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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
25/37

新たなギルド

二部開始

ダークは、グラン森林の唯一のレンジャー。サモル王国とローマン王国王家の先祖一族の青年だ。一部は、この森でサモル王国の姫を救ったところから物語が始まる。

ポートレイの沖合には、人魚の王国がある。ダークは、ポー王国のポセイドン王に、サモル王国とローマン王国王家の姫二人をポー王国に連れてきてほしいと言われている。300年絶たれていた国交を回復したい。その為ダークが動き出した。

 4月の終わりの週に、やっとリュウト達が、フォレスト山脈から帰って来たので。週末は、スラムに行くことにした。


「赤鼻は、付いてこなくていいんだぞ」

「それがですね。あっしは、姐さんが、加奈一家を立ち上げてから入った新参者でして。海産物問屋からの古株みたいに、商売ができないんで。それも、闇ギルドが無くなったでしょう。フィールドインもスラムも平和になっちまって。暇で暇で」

「アウグスト伯の帝国の嫁が、ガップの代役を立てると思うぞ。備えた方がいいんじゃないか」

「そうですが、更生させるやつは、まだ寝た切りです。後は、俺みたいのばっかりが残っちまって。自慢じゃないですが、俺らバカですぜ」

「赤鼻は、そうでもないと思うけどな。いっそフィールドインとスラムを仕切るギルドでも立ち上げたらどうだ。体を持て余しているんだろ」

「そいつはいい。姐さんに言って見ます。ですが、今日は、ダークについてく」

「好きにしろ」


 オレが王都を出たら、どこで聞きつけたのか、赤鼻がフィールドインからついてきた。


 スラムを突っ切って、海岸の洞窟まで行く。ここにリュウトの師匠で、はぐれ竜騎士のシドと相棒竜のブルーがいる。 ブルーは、海中に潜ることができるブルーワイバーン。

 オレと赤鼻は、軒のトンテキ屋で、これでもかって言うぐらいトンテキを買い付けて、洞窟にやって来た。

 飯も3升持ってきたけど、竜は、ものすごく食うからな。トンテキも竜から見たら生姜焼きみたいなもんだろ。


「ちわー、王都の方からやってきました」

「俺は、スラムで」

「リュート!、久しぶりだな」


「待ってたよ」

「なんだ、赤鼻も来たんか」とシド。


「なんだはないだろシドのおっさん。見ろ、トンテキの土産だ。すごいだろ。なっ、ブルー」


 カオーーーン


 赤鼻の奴、ブルーと仲良かったんだ。


「リュート、相棒は?。オレも友達になりたい。トンテキ、いっぱいあるから食ってもらいたいんだ」


「レッド、こっちに来い。ダークが来たぞ」


 カーオン、カーオン

 ドッガーン

「ワハハ、レッド。元気にしてたか」

 カーオン、カーオン


「こいつ赤くないか」


「北のメトセラ山脈生まれなんだ。」

 カーオン、カーオン。ゴフッ。

 バーーーーーッ

「ウオッ、あぶな。こいつ、火を噴いたぞ」

「すまん、こいつ魚嫌いで、食べさせるとゲップがひどいんだ」

「ワハハ、リュートともあいさつしないとな。元気そうじゃないか!」

「久しぶり」

 二人でがっちり手を組んだ。

「レッドワイバーンだもんな火を吹くか」

「赤鼻、詳しいな」

「こいつは、北の山岳地帯の竜でさ。シド、なんで、ブルーの眷属じゃあないんだ」

「赤鼻の疑問はもっともだ。リュートが、フォレスト山脈を越えたいって言うんだ。それで、西アルプスに向かたんだがな。なかなかリュートの相棒になってくれるのがいなかった」

「それで、北のメトセラ山脈まで行った。ダークと一緒に商売したかったからな」

「ありがとう相棒」

「それで、こいつは、なんて言うんだ?」

「レッドだよ!」

「レッド、トンテキ丼だ、食え」

 カオーーーン

 ガツガツ。

 赤鼻がレッドをかまう。

「レッドは、オオカミワシに連れ去られた卵だ。ワシとブルーで救った。巣に卵をかえしに行くと、両親が、ちゃんと育ててくれるなら連れて行ってくれてかまわないと言ってくれてな」

「卵が孵るまで、おれたち、ずっと巣にいたんだ。レッドは、オレとブルーと師匠の事も家族だと思ってる」

「そういう事なんだ。赤鼻、ダーク」

「いいな、それ。レッド、リュートをよろしくな」

 カーオン!

「それにしても、食うな」

「今、魔海獣の漁を教えているところ」

「魚嫌いだけど、魔海獣なら食うからな」

「そうなのか。赤鼻、早速仕事を振っていいか。金貨5枚出すから、レッドの飯。魔海獣を調達してくれ。これは仕事料だ。仲間を使って交代でいいぞ」

 そう言って、別に金貨1枚出した。こういうところは惜しまない。

「へい、承りやした」

「ダーク、いいのか」

「先行投資だよ。少しは狩れるんだろ」

「ぼつぼつだ。そうだなレッド」

 カーオン

「リュートよう。今が成長期だぞ。すぐデカくなると思うぜ。早く漁を覚えさせろよ。金貨5枚なんてすぐなくなるぞ。魔海獣の肉を持ってくるけど、ブルーが獲る魚にも慣れさせろ」

 カオーーーーーン 〈ブルーもそうだと言っている〉

「わかったよ赤鼻。ありがとうダーク」

「すまんなダーク、赤鼻」

 ブルーもオレ達に顔を近づけて、親愛の情を見せた。


 こうして、赤鼻もレッドと仲良くなった。


 この後、加奈のところに行く。加奈は実家の再興をしている最中だ。実家は、以前フィールドインで海産物問屋を営んでいた。ニッチの船団も、ここに魚を卸していた。今までは、魚を捌き切れないで、それでも何とかしようと、アマンダが船団の奥さんたちとボルケーノで、魚スープを1日中煮込んでいた。オレたちや向かいの旅館ベアーズは寂しくなるが、元のさやに納まるのはいいことだ。

 アマンダが割り込んできた。

「ちょっと、辞めるみたいなことを言うのは止めて」

 これからも、魚スープを煮込んでくれるそうだ。

 ニッチの船団は、張り切って漁をすると言っていた。しかし、そうなると、ここ10年で増えた魔海獣の駆除が問題になる。いろいろとやることが多いと、ニッチが言っていた。多分、シドとブルーの竜騎コンビが活躍するのだろう。リュートとレッドの早い参加が望まれる。


 加奈の店。越国海産物問屋は、以前、海や川の宝石も扱っていた。今は、アウグスト騎士伯爵に、宝石の産物ルートを完全に取られているが、そんなの人の世界の話だ。これも、細々と再開すると言っていた。多分、そこで、件の伯爵ともめる。ツインが、伯爵家の収入源のことは、王都に潜入してずいぶん調べている。この件では、加奈が力を貸せと言っている。断る理由がない。アウグストを、大手を振って潰せるのか、闇に紛れてつぶすのかわからないが、大賛成だ。


 越国海産物問屋に行くと、みんな目茶目茶忙しそうにしている。力仕事の人足がもっと必要だと思うが、フィールドインやスラムの治安も大事だと、赤鼻たちは、閑職に追いやられていた。この件を何とか姐さんに話して下せえと赤鼻に言われている。スラムの加奈邸にギルドを立ち上げて、加奈一家は、事務仕事に専念すれば、閑職をしている力自慢が、本店の人足になれる。そっちの方が向いているから、みんなそうしたいと加奈に言ってほしいと言われた。

「何でオレが」と、聞くと「姐さんは、ダークを買っているんです。ダークは偶々かもしれやせんが、姐さんの実家が戻った。みんな、感謝しているんですぜ」と、言われた。



「と、言うわけなんだ。スラムの加奈邸で、冒険者ギルドをやってみないか」


 加奈がキセルをポンと叩いて灰を落とした。


「悪くない話だねぇ。なんでこう、うちは、馬鹿ばっかり集まったんだか・・。赤鼻!」

「へい」

「お前が言い出したんだ。お前がギルドを立ち上げな。事務職なんか、雇えばいい。信用できるお前さえいればねぇ」

「そんな、姐さん。あっしは、ここに来れないんで」

「報告に来りゃいいだろ。ついでに、魔海獣の処理もギルドに任せるかねぇ。いい海産物の入手ルートができたじゃないか」

「赤鼻、お前が言い出したんだ。あきらめろ」

「チッ」

「お前、舌打ちしただろ」

「姐さん、ツインの兄貴に助けてもらいたいんですが」

「済まないが、そりゃあ無理だ。ツインは、ここの元番頭だよ。全部の実務は、ツインしかわからないんだ。いまじゃあ大番頭だ。ここを離れさせるわけにはいかない」

「そうですかい・・」

「そう落ち込むこともないよ。なんで、私に頼まないかね。私が時々顔を出すから、心配するんじゃないよ。事務員の募集もあたしがついてる」

「本当ですかい」

「私たちは、元々そんな仕事をしていたじゃないか」

「そうでした。カー、みんな喜ぶぞ」

「急に元気になったな」

「ダークも遊びに来い。飯ぐらいおごるぞ」

「さっき舌打ちしてたくせに、調子いい奴だ」


「店主、遅くなりました」

 ツインは、完全に海産物問屋の番頭に戻っていた。

「忙しいところをすまないね。ダークに、アウグストのことを話してあげなよ。赤鼻もよく聞くんだ」

「へい」

 ツインが肩の力を抜いた。

「ふー、ダークさん。本当にありがとう。やっと、本業に戻れました」

「楽しそうだもんな」

「ですが、アウグスト騎士伯爵がいる。これを何とかしないと、越国海産物問屋は、いつまた、先代のような目に遭うかわからない。力を貸してくれるんですよね」

「まかせろ」

「私もねぇ、つい先日ツインから聞いたんだけどね。大変だよ。今まで黙っていたわけもわかるけど、一人で抱え込まないでおくれよ」

「すいません」


 ツインが襟を正した。


「ダークさんが、普通の15歳じゃないと、私も店主も感じています」

「あっしもだ」

「ですから話します。帝国は、人魚姫を人質にしている。姫は聖女だ。それもただの聖女じゃない。どんな方法を使っているか知りませんが、彼女がいると、寿命が延びるんです。現に帝国の皇帝ジャジーラは、300歳を遠に超えている。我が国は、以前、人魚国とも親しかった。アウグスト伯は、最初、ボランティアで、人魚や魚人を助けていた。それで、帝国の監視の目が入った。最後は、利用されて今の有様です」

「入学式の時にアウグストを見たけど、見た目は、ポテッとした人の好いおっさんに見えたよ」

「そういう人だったんです。今は、帝国の言いなりです。いくら奥さんが帝国の子女だからと言って、ここ迄、変わった人を知りません」

「皇帝の話は、私らの間じゃあ有名だよ。と言っても、家が古くからから続いている、うちみたいな家に限られるけどね」

 おれは、二人の話を聞いてため息をついた。


「はーー、聖女シーナの話だろ。それ違うから。サモルとローマンが恭順しているのは、聖女が帝国の人質のせいだと思っているだろ?。実際そうなんだが。真実は、聖女シーナが首謀者だからな。この話は、まだ表に出さない方がいい。帝国が侵略戦争を始めるぞ」


「どういうことだい!」

「何を知っているんです!」


「シーナの故郷は、ポー王国だろ。オレは、そこのポセイドン王と知り合いなんだ。シーナと皇帝のジャジーラが共謀してポー王国の至宝ライブクリスタルを盗んだのが事実だ。ライブクリスタルは、生きた賢者の石だ。ライブクリスタルの力を使えば、命を長らえさせることができる。皇帝とシーナが3百年生きているのは本当のことだよ。だけど、本当に人質になっているのは、ライブクリスタルのライトだ。ライブクリスタルの真の価値をサモル王国もローマン王国も知らない。帝国にポー王国との国交を切られたからね」


「詳しく聞かせてください」

「そうだよ」

 頷く赤鼻。三人とも前のめりになった。


「ライブクリスタルは、意識がある賢者の石だ。意識があると言ってもアイテムだ。使えば減る。この賢者の石を作れるのは、強力な光と闇属性を持った特殊な人間だけだ。ライトは7000年ほど前に作られたんだったかな。その英知を持ってる。でも使えば減る。皇帝とシーナは長生きしたかった。だけど、3百年も使えばどうなる」


「賢者の石が減るねぇ」


「オレも、そういう仮説を立てた。ポセイドン王は、懐疑的だったけどな。そこで、故郷のポートレイのバザールに、ライブクリスタルが出たって偽情報を流したんだ。そうしたら、3日もしないうちに帝国商人が、その噂を調べに来た。そいつら、大げさに調べて行ったよ」


「つまりなんですかい。オレらは、嘘の話で、差別されているんですかい」


「そうとも言えない。言っただろ、聖女どころじゃない。7千年も生きている海の賢者の石が人質だって。だからと言って、海の一族は、手を出せない。大陸のそれも内陸奥深くにいるシーナとジャジーラを糾弾できないでいるんだ」


「内陸ですからね」

「それで何かい。サモル王国とローマン王国は、真実を知らされないまま3百年も帝国に恭順しているのかい」


「どうかな。オレはその時12歳のガキだったから、国同士の話まで首を突っ込んで聞いていない。知っていても王室関係者だけだろ。どうせ、今の状態を変えられないんだから。ただ」


「ただ、なんだい?」


「ここに来る前、竜宮城のポセイドン王に挨拶にいったんだ。その時、ローマンとサモルの姫をここに連れてきてくれって言われた。そろそろ国交を回復したいそうだ」


「なるほど。・・店主!」

「そうだね。うちも、ポー王国のルートを復活させたいねぇ」

「姉さん、兄貴。どういう事です」

「ポー王国とは、商売していたんです。越国屋が復活した以上。また、ポー王国と商売するに決まっているじゃありませんか」

「問題は、アウグストだろうね」

「どういうことですかい」

「アウグスト騎士伯爵は、海のサンゴや川の翡翠を加工して帝国に流しているでしょう。通商ルートがかぶるかもしれないんです」

「なるほど」


「それより当面の問題だろ、ツイン」

 加奈がぴしゃりという。

「そうですね。詐欺師を逃がしたのは痛かったです。普通なら、アウグスト騎士伯爵の海産ルートと、うちの海産物の宝石ルートが被らなければ、細ぼそとでも始められたんです。アウグストは、海産ルートを持っているわけじゃあありません。でも闇ギルドと懇意にしていた詐欺師が、海産ルート全てを把握しています。今でもそうでしょう。詐欺師が海産ルートを持っているはずです。ですから、今は手が出せない」

「素材の仕入れは、闇ギルドが動いていたってことだね」


「闇ギルドは、ほとんど討伐したんだ。その代わりがいるとは思えないんだが」


「その通りです。だからといって、詐欺師が持っている海産ルートを伯爵に用立てることがあっても、簡単に伯爵に渡すとは思えない」


「生命線だからな」


 みんな頷く。


「今までの帳簿はあるでしょうがそれだけです。詐欺師さえ葬れば、裏ルートを構築するのは難しくありません」

ポツリ「殺すってことですかい」

「詐欺師は、当分表に出てこないよ」

「姐さんの言う通りです。手詰まりだ」


「方法はなくもない。ツインが協力してくれたらだけどね」


「何でもやりますよ」

「私じゃダメなのかい」

「あっしもいます」


「悪いけど、ツインだけ夜中に学園に来てくれ。学園に忍び込めるのはツインだけだろ」


「そうだけど」

「仕方ない、あっしは無理だ」

「それで、何をすればいいんですか」


「ちょっと、頭の中を覗かせてもらえばいいんだ」


「えっ」

「それって、どういうことだい」


 面倒くさい話だが、MR1が、オレの頭の中を覗いて学習している話をした。

 赤鼻は、最初からさじを投げて、お茶を用意しますと部屋からいなくなった。加奈とツインは、真剣にオレの話に耳を傾けた。


「つまり、私の記憶から詐欺師の面や行動パターンを取り出すってことですね」

「MR1は、記憶から、詐欺師の動きを予測できるんだ。人って言うのは、実は、そんなに行動パターンを変えられない。獣が、同じ道を歩いて獣道ができるように、詐欺師もそう動く」

「そんな予測が、ゴーレムにできるのかい」

「オートマータだよ。MR1は、そのうち動く端末。つまり子を作るんだ。そうなったら、加奈にも紹介するよ」

「そうして」


「皆さん、話は、終わりましたか」


「赤鼻、逃げるなよ」


「知っているでしょ、俺がバカなの。お茶と菓子を持ってきやした」

「気が利くね」

「兄貴は、荷頭が呼んでいましたぜ」

「じゃあダーク君、夜中の正午でいいですか?」


「そうしてくれ」


 後は、加奈の商売の話やスラムに立ち上げるギルドの話になった。

北の魔森に接しているダラス辺境伯領。ここに鬼人族の里がある。

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