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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
25章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、企画を任される。

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魔王ちゃんと叡智の一声

「へ~、遺跡の……というよりダンジョンか。それをリョカが生成するのね」



「うん、それとやってみたいのがもう1つ」



「また変なことか?」



「違いますよ」



 お昼休みに先生たちから頼まれごとをされた後、普通に授業を終えて僕たちは帰路についているのだけれど、1つ用事があり、少しだけ立ち止まっていた。

 その際に昼休みにお昼寝していたアヤメちゃんに事情を説明しているところで、彼女はまた妙なことをするのではと訝しんでいた。



「パーティー戦、複数人でチームを組んでダンジョン攻略。そして最後まで残っていた人には豪華賞品みたいな」



「……それ、場合によっちゃ絶対倒せない奴らとかで集まらないか?」



「えっと、この間は一般生徒のみんなは見ているだけだったので、彼らにも混ざってもらいたいって思ってたんですけれど、そうすると僕たちが強すぎなんですよね」



「そうそう、ミーシャなんかと出会ったら絶望にその場で自害するレベルだぜ?」



「……あんたおやつ抜きね」



 アヤメちゃんの頭を握りながら言い放つミーシャに、アヤメちゃんが可愛らしく鳴いた。



「だから僕たちは仲間にする人数に制限を付けようと思います。僕とかミーシャ、ガイルとかセルネくんたちには最初に出会った人とパーティーを組む。2人パーティーで行動してもらう」



「なあ、それ一般生徒もこの聖女に合わせて行動しなきゃなんねぇのか? 死ぬぞ」



「え?」



 アヤメちゃんのありがたいアドバイスに、僕は幼馴染に目をやる。

 彼女は首を傾げているが、確かに一般生徒とミーシャが組んでしまった時、暴れ回る幼馴染を止めなければならないという責務が発生する。

 無理だろう。



「あ~っと、もうちょっと詰めてみます」



「そうしなさい」



 と、僕が考え込もうとすると、ルナちゃんが腕を引っ張ってきた。



「リョカさん、ソフィアさんいましたよ」



「おっ、ソフィア、ちょっといい?」



 僕が声をかけたソフィアはオープンテラスになっているカフェでテーブルに腰を下ろしており、僕に気が付いた彼女が手を上げていた。

 そうしてソフィアに近づくと、ルナちゃんの頬が膨れ始めたことに気が付きつつも、彼女にお願いを申し出ようとする。



「ああソフィア、少しお願いがあって――ありゃ?」



 と、思ったのだけれど、ソフィアの向かいには叡智神様であるテルネちゃんがいた。



「こんにちはリョカさん、私に何か用ですか?」



「テルネ様と丁度お茶をしていたんですよ」



 なるほどと僕は頷き、ソフィアにテルネちゃんと合わせてほしいとお願いするところだったと伝える。



「そうだったんですか? えっと、それなら……」



「構いませんよ。あなたには世話になっていますし、私で出来ることなら手を貸しましょう」



「ありがとうございます。と、言っても許可を貰いたかっただけなんですけれど」



「許可? ああ『魔王特権(エクストラコマンド)』ですか」



「はい、ちょっと作りたいものがありまして」



「ふむ……どういうものか聞いても――」



「良いですよリョカさん」



「……ルナ」



「わたくしの信徒が間違った力の使い方をするはずありませんので」



 胸を張るルナちゃんを抱き上げ、抱きしめた後、ソフィアとテルネちゃんが座る席に僕とアヤメちゃんを抱き上げたミーシャも腰を下ろす。



 そして先ほどヘリオス先生とテッカから受けた頼まれごとと、僕が考えているダンジョンについて話した。



「なるほど、つまり作りたいのはそのダンジョンでの装備ですか」



「はい、いくつかは何も効果のない僕の現闇仕様の武器や防具、そしてちょっと難易度の高い宝箱には加護……小さい加護付き、ほんのちょっと強くなる程度のものをと思いまして」



「ほんのちょっとというのは?」



「え~っと、考えているのは月神様の加護を少し弄って、防御貫通……ピリッとするくらいのダメージを与える程度の魂打ちですかね」



「……そのくらいなら許容範囲ですね」



 テルネちゃんから許可が出たことに安堵の息を吐くと、ソフィアが何か言いたげに僕を見ており、首を傾げる。



「加護を弄る。ですか?」



「ああうん、今のところルナちゃんとフィムちゃん……星神様の加護は弄れるよ」



「何故フィリアムまで?」



 初耳だったのか、テルネちゃんが頭を抱えた。でもここは正直に言うしかないだろう。



「さあ?」



「……わからないのですか?」



「まったくわかりません」



 テルネちゃんが鼻背を押さえてクラと首を振った。

 だってわからないものはわからないのである。僕はルナちゃんの信徒で、確かにフィムちゃんから加護をいただいた……ほぼ奪ったけれど、それで同じように出来るとは思ってもいなかった。



「お前はまあ考えることが仕事の女神ではあるけれど、この2人のことは考えるだけ無駄だと思うぜ? それならいっそ別のことを考えた方が建設的だと思うけれどね」



「……ええ、ええ、わかってはいるのですけれどね」



「わからないからこそ、思考するのが楽しいですよね。私も、テルネ様のお気持ちはわかります」



「ええ、そういうことです。とはいえ……」



 テルネちゃんが僕とミーシャに目をやり、少し考え込んだ。



「その武具づくり、見学しても良いですか?」



「もちろん」



 とはいえ、まだしっかりと企画を考えているわけではないためにそのが済んだらなのだけれど、いつになるのか。



「その企画、私の知恵を貸しましょうか?」



「え、いいんですか?」



「ええ、中々面白いことになりそうですし、何よりソフィアの成長にも繋がりそうなので」



 叡智神様からのサポート付き、これは願ってもいない申し出だ。

 ルナちゃんが少し膨れているけれど、ここは少し我慢してもらおう。



 そういことで、僕はソフィアとテルネちゃんも夕食に誘い、そこで作戦会議をしようということで決まったのだった。

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