表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
21/37

ボーロファミリー2

 ツインの部屋に踏み込んだが誰もいない。争った形跡もない。

「ツインがいない。まだ帰っていないんじゃないか」

「そんなことはない。兄貴は、外出するときドアに鍵をかける」

「クンクン、ちょっと待て、兄貴以外のにおいがする。それも3人だ。においが、はっきりしている。こいつら、さっきまでいた。ボーロファミリーが来たんだ」

 赤鼻が、怯えた目をおれに向けた。

「大丈夫だ。ツインに依頼主を吐かせるまで殺しはしない。ボーロファミリーの居場所は知っているか」

「知ってる。だから俺が、姐さんに呼ばれた」

 オレの見立てでいくと赤鼻は強い。なのにこの怯えよう。奴らは、殺人組織。拷問より殺しを好むのだろう。赤鼻は、すぐにでもツインが殺されるんじゃないかと恐れている。

「急ごう」

 赤鼻がコクコク頷いた。オレ達は、急いで下水道に引き返した。オレは、そこで、黒ずくめの格好をして黒い仮面をかぶった。声も変えてくれと頼んでいた。黒仮面は、簡易の防毒マスクを兼ねているので、少し息が苦しい。くぐもった声になり、息をするたびに、コーフー、コーホーと音がする。


「こっちだ」

「そっちは、貴族街じゃないのか」

「だから、隠れ家になる」


 ボーロのアジトは、地下水路メインストリートから貴族街に入った下水から、更に地下に下りた所にあった。


「臭い。おれの鼻、効かない」

「泣き言を言うな。とにかく連れて行け。どうせ殲滅する。赤鼻は、入り口まで案内してくれればいい」

 赤鼻は頷いていたが、多分ついてくる気だ。


 アジトの入り口には、門番が二人いた。


「何だオメーら。グワッ」


 二人は、首を絞められて空中に浮かんだ。最初、グホッと少し音を出していたし、足をじたばたさせていたが、そのうちダランとなった。


「死んだのか?」

「こいつらの武器を取れ。赤鼻は、ここに居ろ」

「いやだ、ついていく」

「好きにしろ」

 オレは、ゆっくり歩きだした。

 階下に降りていくと幾つも部屋があるとわかる。そこから偶々出てきたやつが声を荒げる。

「なんだオメーは!。グワッ」

 そいつは首を絞められ門番と同じようになる。だが、その後ろからも、ボーロの構成員が出てきて大声をあげた。

「敵だ。侵入者だ。グッ」


「うるさい」


ドガン!

 大声を出したやつは、壁に打ち付けられて動かなくなった。首を絞められたやつも床に落ちる。赤鼻は、信じられないと、ダークを見る。


 その大声とともに、各部屋から、「敵だ」「敵襲だ」と、大声をあげて、通路に構成員が出てきた。連中は、剣や槍を持っている。


「やべぇ」

 赤鼻が、絶叫する。二人は、ほとんど丸腰だ。

 ダークは、先頭にいる構成員の剣を念動力で奪った。剣は、敵の手から離れ、空中を舞う。

 信じられないという顔をしている構成員をダークが袈裟掛けにした。その後、赤鼻は、更に信じられない光景を見る。


 通路が構成員の死体と血で埋め尽くされた。小刀を投げるやつもいたが、その小刀をダークに簡単につかまれ、逆にその小刀が、相手の眉間に突き刺さる。敵がほとんど残っていない。


「ダーク、兄貴の居場所を聞いてくれ」

「そうだったな。すまんが、赤鼻が聞いてくれ」

 久々だったから、戦闘に集中してしまった。

 ダークが一人の屈強そうな男の首をつかんで宙に釣り上げた。そうしながらも、剣の戦闘は続く。空中に釣り上げられた男は、持っていた剣をダークにもぎ取られ、後方の赤鼻の方に宙を漂った。

「この剣は、なかなかの剣だぞ。そいつなら何か知っているだろ」

「わかった」


 毒の瓶を投げる者がいたが、ビンは床に落ちず、ダークの元に引き寄せられ、水路に落とされた。投げた男は、信じられないと、その場を逃げようとしたが、ダークが捕まえて離さない。その男が空中でじたばたするのを見て、残りの構成員が逃げ出した。残りと言っても、1人しか残っていなかった。先の屈強そうな男もそうだが、こいつも、幹部だと思う。ダークは、毒の瓶を持ったやつを釣り上げた。


「コーホー、ツインは何処だ」


 変な吸気音にくぐもった声。毒瓶の男は恐怖に、顔を引きつらせる。


「奥の部屋だ。首領のボーロさんと話している」

「ここまで拉致して話している?。尋問だろ。コーホー、誰に頼まれた」

「知らない。ボーロに聞け」

「知らないわけがないだろ」

「グッ、オレは、ボーロファミリーの幹部だぞ」

「幹部が知らないだと!」

「グエッ、テ、テ」

 毒男は、何か言いそうになったが、急に痙攣してだらんとなった。久々なので、手加減が難しい。人は、簡単に死ぬ。怒りのあまり毒男を壁にたたきつけた。まあいい、もう一人いるからなと、赤鼻が尋問している男に振り返った。そのもう一人の男は、今の光景に恐怖した。それは、赤鼻もそうだった。


「助けてくれ、何でも話す」

「お前も幹部か」

「ち、違う」

「じゃあ、何でも、話せないじゃないか」

「あぅ、苦しい・・」

「ダーク、こいつを助けてやってくれ」

「オレの名前を呼ぶな。仮面付けている意味ないだろ」

「ひっ、すまん」

 赤鼻は、前に両手を押し出すようにして謝った。

「こいつは、モウ。鬼人と人のハーフだ。なぜ、こんなところにいるか分からんこともない。俺が面倒を見るから殺さないでくれ」

「もし、こいつがオレの正体を喋ったら、処分するからな」

「話さない」

「何でも話すんだろ」

「何でも話すけど、ダ、あんたのことは、話さない」

「話せ」

「ツインを探しているんだろ。一番奥の部屋にいる」

「それは、さっきの奴に聞いた」

「首領の他に、後二人いる。で、できれば、そいつらも殺さないでくれ」

「なぜだ」

「その二人が、ここの環境を保っている。一人が明かり、一人が換気だ。二人は、弱いが魔法使いなんだ。貴重な存在だし、いい奴らなんだ」

「赤鼻」

「そうだと思う。こんな場所に、アジトを置くのは、大変なことだ」

「分かった」

「じゃあ」

「出来るだけ努力するが、向こうが抵抗してきたらあきらめろ」

「仕方ない」



 ボーロファミリーの首領、ボーロは、癇癪持ちだ。暗殺には向いていない。この世界に入った切っ掛けは、人殺しをしたから。そんなボーロだが、癇癪を我慢することがある。その理由が、イーリーとユーリーの双子だ。この二人を手に入れて、殺人の世界で、ファミリーを構えるほど大きくなった。双子は、スラムで野垂れ死ぬ所を偶々助けた。大した理由はない。今は天涯孤独だが、弟と妹がいた。二人は、貧困の中で餓死した。それからボーロは、切れやすくなった。ところが、この二人がいると、幾分まともになる。

 ツインを拉致したが、殺しては、元も子もない。蜥蜴のくせにカエルのように太った暗ギルド長のガップに、依頼主を吐かせろと言われている。今、ツインを殺したんじゃあ、1文にもならない。


「ボーロ、これ以上やると、ツインが死んじゃうよ」

「そうだな、少し休むか。おい、ポイズン。外が騒がしい、見てこい」

「俺がか?。イーリー達にやらせろ」

「そんなことをしたら、ツインが死ぬぞ」

「分かったよ」

 そう言って出て行ったポイズンは帰ってこない。ダークに毒の瓶を投げたが返り討ちにあって絞殺され、壁に打ち付けられて死んでいる。


「なんだ、やっと静かになったか」

 それは、ほとんどの構成員がダークに殲滅されたからだ。

「おう、ツイン喋る気になったか?」


「私は、情報屋ですよ。依頼主の名前を話すわけないじゃないですか」 


「そんな戯言はいいんだよ。あー腹が立つ」

「ボーロ」

「分かってる、分かっているって。ユーリーは座ってろ」

 ドガッ

 ツインは、椅子に縛り付けられていて、蹴られて倒れたから。元に戻れない。

「ツインは、情報屋の鏡だな。俺は、そんなお前が嫌いじゃないぜ。なんせ、尋問が続けられる」

「ゴホッ、ゴホッ」

 尋問じゃなく、拷問じゃないかとツインは思う。


 ギーー

「ポイズン、外はどうだった?」


「お前が、ボーロか」


「なんだガキ」

 ボーロは、わめくと同時に、ツインを殴っていたこん棒代わりの燭台をダークに投げつけた。

 ダークがその燭台に向かって手を出すと、その燭台が空中で止まった。

「聞いていることに答えろ」


「てめぇ」と、ボーロはダークを指さした。

 ボギッ。ダークは、その右手の人差し指を折った。

「グォ」


「手癖の悪いやつだ。何でも投げればいいってものじゃないぞ」


「ガキー」

 ボーロが、ダークに殴り掛かろうと向かったが、足が地についていない。そして首を掴まれて声が出にくくなった。

「ガフッ、降ろせ」


「殴りかかってくる奴を下ろすわけがないだろ」


 ボギン

「ギャー」


「もう1本足があるから降りれるか」


ボギン

「ギャ、ヒュー、ヒュー」


「まだ足2本だろ。骨はいくらでもある」


「お兄ちゃん止めて」

「ボーロを助けて」

「なんだお前ら」

「イーリーとユーリーだ。二人が、魔法使いなんだ。殺さないでくれ」

「気絶させていいか」

「気絶ならいい」

 ドガッ、ドガッ。二人は壁に飛ばされ、打ち付けられて気を失った。


「この野郎、殺してやる」


「おっ、元気になったじゃないか」


 ボギン。今度は左腕。

「グワッ」


「ツインをケガさせたのはお前か」


「へへっ、見りゃわかるだろ」


「頭のけがは?」


「そんなの知るか。こいつが、帝国の女を嗅ぎまわっているから、やられたんだろ」


「闇ギルドか?」


「ガキ、闇ギルドと知って俺たちのところに攻めてきたのか。命知らずだな。おれのところの構成員は30人だぞ」


「今は、お前だけだがな」


「どういうことだ。モウ」


「すいやせん、俺以外みんな死にやした。ポイズンの兄貴もです」


「お前が殺したのか」


「オレが何か聞く前に死ぬんだ。弱すぎだろ」


「キサマー」

ボギン「ギャー」肋骨


「お前は、なかなか見どころがある。ツインの頭をケガさせたのは闇ギルドだろ。誰の指示だ」


「そんなの、ギルド長のガップに決まってる。帝国の仕事だ。下っ端に任せられるか。ツインが、まだ帝国の女を嗅ぎまわっていたから、俺が呼ばれた」


「ウソをつけ、初めから関わっていただろ」


「当たり前だ。俺も闇ギルドの幹部だ。闇ギルドは100人構成員がいる。お前は生きていられないぞ」


 ダークは、ボーロを引き寄せて、小声で話しかけた。


「コーホー、コーフー。おまえ、なぜ、こんな子供を養ってる。息子や娘って年じゃないだろ」

「うるせえ、こいつらが使えるから。ここに置いているだけだ」

「コーホー。その割には、ボーロを助けてと、コーフー、オレにしがみついてきたぞ」

「知るか」

 ずっとオレを見ていたボーロが目をそらした。

 めんどくさいやつだ。だが、オレをガキと言った。勘がいい。根性もある。

オレは、扉側に振り向いた。

「モウ、だったか。こいつは、殺していいか」

「俺に、ボーロのことをとやかく言う気はない。でも、イーリーとユーリーは、悲しむと思う。ボスは冷酷な人だけど、なぜかイーリーとユーリーを大事にしていた」

「モウ、お前」と、赤鼻がモウを見る。

「ボーロ、右腕は、残しておいてやる。イーリーとユーリーが、お前の面倒を見るのを楽にしてやらんとな。暫く寝ていろ」

 ドゴンと、みぞおちを殴って、ボーロを眠らせた。そして、イーリーとユーリーがいるところに投げた。

「モウ、こいつも面倒を見ろ」

「俺が、ボーロを?」

「イーリーとユーリーが悲しむんだろ。イーリーとユーリーは、お前が面倒を見ると言った。イーリーとユーリーは、ボーロの面倒を見るだろ。そういう事だ」


 モウは、口をパクパクさせていたが、がっくりして頷いた。


 オレと赤鼻は、こいつらを置いてツインの元に駆け寄った。

「ツイン、無事か」

「兄貴!」

「ははっ、早かったですね」

「偶々だ。それより、ここを出るぞ。歩けるか?」

「歩けます。闇ギルドは、どうするんです?」

「潰す。案内を頼めるか」

「人使いが荒いですね」

「人だったっけ」

「狐人使いでもいいですよ」

「それだけ元気なら行ける」

「いいえ、闇ギルドなら夜の方が人が多い。潰すんでしょ」

「分かっているじゃあないか。とにかく帰ろう。加奈が心配してる」

「ボーロは、本当に殺さないんですか?」

「イーリーとユーリーが悲しむそうだ。モウに二人を殺さないと約束した。モウは、赤鼻が殺すなって言うんだ。だから殺さないことにした」

「そういう事なら、ボーロも赤鼻の責任ですね」

「そうだ赤鼻の責任だ」

「そんな、兄貴」

 赤鼻も、モウのようにがっくりした。


 ツインは、顔が広い。ボーロファミリーのアジトを先に出て、運河で船を調達した。ボーロがごみ屑のようになっていたから、船で運ぶしかなかった。

 目を覚ましたイーリーとユーリーは、モウの説得で、ここを出ることになった。モウに、ボーロの面倒を見てくれと言われて喜んでいた。赤鼻は、難しい顔をしていたが、この光景を見て肩の力を抜いた。赤鼻は、殺人組織の生き残りの4人の面倒を見る覚悟だ出来たようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ