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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
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加奈一家出入り1

 加奈一家に、4人の新人が匿われることになった。加奈は、ボーロに難色を示したが、赤鼻が、自分が面倒を見るからと、熱心に加奈を説得した。オレとツインは、いいところがあるじゃないかと、赤鼻を見直した。

 モウは、鬼人族のハーフ。加奈は鬼人族。加奈一家に加わるなら、鬼人族の名前に変えなと、加奈から『猛』という名前を貰った。読みは、相変わらず、モウなので、何ら変わりがないと思われるが、鬼人族の中ではそうではない。「モウ」は、鬼人族の「猛」になった。オレにはわからない感覚だ。モウは、泣いて喜んだ。 


「姐さん、ボーロファミリーのアジトを家探ししましょう。いろいろ貯めこんでいるでしょうし。死体も、あのままにしておけない」

「ダーク、派手にやったね」

「まだまだだ。1人逃がしたのは、わざとだけどね」

「夜の襲撃が思いやられるよ」

「100人だろ。オレ一人で十分さ」

「幹部を逃がすわけにいかないだろ。じゃあないと、帝国が絡んでくる。どうなんだいツイン」

「うちは総出ですかね。私は、フィールドインの掃除ができて、清々します」

 暗ギルドは、人族も絡むので、フィールドインにある。

「私もガップだけは許せない。この際大掃除するよ。悪いけど、アマンダにも、このことを話してくれるかい。ツインは、面識あるんだろ」

 ガップは、闇ギルドのギルマス。

「ニッチ達にも一枚かますんで」

「そうりゃそうさ。うちだけ頑張って、あいつらに楽させる気はないね」

「アマンダのところって、夫婦二人じゃないの?」

「あそこは、地下の運河に船を持っているのよ。本職は漁師よ。それで、情報網も構築してる。使わない手はないだろ。私は、ガップも、闇ギルドの幹部も逃がす気は、これっぽっちもないからね」

「そうなんだ。わかった」

 それで、いつも新鮮な川魚が大量に手に入るんだ。

「オレ、一度学園に帰って、夜抜け出すよ」

「そうして。服と仮面は、こっちで洗濯しとくから。ほんとにもう、血だらけにして」

「姐さん、かいがいしい」

「うるさいね」



 夜中にエリーを起して、「これから闇ギルドの大掃除に行く。朝までには帰ってくるから」と言って出掛けた。大掃除というのは、闇ギルドのメンバーを皆殺しにするということだ。それがわかっていてもエリーは何も言わずに、「気をつけて」とだけ言った。


 サウザンド魔法学園の鉄柵はとても高い。今のオレの浮遊術では到底飛び越えられない高さだ。だが、元々精神統一で、体を少しだけ浮かせることができる。念動力の手を伸ばして、鉄柵の天辺をつかんで乗り越えた。


「ダークさん、お疲れ様」

「ツイン」

「俺もいますぜ」

「赤鼻。いいのか、こんなところまで来て」

 赤鼻がニヤッと笑いながらリュックサックを差し出した。

「夜ですからね。姐さんがこれを」

 リュックの中身は、黒の衣装に仮面。

「城壁の近くまで行って暗河にはいります。そこで着替えてください」

「アンガの臭いは、きついっすわ」

「分かるわかる」


 エビデンス教会を越えて城の側面に行くと、城壁の近くに大きなマンホールがあった。赤鼻が見張り、ツイン、オレとマンホールに吸い込まれる。

 暗河から出て着替えたいが、運河の方は、明かりがついていた。夜中に光の魔法使いが、運河灯を点けて回っているのだろう。夜中に荷物の出し入れをする市場の連中も、もう動いている。その後は、早朝の仕事をする連中が出てくることになる。漁士の朝だって早い。飲食店もそうだろう。まだ静かだが、運河は動いている。


 運河に出ると、小舟の船団がオレ達を待っていた。


「よう、ダーク。俺のお下がり、似合っているじゃないか。帝国の犬をぶっ潰しに行くんだって」

「ニッチ!」

「へぇ、この人がダークさんで。仮面かぶってら」

「バルトロ、お前、会っているだろ」

「そうなんで?」

「ニッチさんお願いします」とツイン。

「任せろ」

 ニッチは、船乗りだった。朝いないのは、深夜から、早朝にかけて働いているせい。


 ニッチの船団に、加奈一家が何人か乗ってる。闇ギルドの奴らが、水路から逃走するのは無理だろうなと思う。



 王都やフィールドインやスラム街は、全部、澄み音川の右岸にある。左岸は、本当に王都の対岸の街なのかというぐらい寂れている。レジーナが言うには、左岸は、魚人たちを中心に栄えていた町で、広大な湿地帯では、天然の稲作が行われていて、それはもう、風光明媚な所だったと聞かされてたと言っていた。左岸は、人より異人種の方が成功しやすいのに、人族で開拓しようとして大失敗したところだ。スラムやフィールドインに魚人や人魚が多いのは、対岸の街の末裔が、故郷を離れないから、こうなっているのだろう。


 闇ギルドのアジトは、川からずいぶん内陸に入った。それも、スラムに近いところにある。闇ギルドのギルドマスターは、蜥蜴人のガップ。蜥蜴人と言ってもカエルに見えるぐらい太っている。太っているので、地上での動きはゆっくりだ。だけど、水の中は、それなりの動きをする。以前は、運河に入ってくる魔魚を駆逐するというまっとうな商売をしていた。だが、フィールドイン主催の小舟で競争をするドラゴンレースの賭けの元締めをやりだしたころから、暗い仕事をするようになった。ドラゴンレースは、いつもボルケーノのニッチのところが優勝する。それが、ある時、蜥蜴人の船が優勝した。証拠はないが、人族の貴族とガップが組んで、工作をした結果だ。この時ガップは、大儲けした。そのころから、ガップは、何でもするようになった。


 闇ギルドは、こういう成り立ちがあるのだ。内陸にギルドがあると言っても、そこまで運河が来ている。ガップは、未だに運河で後ろ暗いことをして儲けている。


「ガップが、アウグスト騎士伯爵と組んでいるのは、間違いない。でも、しっぽをださない。出しても、その尻尾を切っちまう」

「コーホー、尻尾を切るって?」

「そいつを殺して、口を封じちまうってわけだ。アマンダがずいぶん調べてくれたんだがな」

「コーホー、コーフー、それで、情報屋みたいなこともやっているんだ」


 闇ギルドへは、運河を使って向かう。その小船の中で、ニッチに、闇ギルドのギルマスとの因縁について聞かされた。


「アウグスト騎士伯爵は、何して儲けているんだ。なんか嫌なことがあるたびに、こいつの名前を聞くんだけど、コーホー」

「アウグストは、魚人や人魚に、川や海の宝石で、工芸品を作らせて帝国に売ってる。宝石は、サンゴとか真珠や翡翠だ。最初は、ボランティアみたいな感じで、やっぱり同じことをしていたんだが、今は、搾取しているって感じかな。あの人の嫁がなー帝国だから。あの人がおかしくなったのも、ガップと同じ時期だ。帝国の嫁が来たころだ」と、赤鼻。

「儲けた金で、騎士爵を買ったんだろ。もう帝国にどっぷりだろ」と、バルトロ。

「相手は、貴族様だ。大っぴらには言えんがな。変な話が多いんだよ。宝石とか」と、赤鼻。

 バルトロは、赤鼻のところのナマズと友達。だから赤鼻とも結構話をする。

 ツインが、話しに割り込んだ。

「あれでしょう。アウグスト騎士伯爵の宝石工房から、見たことのない宝石が出たって話」

「猫の目みたいな宝石だろ。儲かりそうだと思ったから出どこを探したよ。蜥蜴人族が、流したってところまではわかったんだ。翌日運河で、そいつの死体が見つかったがな」

「その宝石を見たいな、コーフー」

「それが、全部消えたんです」

「コーホー、コーフー、なんで?」

「分からん。どうでもいいけど、仮面を脱げよ。コーホー、コーフーうるさい」とバルトロ。

「エリーが身バレするなって言うんだ。このままいく」

「いいけどよ」


「親分、そろそろですぜ」

「ダーク、どうするんだ?」

「手前で降ろしてくれ。正面から行く」

「得物もないのに?」

「なんだかすぐ切れなくなるんだ。敵のを使うさ」

「私もご一緒します」

「俺もだ」

「お前ら、くそー、俺も付いていく。バルトロ、後は任せた」

「へい」


 出入りのメンバーは、ダーク、ツイン、赤鼻、ニッチに決まった。

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