よくしていただいたので、別に失礼があったとかは特に――」

「――蒼家(そうけ)小童(こわっぱ)ども、来い」

 女王の場を割る声が響き、用件は伝えたとばかりに(きびす)を返し会場を後にしていった。叔父たちと何か話し合っていたようで、話が終わったであろう叔父とヴァイスが共にこちらへ向かっていた。

「お仕事の話だって。行く前に簡単に紹介だけしておくね――、こちらがグライリヒ陛下の弟君であらせられるヨアヒム殿下。そしてレティシア姫とコレット姫のお父君でもあるよ。――ヨアヒム殿下、こちらがフィフスくんと左翼くん。――この二人はあの『貴院(きいん)解散の神勅(しんちょく)』に携わっていた子たちさ」

「……あれを? こんな子供が――?」

「あはは、あそこはご当主さまがお若いからねー。他の子たちも若くて優秀だから困っちゃうよ。――さて、あとは僕やガレリオくんたちがやっておくから二人は行ってらっしゃい。また後でゆっくり話せると思うしね」

「――失礼します。」

 胸に手を当て一礼するとフィフスは左翼を(ともな)い、待機していた侍女に案内されながら姿を消した。

「……あら、コレットのこと、紹介するの忘れていたわ。ごめんなさいね」

 レティシアが今更ながらつぶやき、自分の妹に謝るも、機嫌が悪そうにぷいと彼女は顔を(そむ)けていた。

「――あんな不遜(ふそん)な人に紹介する名前はないわ」

「もう、あなたってお子さまなんだから」

「ご、ごめんなさいコレット様――」

 はじめにフィフスに怒っていた女性が慌ててコレットに謝罪するも、レティシアが首を振って彼女を制していた。

「彼らの仕事についてみんなに伝えておきたいことがあるから、いったん場を変えてお話しようか。――殿下はどうする? 先に休んでるかい?」

 軽い調子でヴァイスは『どうする』と尋ねるも、彼の、――長期休暇を取っているはずの東方天が身分を隠し受けている仕事の内容となれば気にならない訳もなく、『聞かない』という選択肢があるだろうか。

「一緒に聞こう――」

 予想がついていたであろう返事に満足そうな笑みを浮かべている姿を見ると、踊らされているような面持ちがして面白くなかった。

 休んでいいと言っておきながら、まだまだ自分を振り回すつもりらしい。

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