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暗黒界の超新星  作者: ペリエ
暗黒騎士は一時の平穏を好む
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魔剣士科の授業1時限目

 翌日、オビトがもう巨大な木剣を携えてやって来た。オビトは通いだ。いろいろと融通が利くのだろう。オレは、ホームルームの教室で最後尾の席に座る。オレの後ろに長竿の木剣が置かれた。 


「もう、持って来たのか」

「時間割を見なかったのか。剣が最初の授業だぞ」

「魔剣士科なのに?。まあ、どっちでもいいか。じゃあ、剣から入るか」

 時間がないから、精神修養も一緒にやるか。

「よろしくな」


 鍛錬所に行き、柔軟運動を二人でしていたら、集合をかけられた。入試の時の試験官ではない。差別主義の教頭が、貴族方の講師を送っていた。腕の立つ剣術講師のルノーは、三年に回せば済むことなのだろう。


「オビト様はこちらに、お前、いつ柔軟運動をやっていいと言った」


 オビトがオレから離れる前にこそっと耳打ちしてきた。

「おい、こいつをやっていいぞ。今後もじゃまされないようにやってやれ。うちの家が肩を持つからな」

「おう!」


「今日が最初の授業だ。貴様らの実力がどれほどか見てやる。全力で掛かってこい。ダーク。ダーク・サンドストーム、前に出ろ。お前からだ」


「本当に全力でやっていいんですか」


「きさま、さっさと構えろ」


 オレは気を開放した。


「ドリャー」


 パパパパン

 軽く、小手、腕、腕、足と、木剣で払ってやった。講師は、腕を3か所、あばらを3本。足は1本だけのつもりだったが、踏ん張ろうとして足を並べたのが良くなかった2本ともぽっきり折れた。


「うっ、ギャー」

 泡を吹いて白目をむいている。そこにオビトが行って教頭が送った傀儡の講師に耳打ちした。


「まだ、意識はあるな。いいか、俺等に関わるな。次はこれじゃあ済まんぞ」


 講師は、これを聞いて意識を失った。


「おい、誰かこいつを医務室に連れて行ってやってくれ」


 オビトが生徒に振り向いたが、真っ青な顔をして誰も動かない。仕方ないので、オレとオビトで講師を医務室に連れて行った。修行の邪魔をしやがって。いい迷惑だ。


 鍛錬所に帰って見ると、クラスメートが担任を呼んだようで、担任のアザミ先生がオレ達を腕組みして待っていた。


「ダーク君が、講師の先生をダメにしたのでしょう。あなたが代わりに授業をしなさい」


「アザミ先生、分かっているじゃないか」と、オビトが喜んだ。

「おいおい、二人でやるんじゃなかったのかよ」

「基礎とかは、全員に頼むよ。お国のためだろ」

「仕方ない。分かりました」


 クラスメートの顔が明るくなった。


「じゃあ、よろしくね。ダーク君、後で、職員室にいらっしゃい」


 オビトがニヤニヤしながらおれの肩を叩いた。

 本当におれの肩を持つんだろうな。


「みんな、話を聞いてくれ。オレの剣は、相手の動きを予測して攻撃したりかわしたりしている。最初は、相手をよく見ること。相手の呼吸に合わせて戦うんだ。相手の呼吸を見ようと思ったら、相当落ち着いていないと感じることができない。こういうのは精神修養というんだけど、心を静める修行をしないと到達できないんだ。目で相手を追えたら次は耳で。耳で相手を倒せるようになったら、肌で感じ取るようになるまで修行する。後でゆっくり教えるけど、とりあえず柔軟運動な。2人一組でやってくれ」


 なんでか、オレが授業をすることになった。体格の近いオビトと組んで柔軟運動の続きをやる。


「あの講師は、もう授業に来ないと思うぞ」

「じゃあ、他の先生が来るんだ」

「来ても意味ないさ。ダークがやれよ」

「オビトの修業が、片手間になるぞ」

「俺は、こいつらより、ずいぶん先を行ってる。我慢するさ。でも、俺を組み手に使ってくれるんだろ」

「オビトは、大剣じゃないと、上手くならないと思うけど」

「最後に2手か3手教えてくれ。後は何とかする。自宅に、それなりの弟子たちがいるからな」

「最初は、それで行くか。でも、オビトの親父さんに頼んで、基礎を教えてくれる講師を学園に紹介してくれよ。オビトは、途中から厳しくするつもりなんだ。みんなは、ついてこれない」

 どうせ、チタン製の大剣ができる迄は、ゆっくり教えようと思っていた。

「そうなのか!。おやじに、相談する」


 まさか、また、子供たちに剣を教える日がこようとは思わなかった。今は、オレも子供だけど。


 じゃあ、みんなの実力を見るから剣を上段に構えて、振り下ろしてくれ。


 みんな、思い思いに剣を振っている。


「はい、ストップ。足腰がダメなんだけど。これって走りこまないとすぐには解決しないんだ。その辺りは、オビトの道場からやってくる講師の人にいろいろ教えてもらってくれ。今日は、上段の構えと振り下ろしをやる。オビト、きてくれ」


 オビトはデカいので、見本として使いやすい。


「上段は、頭の真上じゃないよ。額の上。ここから振り下ろす。人体の急所は、ほとんど正中線、真ん中に集中しているんだ。だから、ここを狙う。全部の急所をぶち抜く気で、切ろうと思ったら、真っすぐ振り下ろすことになる。ゆっくりやってくれ」


 オビトには悪いが、普通の木剣を持ってもらっている。


「二人一組になって、ゆっくり振り下ろしてくれ。相手の正中線をよく見て、全部急所に当てるようにゆっくりだぞ」

「もう、実践なのか?」

「基礎は、オビトの道場の人に頼むさ。基礎体力ができていないんだけど、それに合わせて正確性を出そうと思ったらゆっくりやればいいだけなんだ。とにかく、オレを見ながらゆっくり正確に振ってくれ」


 オビトの標的になりながら、クラスメートを見た。

 まずいな。

「はい、ストップ。男子はそのまま続けてくれ。女子6人とオビトは、こっちに来てくれ」

「どうした」

「女子は胸があるだろ。最初に、構えを修正しないと男子より出遅れるんだ」

「そうだな」


「アンナだったっけ、ちょと前に出てもらって、構えてもらえるか。オビトも頼む」

 二人とも真剣に構えた。

「みんな分かるか。アンナの方が腕が開いているだろ」


「仕方ないじゃない。だって・・・」


「胸が邪魔になるからだろ。だったら、そうならないようにしてもらいたい。でも、準備していなくても、ホームを崩さなければそれなりに剣を振れるぞ。アンナとオビト。ここでランニングの足踏みをしてもらえるか」


 オビトは、綺麗なホーム。アンナは、肘を上げるような変なホーム。


「ここでも、型を崩してる。アンナ、そのホームのままでいいから50メートルを全力疾走してくれる」


「いいわよ」


 オレとオビトには、どたどた走っているように見える。


「次は脇を絞めて、腕を真っすぐ振るように走ってよ。オビト、ちょっとやって。こんな感じ」


「わかったわ」


 アンナのスピードがバシュンと上がった。


「びっくり、私じゃないみたい」


「ホームを変えただけで走るのが早くなっただろ。同じように、剣だってそうなる。今日は無理しなくていいけど次からは準備してくれ。今日は、ものすごくゆっくり振り下ろしていいから、脇を絞めて振り下ろしてくれよ」


「「「はい」」」


「セクハラにならなくてよかったな」

「やめろよ。オビトは、今のを太竿でやれよ。重くてもゆっくりだからな。オレがいなくても正中線は見えるな」

「俺は、孤独だ」

「いいから」


 そこからは、一人一人の構えを見て回った。足腰が強くなれば普通にやれるが、当分無理だと思う。


「次!。みんな集まってくれ」

 オレの教えは、楽な感じがしたのだろう。みんな余裕の顔をしている。そうはいかないから、この先を見せる。

「オビト、打ってきてくれ。ゆっくりな。今度は、相手に当たる間合いで打ってくれ。打たれる方は、やっぱりゆっくり避ける。右足が後ろなら左に、左足が後ろなら右に、後ろ足でよけてくれ。コツは、相手が初動した時にゆっくり避け出す」 オビトが、太竿を振っているのでわかりやすい。みんなできそうだと思う。

「これを早くしていく。ファンと振り下ろしてくれ」

 ファン!

「次はもっと早く」

 フォン

「もっとだ」

 バン

「もっとだ」

 ボッ

「このように、初動さえ捉えていれば、相手の先を取って動ける。最初はゆっくりでいい。オレがやった動きを見て感じて覚えてくれ。オビトゆっくりな」

 ファン

「すぐには、何をやっているかわからないと思う。何度もこれを見せるから、まずこの感じを覚えてくれ。なんとなくわかり出したら、振り下ろしだけじゃなく対処法も。それができれば、他の打ち方と対処法をやる。じゃあ二人一組でやってくれ。オビトは、初めから、バンだからな」

「望むところだ」


 こうして最初の授業が終わった。クラスメイトは、講師より明らかに強いオレの指導を受けることができてラッキーぐらいに思っている。

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