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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
22章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、喧嘩爺ちゃんに会いに行く。

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魔王ちゃんと喧嘩爺の二次会

「うぇぇ、きもちわりぃ……」



「呑み過ぎ。久々の再会ではしゃいじゃうのはわかるけれどね、もうちょっと節度は持ちな」



 翌日、バイツロンドさんとパルミールさんの雇用条件を纏めるために僕のギルドの建物に足を運んだのだけれど、建物入ってすぐのエントランス兼交流所として作った広い空間で、ガイルとアルマリア、パルミールさんが酒瓶を抱えて転がっていた。



 僕はアルマリアとパルミールさんを起こし、歯磨きと着替えをすすめた後、ガイルを蹴って起こし、顔を洗うと言った金色炎について行って建物の外で水を頭からかぶる今期最良の勇者を横目に呆れているところだった。



「ほら水飲みな。一応朝食は二日酔いでも食べやすいものにしたから、落ち着いたらちゃんと食べてよね」



「うぃ、ああリョカ、昨日の飯美味かった。あんがとな」



「はいはいお粗末様」



 水を呷るガイルの背中を撫でていると、着替えを終えたアルマリアとパルミールさんがこちらにやってきた。



「金色炎の勇者が世話を焼かれているわ」



「リョカさん面倒見良いから」



「甲斐甲斐しい魔王様ね。というかガイル、あんた半分ほど年の差のある女の子に何やらせてんの」



「あ~? ああ、リョカはこういうの上手いからつい甘えちまうんだよ」



「……勇者が魔王に与える評価じゃない」



「リョカさん基本的に甘えさせたがりですから。私もお世話になってるよ~」



 パルミールさんがだらしのない大人2人を気の毒そうに見ていた。

 まあ言わんとしていることはわかるけれど、ガイルもアルマリアもどうにも放っておけないタイプの大人であるために、僕はついつい手を貸してしまう。



「まあまあ、パルミールさん朝ごはんも用意しているので、良かったら食べてください。あと厨房にレシピも幾つかおいておくので、僕たちが帰った後もそれで作ってくださいな」



「ありがとう。でもあんた、若い内からそうやって他人の面倒ばかり見ていると苦労するよ。もうちょっと年相応に我が儘を言うべき」



「え? パルミールさんを僕の好きなように着替えさせていいんですか?」



「……なるほど、これで均衡を保っているのね」



「リョカさんに捕まると一日中着せ替え人形にされるよ~。パルミールも高級志向のギラギラした服ばかりじゃなくてたまにはかわいい服も着てみたら~?」



 肩を竦めるパルミールさんに、僕はクスクスと声を漏らした。

 そしてふと辺りを見渡す。



「そういえばバイツロンドさんは?」



「あ~? そういやぁ朝出ていったな。年寄りは朝はえぇからな」



「散歩でもしてんじゃない? ジジイ基本的に本能で生きてるからこうやってフラっとどこかに出かけることなんてしょっちゅうだし」



「ふ~ん……?」



 朝の散歩は健康にいいし、これが元気の秘訣なのだろうかと感心していると、ふと僕の右目の景色(・・・・・)だけが替わった。

 これは――エレノーラ?



 と、替わった景色には件のバイツロンドさんと見覚えのある神官服の男性。



 おや? どうして2人とも戦闘態勢なのだろうか?

 僕は頭を抱える。




「あ? どうかしたかリョカ」



「……バイツロンドさんがロイさんと戦ってる」



「マジか! 行かなきゃ――」



「止まれ金色ゴリラ! なに一瞬で二日酔い治してんだ」



 飛び出そうとするガイルを制して、僕はアルマリアとパルミールさんに目をやる。



「ロイさんも朝散歩しているみたいですからね~、かち合っちゃったんじゃないですか~?」



「ジジイの鼻が察知したんじゃない? 昨日も喧嘩したいって言ってたし」



「ロイさん意外と好戦的だからなぁ。でもあの2人が戦うと周りにも影響でそうだから僕たちも行くよ」



「行こうぜリョカぁ!」



「お前はもうちょっとワクワク顔を隠せ!」



 デパートに初めて行く子どものようにはしゃぐガイルの腕を掴みながら、僕たちはロイさんとバイツロンドさんが戦っている場所まで急ぐのだった。

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