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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
32章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、それぞれ王都の真相に近づく。

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魔王ちゃんと王宮の精鋭

「ほえ~、ここが騎士団の訓練所ですか。初めて来ました」



 陛下と生誕祭について詰めていたのだけれど、僕側でやることはもうなくなってしまい、王宮からの許可を幾つか取り繕ってもらおうかと陛下に頼んだところ、それならと城を案内してもらっていた。



 いや、陛下自ら案内をしてくれなくても良かったのだけれど、どうにも時間が余っているらしく、それと僕たちからも色々話が聞きたいらしく、そのついでということで、こうして行動を共にしている。

 その際、どこからかにぎやかな声が聞こえ、僕が首を傾げていたところ、案内されたのが騎士団――つまりこの国の騎士のエリート、王を守り、民を守る武闘派集団、そんな彼らの訓練場に僕たちは今、足を運んでいた。



 そして各々が武器を振っている中、僕の視線はある1人に注がれていた。



「さすがに目ざといですわね」



「いやいや、ミーシャじゃないんだから、見ただけで実力なんてわからないよ」



「その割には指先に力がこもっていますわよ」



「……一応魔王ですから」



 ランファちゃんに笑みを向けると、陛下が苦笑し、ルナちゃんとフィムちゃんに困ったような顔を向けていた。

 すると陛下に気が付いた騎士たちが一斉に姿勢を正し、その場に整列するように並んだ。

 そしてその中の、さっき僕が見ていた長身の男性――茶色の髪を三つ編みにして束ねて揺らしている彼が歩み寄ってきた。



「珍しいですね陛下、今日はどのような……ランファ?」



「ご無沙汰しておりますわ、ミリオンテンス騎士団長様」



「ちょっ、すっごい気持ち悪いぞ。君からそんな風に呼ばれるとゾワゾワするんだけれど。もしかして体調悪い?」



「……」



 額に青筋を浮かべたランファちゃんだったけれど、陛下が喉を鳴らして笑い、僕とルナちゃん、フィムちゃんに目を向けながら彼に手のひらを向けた。



「現騎士団長、ミリオンテンス=ソルニティ。現段階での王宮最強戦力だ」



「ちょっ、陛下止めてくださいよ。というかそちらは――」



 王宮最強か。ミーシャが一緒なら喜んだのだろうけれど、生憎今は不在だ。

 なら代わりに僕がやらかした方がいいだろうかと、チリと戦闘圧を乗せた視線を彼に向けると、すぐに臨戦体制に移行した。



 なるほど速い。

 圧は鋭く、今の一瞬でスキルを3つ使用。



「ラビットアクセル、ゲイルコンプレッサー、心貫(しんぬき)の目――『漂う不可視の脅威(センスフォルト)』『臆病者の逃走劇(フェイタルアーミン)』『常世の魔眼士』ギフト3つ持ちかぁ」



「――」



「え? リョカちゃんミリオと初対面だよね?」



「ええ、初めましてミリオンテンス=ソルニティ様、わたくし名をリョカ=ジブリッドと申しますわ」



「ジブリッド……銀の魔王か!」



 戸惑っていた騎士たち、しかし僕の名前が放たれると同時に、誰もが一斉に頭を冷やし、その身に、瞳に戦闘圧を込めた。

 流石によく訓練されている。



 その中心にいるからか、ビリビリと肌を撫でる殺気が少しくすぐったい。



 触れれば爆発しそうな騎士団相手に、僕は微笑みを絶やさない。

 しかし盛大にため息をついたランファちゃんがその手に、迸る雷を生み出した。



「『聖剣顕現――時穿つ極光の七つ星(セブンスフィムリート)地に注ぐは堅牢な稲光(カラドボルグ)』」



 バチバチと鳴る雷に、騎士たちが呆気にとられた。



「リョカさん、少し戯れが過ぎるのでは?」



「ごめんごめん、でも騎士団にとって魔王がどういう物かはわかっているつもりだよ。だから隠すわけにはいかないでしょ? 今僕はジブリッドとして王宮に来ていて、ランファちゃんのお友達として可愛い顔を振り撒いていたいからさ」



「あんなのただの宣戦布告ですわよ」



「でも僕を意識できるでしょう?」



 ランファちゃんにチョップされてヘラヘラしていると、ミリオンテンスさんが頭を抱えて陛下に目をやったのが見えた。



「申し訳ありません陛下、どうか説明をしていただけると助かります」



「あ~……うん」



 そうして、僕は初めて騎士団と接触を果たしたのだった。

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