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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
37章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、暫し後の一服。
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魔王ちゃんと対信者絶対殴る聖女

「はい、目が覚めましたのでわかったことを報告したいと思います」



 アヤメちゃんとソフィアの看病の元目を覚ました僕は、壊れた部屋を修復しながら面々に目をやった。

 その際、ミーシャとルナちゃん、テルネちゃんにあちこちを叩かれており、微笑ましい気持ちで彼女たちの拳を受けていた。



「次言ったら殺す次言ったら殺す次言ったら殺す――」



「必要のないパーツを何故誇るのでしょうか? わたくしにそれがないのですから人々ももぎ取るべきです」



「そこに知識は入るのですか? そんなところ膨らませたところでむやみやたらと肥えるだけです。大きくするのであれば頭の中を大きくするべきでしょう?」



 嘘をつきました。ちょっと辛い。そして痛い。



「……セルネ、お前はむやみやたらと身体的特徴を貶す勇者になるんじゃないわよ」



「言わないよぅ」



「まあミーシャさんの正気を取り戻させるためでしたし、アヤメ様そろそろ助け舟を出してはいかがでしょうか?」



「イヤよ巻き込まれたくないもの」



「しっかしあれで治るもんなんだな。けんど昔っから親父さんに男が女のああいうやり取りに口出すな。こじれるからって言われていたから黙って見ていたが、こりゃあ今後も口出さねぇ方がいいな」



 アルフォースさんは本当にためになることをこの勇者に教えていたんだね。

 ところでそろそろ誰か助けてくれないだろうか。



「ほれほれミーシャもルナちゃんもテルネちゃんも、悪かった、このとおり」



「むぅ、わたくしも少し冷静さを欠いていたようです」



「……ソフィアも成長期なので、私も少しばかり意識し過ぎていたようです」



 ルナちゃんとテルネちゃんを撫で、これで一件落着。



「あたしは許してないからね」



「そもそもおめぇのせいだって自覚してくれよな幼馴染よ。それでどう、調子は戻った?」



「ん――」



 ミーシャがグッパと手を握っては開きを繰り返し、最後にセルネくんに目をやった。



「セルネ、あとで覚悟しておきなさい」



「うわぁ! 流れ弾飛んできたぁ! でもよかったいつもミーシャだっこれでこそミーシャ=グリムガントだよ! 睨まれただけで顔面がピリピリしてくるもん!」



「……ミーシャ、君のせいで有能な勇者が気の毒になっていることも自覚してくれよ」



「お前らと一緒じゃない時はすっげぇ優秀なんだけどなぁ。何でこんなことになっているのやら」



 僕はため息をつくと椅子に腰を下ろし、お茶を飲みほっと一息。

 そしてミーシャに目をやる。



「ガイル、ちょっとミーシャの手掴んで」



「やだよ、おいセルネ」



「いやですよ! たまにはソフィアが受けてみたら――」



「……」



「待ってソフィア無言で俺の背中押さないで」



「わたし、セルネ様から見たら化け物らしいので」



「根に持ってたよぅ」



 おっかなびっくりとセルネくんがミーシャの手を掴んだ。

 自身の手から顔を逸らし、時々ちらと片目で手を見ているセルネくんだが何も起こらない。



「いきなりされてもわからないわ」



「うんうんだろうね。ところでミーシャ――」



 何も起こらないことにセルネくんが安堵の息を吐いて体から力を抜いてしまったのだけれど、それと同じタイミングで僕は切りだしてしまった。



「ミーシャの信仰とは?」



「拳に決まっているでしょ――」



「ぶぇぇぇぇっ!」



 途端にセルネくんが吹っ飛んでいった。



「何だ今の?」



「拳は動いて……あっ、ミーシャさんの戦闘圧の可視化ですか?」



「可視化されてないんだよね。これねぇ、個人の持つ信仰を利用されて殴られてる」



「と、いいますと?」



 僕は横目に、アヤメちゃんに頭を引っ叩かれているミーシャを映す。



「つまり、対信者絶対殴るアーツ」



「……聖女なのにですか?」



「それはもう今さらでしょう。相手の使用する信仰が大きければ大きいほど威力が上がるんじゃないかな?」



「またみょうちくりんな。こいつに手数まで増やされたら手に負えねえだろ」



「すでに4本使えるんだよなぁ」



 確か獣王特権とかいうスタンドに、さらにもう一体近距離パワー型の不可視のスタンドを追加したような感じだな。

 スタンドは1人一体って決まりがあるだろうがよ。



「……あの、誰でも良いから心配くらいしてくれない?」



 そうやってべそをかくセルネくんの傷を治し撫でながら、僕たちは相変わらずな聖女様に揃ってため息をつくのだった。

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