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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
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帝国の忘れ形見

 久々に王都を出てスラムに向かった。途中昼飯は、軒のトンテキ屋で食べる。オークの親父は、オレの顔を覚えていて、普通盛りの値段で、大盛りを出してくれた。

「大盛りお待ち-」


 ものすごく旨いんだけど本当に、これ大盛り?。特々盛の間違いじゃないの。

 完食してお腹を押さえながら加奈の屋敷を訪ねた。

 門番の小鬼に声をかけると奥からゴッツイ鬼人が出てきておれを加奈のところに連れてった。


「来たか、姐さんもダークに会いたいそうだ。そこにツインの兄貴もいるぜ」

 ツインは、加奈一家の番頭。情報収集は、彼の得意分野。



コンコン「姐さん、連れてきやした」


「ダーク入って」


 入ると頭に包帯を巻いたツインが、加奈とお茶を飲んでいた。


「ツイン、どうしたんだ」


「どうしたもこうしたも、あんた、どんな厄介ごとに首を突っ込んだんだい。ツインが、こんなになったのを初めて見たよ」

「姐さん、これは、私の落ち度でしょう」


「オレは、ピクチャーロイドのエリーに、錬金科の先輩が帝国の子女だって聞かされたから、それを調べてくれって頼んだだけだぞ。ただ・・・」


「ただっ!!!」

 加奈が結構な勢いで怒っている。


「仲良くなったときに握手したんだけど、うちの姫たちと同じように手を差し出してきたんだ」


「なんですって!」

「なんだって。それを早く言ってください。それなら、辻褄が合う」


「どういうことだ?。ここは小国で、帝都が潰したい王家はいるけど、それだけだろ」


「帝国は、完全な貴族社会ですよ。高貴な貴族には、隠したい血脈の一つや二つはある。小国の学園だからこそ、隠せることもあるんです。ヒパティア・ヴェラ・ルービンさんでしたね。父方の線も含めて、もう一度探りましょう」

「ちょっとまちな。これで、銀貨3枚はないだろ。後、金貨2枚寄こしな」


「そうだな治療代も含めて金貨3枚出そう。それでいいか」

 加奈があっけにとられている。ローマン王国のジョーンズ大佐から金貨20枚貰っている。ここで出し惜しみは無しだ。


「私は異論ないよ。ツインは、それでいいかい」

「私は、初めから仕事をする気ですよ。このままで済ませて堪るか」


「本人は、普通の子みたいなんだ。事情は直接聞くよ。それより、監視をしている奴がいるってことだろ。そいつらを処理できるのか、どこまでやれるのかを調べてもらえるか。そいつらをやるときは、オレがやるから手を出すなよ」


「いいわね。それなら、私も一枚かませて」


「もう金は出せないぞ」


「私が同元なの、金貨3枚なら十分よ。このまま黙ってられない」


「あまり派手にやるなよ。ツイン、そのうちまたボルケーノでおごるよ」


「あんた、あの女のところに行ったの!」

「ダークさんは、ボルケーノしか知らないんです」

「私が、いい酒場を紹介してあげるわよ。フィールドインにいいところがあるのよ」


「オレは、酒を飲まないよ。それに学園生だぞ。そうそう、王都を出れないだろ」


「もう!」


 敵を潰すとかの依頼をしたら金貨30枚は下らないだろう。元々そんな金はないけどね。情報さえ集めてくれたらそれでいい。少しぐらい失敗しても、オレがケツを持とうと思う。暴れるのはいいが、エリーに身バレするようなことはするなと言われている。そこで、顔を隠すために、小間物職人のスミスに黒仮面の製作を依頼している。帰りに出来具合を見に行こうと思う。


 久々に王都を出たので、海岸の洞窟にリュートを訪ねようと思ったが、修行の一環で、フォレスト山脈に出かけていないと加奈から聞いた。


 スミスのところに行くと、もう仮面はできているのに、フルフェイスにしてと注文をしたので、収納できるようにパーツ制作をしているからちょっと待てと言われた。なんだかものすごく凝っているような気がする。本人が楽しいならいいか。


 学園に帰り、早めに寝ることにした。今夜ヒパティア先輩にいろいろ聞こうと思うし、内容次第で自分たちの事も話そうと思う。長い夜になりそうだ。



 夕方、お城みたいな本校舎の屋上にある天文観測所に行くと、もうヒパティア・ヴェラ・ルービンが来ていた。名前なんてどうでもいいが、彼女が、自分の名前にプライドを持っているかが気になる。


「あら、もう来たのね?」

「夕方は、この星の特性が出るんだ。夕日は、赤いだろ、標準のM型惑星だってことだ」

「え、何言っているの?」

「夕日が紫や青い惑星もあるってことさ。でも人が住める惑星は、大概アステロイドベルトの中にある星の話なんだ。先輩は、アステロイドベルトが何か聞きたがっていたよね」

「そうよ」

「この星は、太陽の周りをまわっている。それは、OK」

「確認されていないけど、私はその理論に賛成。スターダストベルトがなかったらもっと早く立証されていたと思うわ」

「ここのは、標準の恒星だから、太陽の表面温度は6000度。バースは、太陽のおかげで温かい。海も凍っていないだろ。だけど、その輻射熱の限界距離がある。水が氷るのは、摂氏0度。その距離にアステロイドベルトが形成される。太陽版のスターダストベルトだってことだよ」

「太陽に輪っかがあるってこと!。なんで、そうはっきり言えるのよ」

「先輩が、オレの質問に答えてくれたら、詳しく話すよ。オレは、魔剣士科なのに、魔法科の柊宿舎に住んでいるんだ。それも屋根裏部屋。オレのルームメイトは、ピクチャーロイドのエリーっていうんだけど、彼女が、先輩は、帝国の子女(貴族の事)だって言うんだ。オレは、貴族という格差社会どころか、種族差別をしている帝国を敵だと思っている。先輩は、敵なのか」

「言いたい放題言って、私に嫌な質問をするのね」

「先輩なら理解しそうだったから、オレが、先輩の答えを持っていると話したんだ」

「何者なの」

「それも、先輩の答え次第で話すよ」


 ヒパティアは、椅子に座って悩んだ末、肩の力を抜いてオレと向き合った。


「はー、もう帝国とは関係ないと思ってた。私は、ただのヒパティアになれたと思っていたわ。後輩に、そうじゃないってはっきり言われるなんてね。私が只の帝国市民じゃないってどうしてわかったの。ピクチャーロイドって、物知りなのね」

「ピクチャーロイドだって万能じゃない。ちょっと小耳にはさんだだけだって言ってた。昨日、握手をしただろ。その時先輩は、うちの姫とローマン王国の姫と同じ握手をした。だから気になって、ちょっと知り合いに調べてもらった。そしたら、翌日、頭に大ケガして、失敗したと言われた。逆に、こっちが、ここまで大ごとになるとは思っていなかったよ」

「私を調べたのね。傷ついた。後で、何でも1つは言うことを聞いてもらわないとね」

 オレは、両肩と手を少し上げて、かまわないとジェスチャーした。

「私は、皇帝ジャジーラ・オバ・シュメールの庶子よ。母は、妾でもなかったわ。ただの遊びで出来ちゃったのが私。これでも母は、帝国子爵の次女だった。だけど、都落ちを命じられて、地方で私を生んだわ。母子家庭だったけど、生活には困らなかった。私は、ルービンを名乗っているけど、実際は、家に認められていない、いない子よ。母は、慎ましやかな人だったわ」

「亡くなったのか」

 言葉に出さず頷く。

「母は、私が困らないように蓄財してくれてたのよ。私は好きなことをやらせてもらってる。帝都から、ここ迄離れたら、もう、あの人たちとは関係なくなったと思っていたけど、違うのでしょう」

「先輩のしつけは、お母さんが?」

「そうよ」

「あの握手は、高位の貴族の握手だよ。先輩のお母さんは、先輩を高貴な人として立派に育てたんじゃないかな」

「どうでもいい。私は、今の生活に満足しているわ。これで全部よ。満足した?」

「満足したさ。少なくとも、先輩は敵じゃない。先輩を監視している奴がいる。排除できるのならしていいか」

「ご勝手に」

「そうさせてもらう」

「それで?」

「それでって?」

「一つ貸しでいいのよね。それに質問に答えてくれるんでしょ」

 しまった。こいつも姫だ。ろくなことにならない。

「何でも聞いてくれ」

「あなたは、何者?」

「これは、エリーにも姫たちにも話していないんだが、オレには、前世の記憶がある。前世のオレは、ロケットで宇宙そらに上がって、星々を飛び回っていた。その記憶で、今、自動で動くゴーレム。つまりドロイドを作っているところだ」

「私が初めてってこと」

「話しても、先輩のように信じてくれないさ」

「その・・、宇宙は広いの」

 子供か!!。

「星の数だけ太陽がある。太陽が集まっている星団のことを銀河って言うんだけど、その銀河も星の数ほどあるぞ。でもオレが移動できたのは、銀河までだった。それでも、永遠のようだったよ」

「見てみたい」

「オレが作って育てているドロイドは、MR1って言うんだけど、オレの記憶を覗いて学習しているんだ。MR1と話してみなよ。詳しく聞けるから。オレは、姫たちの相手とか魔法の勉強で忙しい」

「MR1をくれるってこと?」

「昨日、ちょっと話しただろ。MR1を先輩の倉庫に置かしてもらいたいんだ。MR1は黒金じゃないと嫌がるんだ。オレを助けてくれるんだろ」

「仕方ないわね」

「明日の午後に先輩の倉庫にMR1を持って行っていいか」

「そうして。研究室にいるようにする」

「ちょっとMR1と準備するから帰るけど、約束だからな」

「わかったわ。急に子供っぽくなっちゃて。こっちが地でしょう」

「どうかな、また明日」

 ダークは、天体観測所で嵐を起こすだけ起こして帰った。残されたヒパティアは、放心状態になった。

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