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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
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宰相マトバ

 サモル国の宗教は、昔ながらの精霊信仰だ。それとは別に魔法が使える偉人が多い国なので、現人神も信心している。 

神社の神さんは、全部、昔生きていた人たちだ。王家は、神社を使って、政策を民に広めていた。政治のことを祭り事というのは、ここからきている。


 ローマン王国もそう。もし、エマが聖女になったら、いきなり神さんに祭り上げられるのだろう。もう、その兆候が出ている。サウザンド魔法学園にエマのファンクラブができたとか。あの丁寧な話し方と優しい表情は確かに癒される。


 いつも昼食は、オレ、レジーナ、エマ、オビト、フレイで食事をしている。ロイスも加わればいいと思うのだが、いろいろ立場が微妙なようで、貴族のあつれきに負けて、姫が呼ばないと遠慮してしまう。


「ダークさん、ヨハンが会いたいそうです。美味しいお茶とお菓子を用意して待っているそうですよ」

 エマから何気なく話を振られた。


「いいけど、どこに行けばいいんだ。オレ、ヨハンさんがどこに住んでいるか知らないんだけど」

 アマンダにヨハンとエイギル少佐たちの住居を探してって頼んだのは、オレだけど、頼みっぱなし。


「週末も、お城にいるわよ」

「私たちが、オスカー様に風魔法を習うので、一緒にいてくれるそうです」

「ヨハンさんだったらそうか」

「グリーン様ともお話したいみたいですし」

「分かった、行くよ」


 週末、城に行くことになった。


 流石、国の中枢を担う建物。とても立派で、門前払いされるんじゃないかと思ったけど、そんなことはなく無事城に入れた。学生服を着て来てくれと言われていたので、衛兵が目印にし易かったのだろう。


「ヨハンさんに会いに来たんですけど」

「名前は?」

「ダークです」

「よし入れ。ヨハン様は、城を通り越して、宮殿の方にいらっしゃる。右回りで行きなさい」


 表の城は、仰々しい。迎賓館や謁見の間になっているのだろう。宮殿に行くと、玄関で、ヨハンが待っていた。


「おおダーク殿、待っていましたぞ。ささ、こちらに」


 衛兵にヨハン様と呼ばれているわりには腰が低い。


「それにしても広いっすねー」

「国としての対面がありますのじゃ。どこの国もこんな感じですじゃ」

「エマには会いましたか?」

「あんなに一生賢明な姫様は、久しぶりですじゃ。魔法練習場に絵を何気なく飾っておきました。今は、グリーン様が見守ってくださっております」


 流石、エマに甘々なローマン王国。


「それで今日は?」

「ダーク殿に会いたい人がおりましてな。私は、その取次ですじゃ」


 ・・・出たよ。なんで、軽くだまされるかな、オレ。

 もう扉の前まで来ていた。引き返せない。


コンコン「ダーク殿を連れてまいりました」


「どうぞ、入ってください」


 部屋は、軽い打ち合わせか、休憩所なのだろう。髭を蓄えた偉そうな人が、ソファに座ってお茶を飲んでいた。


「マトバさんですじゃ」

「ダークです」


「よく来てくれました。座ってください。今日は非番です」


 だまされて、ここまで、のこのこ来たんですけどと、思いながらソファに座った。


「君がダーク君ですか。一度会いたいと思っていたんですよ。ヨハンさん、お茶を」

「かしこまりました」


 物腰柔らかそうだし、なんとなく話しやすそうな人だなと思う。


「今日来てもらったのは、シーナ様のことをどこで聞いたかということと、どこまでかかわる気があるのか聞きたかたっからです」


 ブワーと、冷や汗が出た。そう言われて、マトバとは、サモル国の宰相。つまり、国のNO2じゃないかと思いだした。


「そういう事でしたら、マトバさんと、アウグスト伯が繋がっていると思っていいですか」


「ものすごく肝が据わっているんですね。今の話は、王にもレジーナ様にも内緒ですよ」


 王は知らないと。


「でも、レジーナは知ろうとしていますよ」

(多分海王経由で。ポー王国に行きたいのはそれもあるのだろう)


「その時は、その時です。レジーナを守ってくれるのでしょう」


「出来る範囲で」


「それで、先ほどの答えは?」


「シーナ様のことは、越国屋の店主、加奈に聞きました。加奈が言うには、亜人の古い家の人だったら誰でも知っているそうですよ」


「そうですね。彼女には、感謝しています。フィールドインとスラムの治安は、彼女たちのおかげですから」


「もう一つの方は答えにくいですね。情報が少ないですから」

 もう一つとは、皇帝とシーナ共謀説。


「情報は、少しづつ増えているんでしょう」


「だからです。レジーナに付き合っていると、もっとハマりそうな気はしますね」


「そうでしょうとも。レジーナは、オールドソウルを持っていますからね」

 オールドソウルとは、古からの王家が民を宝だと大事にしている心。


「嬉しくないんですけど。オレの望みは、故郷の両親と仲の良いヒポポ族やリュイ族と、楽しく暮らせればよかったんです」


「帝国を倒せばそうなるじゃないですか」


「そうでしょうか。シーナ様を奪還するだけで、十分じゃないですか」


「今は、そこまでなんですね。分かりました」


 マトバは、シーナが主犯だと知っているかもしれないと・・。

 それにしても、普通に話しているだけで、全部情報を引き出されちゃったよ。

 短い間に会見は終わったと思う。


「お茶を持ってきました」


 ・・・ヨハンさんに、時間を引っ張られた気がする。流石、やり手の執事。


「部活の方はどうですか。まさか天体観測部に入るとは思いませんでしたよ」


 こりゃ、学園の話は学長から。ヨハンからは、グリーンやエリーやドロイドの話も聞いていると思っていいな。


「ヒパティア先輩は、黒金を錬金できる人です。レジーナやエマに作るって約束したゴーレムは、錆びるのを極端に嫌うんです。黒金を融通してもらう条件が天体観測部の入部だっただけで、幽霊部員ですよ」


「ヒパティア?。ああ、帝国の子女の。それより、自動で動くゴーレムは気になりますね。自動で動くゴーレムのことをドロイドというんでしたね。確かBD2」


「BD2は、二人に 仕える執事ドロイドです。翻訳特化ですので、良く喋ると思います」

 ヒパティア先輩の秘密は深く知らないと。


「ああ、すいません。ヨハンさん、姫たちを見守ってください」


「すいませんですじゃ」


 ヨハンが嬉しそうに出て行った。


「ヒパティアさんの事は、どこまで知っていますか」


 やっぱり調査済みか。

「皇帝の認知されていないお子だと、本人から聞きました。本人は、帝国から離れて清々しています」


「そうですか。レジーナとエマ、そしてヒパティアさんを守れと言うのは酷な話ですが、どうか、お願いします」


 そう言われて、頭を下げられた。


「出来る範囲で」

 この人も、王家の人達と一緒で、平民を見下さない。


「BD2が来れば、私もグリーンさんと話ができるのでしょう」


「そうです。彼らは光属性です。BD2を作るドロイドは、MR1って言うんですが。彼は、もうエリーとグリーンの声が聞こえますから」


「エリーさんとも、交流があるんでしたね」


「交流って言うかルームメイトです。毎日話していますよ」


「彼女を大事にしてやってください」


「エリーを知っているんですか?」


「この惑星。バースの生き字引みたいな人です。学園にいたんですね。帝国に我が国が侵食される前は、良く王家に顔を出していたそうですよ。まだ、この国にいてくださったのですね」


 何歳だよ、エリー。

「そんな年には見えません。お姉さんって感じですけど」


「さすがです」


「BD2が、王家に行ったら、私も行こうかしらって言ってましたよ」


「その時は、ぜひ、マトバも会いたがっていたと伝えてください」


「分かりました」


「今日は、いい話が聞けた。私は、ヒルデガルド孝行〈嫁孝行〉をしないといけませんから帰りますけど、ダーク君はどうします。姫たちの練習風景を見ていきますか」


「やめときます。後で教えるからって言われていますから。先にいろいろ知っちゃうと怒ると思います」


「お互い大変ですね。では、衛兵に送らせましょう」


 頭がいい人と話すと話が早くて助かる。帰って、関係者には、今の話をリークしようと思う。

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