8月5日 月曜日 PM8時
結局3人でご飯でも食べようか、ということになった。
晩飯を外で食べるといっても、基本お金のない自分たちが行くところといえば、駅の近くのファミレスくらいのものだった。店内は家族連れや、ヤンキーの集団で賑わっていた。
「ツイッター?」森内がカンロク充分に問いただした。
なぜ俺とラティが友達になったかということは、森内にはSNSで出会ったと説明した。時々感じることだが、森内と喋っていると、面接を受けているみたいな気分になる。ちなみに俺は本当はツイッターは、やらない。
「やるねえ、ヒロト」
森内はそう呟いたきり、あまり詮索しようとはしなかった。あとは美味しそうにキムチ雑炊を食べていた。俺とラティはチーズハンバーグ定食を食べた。
「こんな可愛いコ、そうそう街を歩いてないぞ」
「ありがとう」ラティは笑った。
「森内さんは彼女いるんだね」
「えっ?」ラティに言われ、森内は俺の方を見た。なんで俺のことを? という表情だ。たしかに森内には彼女がいるのだ、それも、けっこう美人の彼女が。
「わかるよ、あたしには男女の縁が見えるの」
「そうなの? じゃあ、誰かいいコ紹介してもらえよ、ヒロト」
「もう、紹介してあげたし」ラティがすかさず、やや得意気にそう言った。
「まじか」森内が俺を見る。
「ああ、けっこう可愛いコだぜ」
「写真とかある?」
「いや」そう言えば桃果と、写真は撮ってなかった。
「そうかあ。よかったなヒロト、ついに春が来たな。今度会わせてくれよな」
それからしばらくの間、最近観た映画の話とか、『ボヘミアン・ラプソティー』のラミ・マレックの演技について、熱く語った。
ラティはチーズハンバークを食べつつ黙って聞いていたが、森内は社交的で話し上手な奴なので、時々ラティにも話題を振り、しばらく経つとすっかり打ち解けていた。
そして、ファミレスを出て、また来週にでも遊ぼうぜ、と言い、森内は去って行った。