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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
21章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、故郷の戦いを思い出す。

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魔王ちゃんとやっとのんびりグエングリッター

「ほい、みんなもう満足したでしょ? 戦うのはこれで終わりにして、今日はゆっくりしましょう。ガイルたち、暫くはこっちにいるんでしょう? 宿とかこっちで何をするかの相談をしなきゃ」



 こちらでの生活について全く考えていなさそうなガイルを咎め、とりあえず夕飯は一緒でいいか尋ねた。



「すみませんリョカさん、わたくしが率先してやることでしたのに」



「というかガイル引率で、大して休めていなかったのにさらにこれだったからランファちゃんも疲れてるでしょ。今日は僕がやっておくから体を休めな」



「ありがとうございますわ。ああそうだルナさん、その出来たらでよろしいのですが、先ほどの戦闘を記録して持ち帰ることは出来ますか? テッカさんへの報告に使いたいです」



「大丈夫ですよ。ただランファさんが持って帰らなくてもテルネがテッカさんに見せるのではないでしょうか。今もソフィアさんと見ていたみたいですし」



「そうなのですわね。ソフィア、変にやる気になっていなければ良いけれど」



「もう遅いとだけ言っておくぜ」



 頭を抱えるランファちゃんに、スピカも手を上げた。



「それ、私も欲しいわ。極星を選ぶギルド――その時に今のを見せて、星を穢すような真似をしたら銀色の魔王が夜な夜な月に紛れてやってくるぞって触れ込みたいのよ」



「ちょっとスピカ、人のこと怪奇現象にしないでくれる?」



「あとで渡しますね。ただ普段世界を視るのと違って、完全に別世界を覗いていることになるので、仰々しい道具になってしまいそうですけれど、大丈夫ですか?」



「ええ、ありがとうルナ。これで変なことを考えて極星になろうとするやつを弾けるわ」



 極星の未来を真剣に考えているスピカとは対照的に、明日の寝床すら考えていない勇者のおっさんに目を向ける。



「おい引率の先生、まだか弱い生徒を野ざらしで寝かせる気?」



「うんなわけねぇだろ。お前がいれば寝床は確保してくれるだろ? だから捜してたんだよ」



 懐っこい顔で言うもんだから、僕はガイルのすねを一度蹴りため息をつく。



「僕は基本的にミーティアでスピカたちにお世話になるつもりだけれど、ガイルたちはどうするのさ?」



「う~んそうだな……おいセルネ、ランファ、お前たちはとりあえずブリンガーナイトを手伝ってやれ」



「え~、勝手に決められてる」



「ヴェインよぉケチくせぇこと言うなや。それにさっき見た通りこの2人なら邪魔になんねぇだろ、この機会に戦力の強化でも図れよ」



「ガイルさんはどうするの?」



「ん~、俺は……とりあえずリョカたちと一緒にいる。こいつらと一緒だと厄介ごとが勝手にやってくるからな」



 生徒そっちのけで楽しむ気満々だな。あとでアヤメちゃんに頼んでテッカに報告してやろう。



「ウルミラ、セルネとランファに色々学んでみろ。お前さんならこの2人と一緒でもついていけるはずだぜ」



「は、はい! セルネさん、ランファさん、よろしくお願いします!」



「うん、なんというかまともな人と一緒に依頼受けるの久々で、逆に緊張しちゃうな」



「まともでなくて悪かったですわね。常識人ぶって判断を遅らせることのないようにお願いしますわ」



「ふふ、入学当初あんなに慕ってくれたランファはもういないんだ……」



 遠い目をしているセルネくんを撫でると、獣の耳をピコピコさせ片方の頬を膨らませながらくっ付いてきた。

 この子いつの間にかボディータッチに躊躇がなくなってきたな。



 するとロイさんが僕に頭を下げてきた。



「リョカさん、少し暇を貰っても宜しいでしょうか?」



「う~ん? 別に構わないけれど、やっとやりたいことでも見つかった?」



「ええ、せっかくなので私も生きている何かを残そうと思いまして。ヴェインくんたちを本格的に鍛えようかと」



「りょうか~い。というか別に僕に許可をとる必要はないよ、ロイさんはロイさんの好きに生きればいいんだから」



「ええ、ですからこうやってあなたの許可を貰いました」



 色男め。

 そうやって普段見せない爽やかな笑顔でウインクをするなんて、奥さんが周囲に嫉妬するのも頷けるな。



「お~お~良いじゃねぇか。ついでにマルエッダとランガ、あとキョウカも見てやれよ。ランガはともかく、現役の極星がその程度の力っつうのは問題だろ」



「……ガイル様、相変わらず歯に衣着せぬ物言いですわね。自覚はしていますが、改めて言われるとそれなりに心が痛みますわ」



「マルエッダ嬢、そもそもあなたは聖女です。腕力だけが必要な在り方とは違いますし、少なくとも私は、あなたの聖女としての生き方は尊敬していますよ」



 すぐにフォローを入れたロイさん。けれど気付いて、その先代星の聖女様、ロイさんから褒められるのをわかって言っているよ。

 だってもう顔が乙女だもん、その顔を見てスピカが頬をすぼめて半目で見つめているもん。



 僕は彼女たちから目を離すと、アルマリアとエレノーラを見る。



「2人はどうする?」



「う~ん、エレノーラどうします~?」



「お姉ちゃんと遊びたい」



「エレノーラは可愛いですね~。それじゃあ色々探検でもしますか~」



「うんっ」



「それじゃああたしもついて行こうかね。ロイくんは1人でも大丈夫そうだし、女3人姦しく行こうか」



 それぞれの予定が決まり、僕はみんなが動きやすくなるようにスピカやヴェイン、マルエッダさんに話を詰めていく。

 まだまだ目的は達成していないし、とりあえず旅行と観光感覚でグエングリッターを満喫しようと決めるのだった。

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