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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
39章 ?おうちゃんと聖女ちゃん、金色を追って邂逅する。
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?おうちゃんと警戒アラートイエロー

「マジか。じゃあバンバンスキル使ってこ。そんなことも知ってれば第2ギフトも使えるか」



「まあね。でも限度はあるからね、身の丈に合っていない使い方はしないように」



「ほいほい、というかその運命を扱うのが第2ギフトなんだろ? それじゃあ第1は?」



「う~ん……ヒミツ」



 探索してくれていたコークくんとサジくんが戻ってくると、先ほどした話をレンゲちゃんとバッシュくんが興奮気味に2人に話していた。

 ギフトについての見解を得た2人が感心したようにその場でスキルを使ったのち、私にそんなことを聞いてくるものだから、何となく秘密にしておこうとウインクをして答えると、レンゲちゃんが何か言いたげにしていた。



「どっちの方が強い?」



「両方それなりに強力だよ」



「……全然本気出してないってことはよくわかった。Aランク冒険者なんてすぐだろ、羨ましいなぁ」



「それなりに全力は尽くしているけれどね。それよりもコークくん、君はAランク冒険者になりたいの?」



「そりゃあ冒険者やっていればAランクは目指すべきだろ」



「あらコーク、あんたいつ目標変えたのよ」



「んぐっ」



「Aランクっつうか、まずはBランクになってギンさんとパーティー組みたいんだろ?」



「ぐぬぬ……」



「ありゃ、コークくんはギンさんを目標にしているんだ」



「駄目かよぅ?」



「ううん、目標を持つことは良いことだよ。どういう道をたどるにしても、果てが見えなければ人は進むのをやめてしまう。果ても見えず、歩いてんだか止まってんだかわからない人もいる昨今、君は果てに向かって歩けているだけ立派だよ」



「……ヨリは、目標とかあんのか?」



「う~ん、ぼく……私? 私はねぇ、果ての果てで、可愛い(・・・)に囲まれて、私自身も可愛くいられたら文句はないかな」



「どういうこっちゃ?」



 私はクスクスと声を漏らし、妖精を回収しているサジくんに目をやる。



「どうサジくん、見つかりそう?」



「う~ん、やっぱこっちの草原はルップクリンより強い魔物ばかりみたい。だからここを通ったんだろうけれど……」



「先の麓まで逃げちゃったか」



 多分、住処はその辺りなんだろうな。

 さっき見かけたルップクリンも麓の方に全力疾走していたし、そうじゃないかと思っていたけれど、ここから見ても鬱蒼としているんだよなぁ。



 草原の向こうにはいくつか連なっている山があり、その山からは少しばかり強い気配を覚えた。



「あっちは行っても大丈夫?」



「う~ん、どうするコーク、麓までなら俺たちでもなんとかなりそうだけれど、奥まで行くとちょっとまずいよな?」



「それと魔物の気まぐれにも注意だな。う~んどうすっかなぁ」



 コークくんが私とレンゲちゃんに視線を向けてきたから、笑顔で首を傾げて返す。



「頼りっぱなしなのも情けないしなぁ。う~む」



 力むように頭を捻っているコークくんの姿が可笑しく、私はつい笑ってしまい、手を叩いて視線を集める。



「大丈夫だと思うよ。縄張りさえ気を付けていれば多分襲ってこないよ」



「その心は?」



「力のある魔物って言うのは総じて頭も良い。縄張りに無遠慮に入り込んできたならともかく、別の縄張りにいる強敵を襲うことはないよ」



 私は自分自身を指差した。



「……なるほど。それなら俺たちはなわばりにさえ気を遣えば良さそうだな」



「まあこう言った手前、何か出てきたのなら何とかするよ」



「うん任せた。それじゃあみんな、今回こそは金糖果を手に入れて帰るぞ!」



 みんなの元気なオーという声を聞き、私は遠足の風景を思い出していた。行ったことないけど。

 私は先を歩くみんなについて行こうと脚を進める――。



「――?」



 のだけれど、ふと妙な感覚に振り返る。

 なんだ、何故だか一瞬だけ体が重く感じた。それどころか、その一歩を踏み出すことをひどく嫌がっているというか。



「ヨリ?」



「ああうん、行くよ」



 レンゲちゃんの呼ぶ声に私は笑顔で返し、頭を振って重さを振り切って足を踏み出すのだった。

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