鏡を見てあなたを想い、流れ星に幸せを願う
『なろうラジオ大賞3』応募作品です。
テーマは鏡
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ここは、はじまりの地。全てのはじまり、世界のはじまり。流れ星のキレイなキレイな箱庭です。
その地には、よく似た双子の兄妹が居ました。夜になると、二人は毎日流れ星を探します。流れ星を見ると加護が貰えるのです。加護が貰えると、この地で幸せになれます。同じ歳の子供達は、もうみんな加護を貰っていました。加護が無いのは、双子の兄妹だけでした。
ある朝、いつもの時間に起きたのに兄が隣のベットに居ませんでした。妹は不安になって部屋を出て階段を駆け下りました。兄はリビングに居ました。イスに座って、何か考え込んでいます。
数日前、兄は外から来た行商人を見ていました。
(お兄ちゃんは、外の世界に興味を持ったのかもしれない)と、妹は思いました。
その日は、いつもよりハッキリ星が見えていました。妹は一生懸命流れ星を探します。そして、キラキラ輝き落ちてくる星を見つけました。妹はゆっくり目を閉じて、流れ星の加護を貰いました。
次の日、妹の枕元には、星の石が置いてありました。流れ星を見ると、加護を得た証に星の石が贈られるのです。妹は嬉しくなって、兄を起こして話しました。でも、流れ星の加護を貰ったのは妹だけでした。兄は流れ星を見つける事ができなかったのです。
十五の年の誕生日。加護が貰える最後の日。その夜は、流れ星を探しませんでした。兄は外の世界に行く事を選んだのです。妹はとても寂しかったけれど、兄の決意が固いことを知りました。寂しくなったら鏡を見て妹を思い出す。会いたくなったら、行商人になって会いに来る。と、約束しました。
だから、妹も鏡を見ながら兄を想い、流れ星の加護に願います。外の世界で兄が幸せになれますように。兄が見る鏡の中の私が、いつも笑顔でいられますように・・。
◆◇◆
母親が絵本を読み終わると、まだ寝ていなかった息子が言いました。
「お母さん、このお兄ちゃんは幸せになれたの?」
「さぁ?・・でも、幸せだといいね」
「えー!わからないの?続きは?」
「続きはないけど、今度聞いてみればいいじゃない」
「誰に?」
「ふふっ、お兄ちゃんに!」
明日、行商人の一行が外からやってきます。私は夜空を見上げて、流れ星に願います。いつも鏡で見ていたような、笑顔の兄に会えますように。
『流れ星の箱庭』を息子に読み聞かせしたら、
「続きは?」と言われたので書いてみました。
妹視点のお話です。
うちの子に、
後はご想像にお任せします♪は通用しませんでした
(^◇^;)