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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
20/37

ボーロファミリー1

 週末になった。今月の残りは、姫たちと狩りに行かない。姫たちの魔力や知力を上げるために学園で頑張ってもらう。二人とも、勉強は嫌いじゃないというだけあって、図書館に籠って何やら勉強している。普通の魔法の勉強は、授業でやりたいそうだ。


 いつものようにボルケーノに朝食を食べに行くと、アマンダに、加奈のところに行くように言われた。朝食なのにニッチもカウンターにいる。


「大体事情は聞いたけど、無理しないでね」

「加奈が来たのか?」

「珍しくね。加奈は、あなたのことが心配みたい。鬼人族に好かれるなんて、普通無いことよ」

「帝国の闇が深いってことか」

「そうね。加奈に聞いてちょうだい」

「おい、この変な仮面をスミスに頼まれた。仮面は、防毒マスクも兼ねているそうだ」

「衣装も仕上がっているわよ」

「俺のお下がりだ。このリュックに入れてもってけ」

「ありがと」


 二人は、加奈自身から色々聞かされたようで、ちょっと神妙な顔をしていた。情報は、加奈から聞けの一点張りで、何も教えてくれない。今までになかったことだ。スラムの加奈邸に行って門番の小鬼に声をかけると、いつものように鬼人族の大男が出てきてオレを案内した。


コンコン「姐さん、ダークです」


「入ってもらって」


「朝から酒か?」


「いいでしょ、それにしても早いのね。ツインは、まだ来ていないわよ」


 加奈は、昨晩から飲んでいたみたいだ。


「アマンダとニッチの様子がおかしかったからな。何を吹き込んだ」


「情報共有しただけよ。いいから座って。捜査結果が知りたいんでしょ」


「そうだな」


 オレは、加奈の前に座った。


「ボルケーノに行ったんだってな。アマンダと仲悪いのによく行ったな」

 加奈は、少し肩を上げた。

「商売敵ってだけよ。仲良くする理由はないでしょ。それでも情報共有しないといけない時もあるのよ」

「それで?」

「闇ギルドだった。ヒパティアの監視は、ルービン家の依頼よ。だけど帝国は、関わってはいないと思う」

「分かった」

「どうする?。ルービン家は、帝国子爵よ。相手が悪いわ」

「闇ギルドを潰す。この件にかかわっている連中は、わかっているんだろ」

「ツインを襲った連中のこともね。ボーロって言う殺人組織よ。そいつらは、闇ギルドのギルド長が良く使っている連中で、暗殺も請け負っているわ。ツインには、当分王都から離れろって言った。でも、情報をダークに渡すまでいるって、さっきまでいたんだけど」

「ツインを一人にしたのか。ツインの居場所を教えろ、オレが行く。ツインから、ボーロの話を聞く。こいつらは、殲滅だ。ツインには、酒をおごるって言ったしな。闇ギルドは潰す。闇ギルド組織が壊滅するだけで、ヒパティア先輩の依頼は消える。でも、ボーロは許さん。殲滅と言ったが、ほとんど殺せればいい。自分たちがどうなったか喧伝する奴もいるからな」

「本気で言っているの!」

「ツインのところに連れていけ」

 チリリン、チリリン、チリリン

「へい」

「赤鼻、ダークをツインのところに連れてって。ボーロファミリーがらみよ」

 褐色の鬼人族がやってきた。

「分かりやした」

「もう動くんでしょ。赤鼻は、鼻が利くのよ。何かに役立てて」

「ありがとう」

「赤鼻、ダークをよろしくね」

「へい姐さん。ダーク、行こう」

「二人とも気をつけて」


 赤鼻が、フード付きのコートを着て外に出た。ツインは、王都に住んでいる。鬼人族は、王都に入れない。


「赤鼻は、どうやって王都に入るんだ」

「フィールドインから下水道に入る。抜け道はいくらでもある」

「それいいな。いろいろ教えてくれ」

「任された」


 王都とスラムの間には、フィールドインがある。ここには、人族も人族に近い亜人もいる。鬼人族も普通に生活している。


「こっちだ。川側に下水道の入り口がある」

 スラムからみゆき通りに出ないで、澄み音川に向かう。そこには、みゆき通りと比べ物にならないほど屋台が出ていた。


「こんな所があったんだ」

「下水道の整備は、王家からの仕事なんだ。過分な予算を貰っているから、綺麗なものだぞ」

 屋台の先には、下水道の大きな入り口があった。王都の下水道を清掃するにしては、人足が多すぎる気がする。まだ午前中なので、どんどん、亜人たちが下水道に吸い込まれていく。


「王都の下は、亜人たちでいっぱいだぞ。下水の整備と清掃事業は、王家の資産で賄われているんだ。みんなで分け合うと、これぐらいの人数は賄える」

「王家の人たちが!」

「公の話だが、いちいち貴族にするな。俺らで、勝手に拡張もしているしよ。いろいろ口出しされると面倒だ」

「分かるよ。もしかして魔法学園から、ここに入れるか?」

「王城からもだぜ。王家と公爵家は知っている。侯爵家以下は知らない。宰相のマトバ様は知っているんだったか。すまん、詳しくは知らない」

「後で、レジーナに聞くよ」


 下水道から広いところに出た。運河だ。下水と別に運河がある。運河では、魚人族が往来している。魚人族の一種族だったか、人魚族だったかが、浄化の能力を持っている。彼らもここで働いているのだろう。最初下水道しかなかったのは、カムフラージュじゃないかと思われる。


「人魚族の子供が、オレの近くで跳ねて、キャッキャ言っている」

「おまえ。人魚族にもてるんだな」

「初めて、フィールドインに来た時も、人魚族の子供に抱きつかれたよ」

「人魚族の子供が人族になつくのは、珍しいことなんだぜ」


 下水道なのに運河も兼ねているので、外の明かりも入ってくる。結構騒いでいるが、王都で、これらの声を聞いたことがない。協力者がいるのだろうと思う。もしかしたら平民は、ほとんどそうか。貴族だけ、蚊帳の外な気がする。


「貴族街やメインストリートは、暗川だ。通気も悪い。ここには、光の魔法を得意とする一つ目族と、風を操るのが得意なムササビ族がいる。ダークは魔法使いだろ。勉強するなら紹介する」

「そのうちに頼む。旨いトンテキ屋台を知っているんだ。飯をおごるよ」

「オークの親父がやってるトンテキ屋か。そこは知ってる」

「だよなー。そこ以外は知らないんだ。他の店も紹介してくれ。金はオレが出す」

「まかせな」


 運河は、貴族街にも1本だけあるが、ほとんど使われていない。赤鼻は、王家のために作ったと言っていた。メインストリートと貴族街は、もっぱら下水の浄化や清掃が行われている所。そこは、汚いので、みんな嫌がると言っていた。


 ダークは、バザールの人たちが多く住むコレット通りのアパートメントに住んでいる。


「そろそろ兄貴のアパートだ。裏から入れるから、俺も行くぜ」

 赤鼻が、フードを深くかぶった。

赤鼻は、鬼人族の中では小柄な方だ。オレと変わらない。だけど、肌が褐色で、特に鼻が赤い。フードを深くかぶらないと目立つ。

 そういや、バザールで、フードをかぶっていたやつを結構見たな。

 王都に、亜人もいたんだと思う。


 下水道から裏路地に出てアパートの裏口から入る。


コンコン「兄貴、ダークを連れてきやした」

コンコン「兄貴」コンコン

 赤鼻が、青い顔をしておれに振り向いた。

「返事がない」

「ドアを開けてみろ。そう―っとだぞ」

そっ

ギィー

 赤鼻が、扉が開くと、目を見開いてオレを見る。

「替われ、オレが行く」

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