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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
25章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、企画を任される。

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魔王ちゃんと旅で得たもの2

「ほわぁ~、ミーシャは相変わらずよくわからない進化しますわね」



「俺のナイトマイトメタルと似たようなものか? いや、なんか根底から違うっぽいな」



「スキルじゃない……? ついに聖女であることもやめたのか」



「失礼ね、あたしはずっと聖女よ」



 話の中で、ミーシャの腕が黒くなる現象を話したところ、カナデ、そしていつの間にかクラスに交じっていたジンギくんとテッカに幼馴染は腕をむにむにされていた。



「殺気を拳に込めてるだけよ」



「わけがわからん。リョカ、人の言葉で説明してくれ」



「え~っと、多分ミーシャは『あらゆるを満たす暴食(ガルガンチュア)』認識するすべての物質化――認識した物をすべて殴れるようになるスキルを、成人の儀以降常時発動させてたっぽいんだけれど、そんな慣れのせいか、その見えないものを固めることを当たり前にやってのけられるようになった? かな。そんな感じですかアヤメちゃん」



「あ~……多分。正直お前たち2人は女神が認知できない事象を多く起こしているせいか、あんまり自信ないのよ」



「……ソフィア」



「えっと、ごめんなさい。テルネ様も、その、わからないと。だから今度研究したいからミーシャさんを招待してほしいとお願いされました」



「ソフィアさん駄目ですよ。お前から来いって伝えてください」



「ルナちゃんお口が」



 僕は苦笑いでルナちゃんを抱き上げ、頭を撫でてやるのだけれど、彼女は口をとがらせてむぅ顔しており、機嫌を直してもらうようにとにかくゆすることを決めた。

 すると横目に、カナデが似合わない顔で思案しているのが見え、僕はとりあえず見守る。



「ふ~ん……なら――」



「ふんっ!」



 ミーシャが突然空間を殴り、挑発的な顔をカナデに向けた。



「なにかしらカナデ?」



「……ミーシャとは隣に並んで敵を倒すのが良いですわぁ!」



「そうね、いつか暴れてやりましょう」



「手に負えないからやめてくれ」



 テッカが頭を抱えると、カナデの頭で丸まっていた毛玉が顔を上げた。



「この脳筋バケモノぉおおっわぁ!」



 プリマが口を開いた瞬間ミーシャに鷲掴みにされてしまい、コロコロの目を涙いっぱいにして叫んだ。



「あ~~っ! 助けてカナデちゃん! リョカ姉さま! 神獣様ぁ!」



 ミーシャの口にさっきのチョコレートを放り投げ、プリマを確保すると、ルナちゃんの隣で涙声を発しながら丸まった。



「っとそうだ、みんなにも。ほらプリマ、これあげるから顔あげて」



「みゅ?」



 プリマにそっと首輪をかけ、カナデの頭に返す。



「およ? なんかこれ? なんだろうこれぇ?」



「アヤメちゃんと豊神様……ラムダ様に頼んで精霊の力を強くする加護を付与した首輪だよ」



「わぁ……ラムダ様? って――う~ん? でもすっごい力が湧いてくるかもぉ! リョカ姉さまありがとぅ!」



「リョカ、わたくしは、わたくしは?」



「ほいほい、ちょっと待っててカナデ」



 僕はそう言って、ソフィア、カナデ、テッカ、ジンギくんにチリルッテルの宝石で出来たアクセサリーを渡す。



「宝石? 土産は嬉しいが、俺はあまりこういったものは身に付けないぞ」



「だなぁ。というか俺自身宝石みたいなもんだし、すぐ壊しちゃいそうだ」



「ほぇ~……綺麗ですわぁ」



「……ああ、これがあの」



 それぞれの反応を聞き、僕はにやりと笑みをこぼす。

 すると腕の中にいたルナちゃんが思案顔を浮かべた後、全員の宝石に目をやる。



「リョカさん、私のうかがい知らぬところで極星を増やさないでくださいと苦情が出ていますよ?」



「お父様がグエングリッターに行く時に大量のお菓子を持たせるので何卒とお伝えください」



「承諾しましたよ」



 流石フィムちゃんだ。

 うんと甘いお菓子を送ってやろう。



 僕とルナちゃんの会話を聞いていたテッカが怪訝な顔を向けてきた。



「極星?」



「そっ、極星」



「……集いし星の魂の極光(アストラルフェイト)か。確かに武器が欲しいとは言ったがな、まさか加護を持ち出してくるとは思わんだろう」



「加護じゃなくて魔王の福音だよ。まあ先にどっかで試した方がいいかもね、どんなものになるかはわからないし」



 全員が頷いたのを見て僕は大きく伸びをすると、我が家の獣たちがお腹を押さえているのが見えた。



「さて、それじゃあ今日はこのくらいにしようか。ミーシャもアヤメちゃんもお腹空いちゃったみたいだし」



「……もう昼休みよ。なんであんたたちそんなに元気なのよ」



「リョカママ、腹減って死にそう」



「はいはい」



 ぐでと机で伸びているアヤメちゃんを一撫でし、手を取って立ち上がらせると、みんなにお昼にしようと声をかける。



 まだまだ話を聞きたいのか、残念がっているクラスメートがいたけれど、ミーシャとアヤメちゃんの顔に苦笑いで、2人に謝罪をして、どこから持ってきたのか、お菓子を彼女たちのポケットに入れ始めている始末。



 そうして、グエングリッターでのお話を中断して僕たちは昼食をとりに食堂に向かうのだった。

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