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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
14章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、初めてのギルド。

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魔王ちゃんとのんびり牛歩

 僕のエクストラコードなるスキルについてはとりあえず保留ということで話は終わった。

 まだ尋ねたいこともあったけれど、今聞いたところでどうにかなるわけでもなし、僕はため息を吐き、頭を切り替える。

 すると、部屋に向かって歩いて来る人が1人、魔王オーラに引っかかった誰かさんに、僕は口を開く。



「開いているよ。どうぞ」



「あ、はい、失礼します」



 ウルミラさんが書類を手に頭を下げた。

 まあ、どんな理由であれ、それは確認するか。



「極星は僕たちのことをなんて?」



「え? あ、えっと……リョカさんの指示に従うようにと」



「そう、僕はブリンガーナイトの極星と面識はないんだけれど――そういうことなら指示を出そう」



 先ほど、僕たちが話し合っている最中、おかしな気配を察知した。

 そのおかしな気配が極星と呼ばれる実力の持ち主かはともかく、ブリンガーナイトには厄介なギフトを持っている者がいる。



「あの、ヴェインさん……ギルドマスターから、あなた方とはとにかく敵対するなと警告を受けました。皆さんは一体何者ですか?」



「ただのA級冒険者だよ」



 僕は部屋の窓を開け放ち、最初に入ってきた風(・・・・・・・・・)に囁くように告げる。



「僕たちはこの国を脅かしに来たわけではない。と、伝えてください」



「――っ」



 ウルミラさんが驚き息を呑んだ。



「ああ、風だったのね。殴ろうとしたけれど、しなくて正解だったわね」



「駄目だよ。一応風と感覚が繋がっているんだ、殴られたら痛みも感じるはずだよ」



 アルマリアが首を傾げており、彼女を撫でる。



「『風に囁く者(ミリオンヴァイド)』風と意識を同化させることで、あらゆる情報を五感で覚える上位の自己強化型のギフトだね」



「……普通気が付きませんよ」



「風が生温かったから」



 引き攣った顔のウルミラさんに笑顔を返し、再度窓から外を覗く。



「それじゃあそろそろ動こうか」



「そういえばエレノーラ戻ってきているわね。今誰が見ているのよ」



「ロイさん」



「それ大丈夫なの? あたしが行く前に終わっていそうなんだけれど」



「うん、まさにその通り。もう全員再起不能みたいだよ」



 エレノーラクマが丸い手を上げて勝ち誇っている。

 人さらいが増えてきたからエレノーラを下げてロイさんを向かわせたのだけれど、さっきロイさんの血思体がやって来て、すでに無力化したと報告を受けた。



「少し暴れたかったのだけれど」



「さっき暴れたでしょうに。まあやることはまだあるから心配しないで」



 と、僕たちが話していると、ウルミラさんが困惑しており、僕は彼女に手を差し出す。



「さて、彼らは随分と愉快な話をしていてね。それが今夜決行されるらしいんだ、少し手を貸してもらっても良いかな?」



「……もう1つ。ギルドマスターが、ぜひあなたと戦ってみたいと言っていました。自分の実力がどの程度か知れるいい機会だと」



「それはデートのお誘いかな?」



「はい、この件が終わったらブリンガーナイトの本部へ来てくれませんか?」



「いいよ。ブリンガーナイトほどの大きなギルドと接点を持てると、こっちも都合がいいからね」



 ウルミラさんの手を握り、僕たちは宿屋を後にする。



 人さらいの件はまだまだ根が深そうではあるけれど、とりあえず極星ギルドと接点が持てたのは成果としては大きい。

 彼らがアルフォンスさんの居場所を知っていると良いのだけれど。



 そんなことを考えながら、元魔王のクマに追い詰められた彼らを見に行くことを楽しみに足を進ませるのだった。

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