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8月5日 月曜日 PM7時

 少し疲れたので(俺だけが、少し疲れたので)、『ユニクロ』を出た後、モールの中に有る、カフェに入り休憩をする。

「ふふ」

 ラティはモンブランを美味しそうにほおばりながら、時折うれしそうにスカートの裾をなでている。

 早速買ったばかりのワンピースに着替えたのだ。購入した後、店の試着室を使わせてもらい、着てきた黒い服は、紙袋に入れてもらった。

 そういう、新しい服を着て、無邪気に喜ぶところは、普通の女の子だな、と思う。

 ワンピースは、とても似合っていた。それにやはり、今の格好のほうが、風景に溶け込んでいる。


「これから、どうする? あと、どこか寄りたいところとか、ある?」

「うーん、CDショップとか」

「好きだなー音楽が」

 俺も音楽は良く聴くし、特に洋楽のロックが大好きなのだが、ラティはクラシックばかり聞いているから、話は合わないかもしれない。

 

「ちょっとお手洗い行って来る」

「ああ」

 ラティが席を立ってすぐ、後ろから肩を叩かれた。

「可愛いコじゃないかー。ていうか彼女できたんだな」

 振り返ると森内が立っていた。


***************


 森内は大学に入って一番最初にできた友達だ。映画サークルで出会った。うちの大学の映画サークルは一切映画を撮影しようとはせず、男しかおらず、ひたすら見た映画の話をしているという活動をしている。

 森内はすごくいいやつだと俺は思う。が、ルックスがものすごくおっさんくさい。何というか、身体のシルエットが『完成されたおっさん』の、それなのだ。


「違うって、友達」何と説明しようかと思ったが、とりあえずそう言っておこう。

「なんか外人ぽかったけど、ハーフ?」

「あー外国のコなんだ」下界じゃない、という意味で別の国だよな。

「日本語は喋れるけどな」

「へえ、そうなんだ。まあ、あんまり詮索するのもアレだし、俺はこの辺で」

 森内が手を振りつつ後ろにあとずさって行く。

「え、何で去っていくの?」

「いや、可愛い子とお茶しているところを、邪魔するほどヤボじゃねえよ」

「いや、いいって、もう少し居ろよ」


「おともだち?」

 ちょうど戻ってきたラティが、可愛らしく首を傾けた。

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