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醜悪な自作自演

 今日は王立学園の卒業式。


 王太子の答辞をもって式は終わり、王城にて華やかなパーティーが開催され、その場で王太子妃の宣下もなされる。


 ベアトリーチェはやや青ざめた顔色ながら、決意に満ちた表情で出席した。

(選ばれるのはわたしではないかもしれない。でもわたしはベアトリーチェ・オースチン。わたしはセドリック様の婚約者。最後まで引き下がるわけにはいかない)


 同じ頃、ユリアナ・バウアー男爵令嬢は勝利を確信した表情で笑っていた。

(これが逆ハーエンド。勝つのは私よ)


 それぞれの思いを胸にパーティーの幕は開く。


 全ての出席者が揃ってから王族の入場となる。国王と王妃、王太子、第二王子。そして第一王女。いずれも美貌の王族ばかりだ。それを目にしたユリアナは笑う。

(このイベントが終わったら、私も今日からあの中の一員だわ)


「皆のもの。本日は学園の卒業おめでとう。王太子セドリックも無事卒業した。その妃選びの最終詮議を行う。婚約者であるベアトリーチェ・オースチン侯爵令嬢。前に出よ!」

厳かな国王の声が響く。


「はい」


 淡い水色のドレスを着たベアトリーチェが進み出てカーテシーをした。


「ベアトリーチェ。セドリックの妃として共に歩む覚悟はあるか?」

「はい。ございます」

「では-」

「お待ちください!ベアトリーチェ様はセドリック様にふさわしくありません!私の方がセドリック様を愛しています!」

 真剣な一幕を切り裂いたのはユリアナの声だった。


 一瞬の静寂の後、王族を守る近衛騎士たちが気色ばんだ。

「陛下の言葉を遮るとはっ!不敬である!」


それを押し留めながら国王が問う。

「そなたは何者だ?」

「バウアー男爵が娘、ユリアナと申します」

「男爵令嬢が王太子の婚姻に何の関係がある?」

(ここが正念場よ。私はヒロイン。ここは私の舞台。私は全てを操れる。いつも通り儚く、か弱く、庇護欲をそそるように…)


「わたしはセドリック様と学園で親しくさせていただいておりました。それでベアトリーチェ様の嫉妬をかい、陰湿な嫌がらせを受けて……」

(辛そうに苦しそうに…)


「どうなのだセドリック?」

「事実無根です。私はその者に名前を呼ぶことを許した覚えもありません」

「そんな……セドリック様!」

(とても酷いことを言われたと、誰からもわかるように顔色を変えて…)


「その者は私たちに醜悪につきまとうので、犯罪の意図を考え監視しておりました。その後、ベアトリーチェに害意がありとの報告を受けて遠ざけました。全てベアトリーチェを守る為です」

 セドリックは心を動かさない。とても冷たい目をして言った。


「わたしはベアトリーチェ様に教科書を破かれ、制服をズタズタにされて……暴力を受けて身体に傷を負ったこともありますっ!」

「ベアトリーチェが危険にさらされないよう連日護衛が数名付いております。カルロス、アンジェラ。報告せよ」

 もう麗しい王太子の顔などない。自らの敵には情け容赦のない、氷点下の美貌がそこにあった。


「「報告っ!ベアトリーチェ様はユリアーナ嬢と一度も話しておりません!」」

 声を揃えて護衛たちがキッパリ言った。


「では私が受けた嫌がらせは!?」

(くっ!まだ負けないわ!身体を震わせ涙ぐんで…)


「自作自演です。カルロス、映像をこれに」

「はっ!」

 もはやユリアーナは見る価値もないと、護衛にのみセドリックは声をかけた。


 広間の真ん中にスクリーンが出現した。確かにユリアナの、とてもおぞましい姿が写し出された。


-制服をハサミでズタズタに切り裂くユリアナ-


-教科書を力任せにビリビリに千切るユリアナ-


-階段の上から転げ落ちるユリアナ-


 底無し沼のような暗い目をして、口角だけを吊り上げた般若の顔。そして画面の片隅には必ず一人きりのベアトリーチェがいた。日向ぼっこをしたり本を読んでいるベアトリーチェを確認してから、ユリアナの凶行は始まるのだ。


「「「「「……ヒッっ!!」」」」」

 息をのむもの、顔色を悪くするものが続出した。


「衛兵。ユリアナを牢に繋げ」

 静かなセドリックの声が響き、ユリアナは拘束され連行された。



「こんなの嘘でしょう!?セドリックっ!やめさせてよ、セドリック!!」

 騒ぎたてるユリアナの声だけが辺りに響いた。

サイコパスにの診断20を書き出して、完全に無理な4ケを除いて、診断に添った人物像になるよう努力しました。

wikiさん感謝です。途中で編集入ったのがレアでした。

お読みいただきありがとうございます。

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