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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
46章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、幻炎を振り払い真なる炎を捉える。

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聖女ちゃんとサーチアンドデストロイ

「……」



「随分と静かじゃねえかミーシャ」



 リョカたちと別れ、あたしとガイルは一番強い気配を目指して駆けているのだけれど、そんな道中でガイルがあたしの顔色を見ながら聞いてきた。



「別に、いつもあたしは静かでしょ」



「確かに口数は多くはねえほうだな。だがいつもは鬱陶しいほどに殺気をばらまいてるんだが、今日はそれすらも静かなんだよ」



「……」



 戦闘圧に関してあたしは大分わかりやすいと思う。機嫌なんてその圧を感じれば察することもできるだろう。

 そんなことはわかっているし、これからもそれを改善するつもりもない。大体の人はこの圧に関して何も言わないし、察して黙っていてくれていることがほとんどだ。

 でもこの勇者は違う。

 相変わらず言いたいことを言いたい時に言う勇者だ。



 まあつまり、黙ってろ。

 と、言いたいところだけれど、この金色炎の勇者はこうやって人々の心を晴らして(・・・・)来たのだろう。

 つまりこのあたしを気遣っているということだ。

 余計なお世話と言いたいところだけれど、今回に関しては乗ってやろう。



「ガイル、あんたあれに勝てる?」



「……いきなりぶっこんできやがったな。しかしお前にしちゃあ随分と後ろ向きだ、明日は雨かね」



「茶化さない。金色炎の勇者に聞いてんのよ」



 ガイルが肩を竦めたがすぐに頭を掻き、奥歯を噛みしめたような表情を浮かべた。



「俺の炎より強ぇ」



 絞り出すような勇者の言葉に、あたしは息を吐いた。

 先ほど受けたエンギ=シラヌイからの攻撃、リョカなんかはこともなさげに防いでいたけれど、多分ガイルとテッカ、それにあたしはそれなりに苦戦した。

 そもそも魂に関する攻撃なんてリョカしか使っている人を知らないし、対策なんてあったもんじゃない。



 そしてその攻撃を受けた上で、金色炎の勇者が自分の炎よりもうわ手だと話した。

 やはり脅威だ。



 それに、多分リョカは――。



「少なくとも今の段階でリョカは勝てないと思っているわよ」



「……あいつが勝てないっつうならどうしようもねぇな」



 なんて言う金色炎の勇者だが、その身から溢れているのは身を燃やすほどの熱気であり、言葉とは随分とあべこべだ。



「ガイル、あたしたちに負けはあり得ないわ」



「ハッ、当たり前だろうが」



「わかっているならいいわ」



 あたしとガイルは脚を止め、その眼前を睨みつける。

 正面には複数人の紋章付きのシラヌイ。街で出会ったシラヌイとは雰囲気も圧も桁が違う。

 でも――。



「邪魔ねこいつら」



「だな。今から親玉ぶっ飛ばしに行くんだ、こんなところで立ち止まれねえよなぁ」



「ガイル、派手にやるわよ。今あたしたちを止める奴は誰もいない」



「いいねえ、乗った」



 あたしとガイルは潜めていた圧を全開にして互いに拳を打ちつけた。



「こっから先はノンストップだ、誰にも邪魔させねえ」



「あんたもリョカの意味の分からない言葉が移ってるわよ」



「使いやすい」



「それは同感――目に映るすべてを殲滅していくわ、見敵必殺って言ったかしら? 初めから全力で行くわ」



 あたしとガイルは目の前の()に嗤い顔を向け、その拳に全力を注ぎこんでいくのだった。

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