第0話 決意 決意 決意
悪魔たちとの戦いの中で特に大きな戦いは名前が付けられる
1番最初の悪魔たちとの戦い
「第一次悪魔侵攻」
多くの国家が協力して挑み惨敗した戦い
「崩壊戦争」
精霊参戦1度目の戦い
「精霊聖戦」
歴史上1番最後で最も大きな戦い
「全世界共同戦線」
この4つは生き残った人間のほとんどが覚えているほど有名な戦いだ。そして俺、柊 創夢は第一次悪魔侵攻に16歳の時巻き込まれた。その戦場が俺の生まれ育った町だったからだ。その時のことは今でも鮮明に思い出せる。
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「じゃあ母さん、学校行ってくる。」
「えぇ、行ってらっしゃい気をつけてね。」
そう、簡単な挨拶をし、玄関の扉を開けた時だった。何かが空から降ってきたと思ったら一瞬で家の前が物凄い音とともに火の海になった。頭の理解が追いつかずただ呆然としていたが遅れて先日学校の授業で習った戦争の話を思い出した。急いで逃げなきゃと思った僕は振り向いて母さんの方を見ると、
後ろは一面氷で覆われていて、母さんも氷漬けだった。意味がわからなかった。目の前の現象に固まってしまっていると、天井を突き破って、異形の怪物が現れた。そいつは、僕の方を見て
「あ?なんで生き残ってやがるんだ?俺様の大魔法が炸裂したんだぞ?並みの生物は氷漬けのはずだが・・・」
といい俺を舐め回すように見てきた。
僕は目の前の怪物への恐怖と意味のわからない現象のせいでその場にへたり込んでしまった。
「お前が強いやつじゃねーってことはわかった。じゃあなんだ?お前幸運にも俺様の魔法の範囲外にギリギリいたのかよwまぁそりゃそうか人間が悪魔に勝てるわけねーもんなw」
魔法?範囲外?悪魔?なにを行ってるんだこいつ!?っちがう!そんなこと考えてる場合じゃない!はっ早く逃げなきゃ殺される!
「逃がすわけねーだろ?」
逃げようとした先に急に現れた氷の壁に僕は避けることもできず、
「ふべっ!?」
思い切りぶつかってしまった。でも死にたくなかった僕は必死にそれでも他の道から逃げられないかと周りを必死に見渡した。すると、
「はっはっは!なんだそりゃ!間抜けにもほどがあるぜ!はっはっは!あー、おもしれーなーお前腹いてぇ。そうだな特別にお前は逃がしてやるよその方が面白そうだ。あ、でもタダじゃ逃がさねーぜ?鬼ごっこだ。その壁を消して10秒後に追いかけ始めるからせいぜい足掻けよ?」
そういう怪物の僕に向ける目は明らかに玩具を見る目だったが、僕はそれでも死にたくなかったから必死に消えた壁の先に逃げた。
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そうして僕は1時間、いや実際には5分も経ってないのかもしれない。それくらいの間ずっと逃げ続けた。やつは僕からは見えないどこかから、
「おいおい、遅いぞー?そんなんじゃもう殺しちまうぜ?」
「もうバテたのかよwそんなに死にたいのか?」
「ほら、あと少しで追いついちゃうぞーw」
と僕の恐怖心を煽ってきた。それでもなんとか僕は逃げ続けたけど、とうとう体力の限界が来て膝から崩れ落ちるように転んでしまった。そこにやつはやってきて
「あちゃー、流石にもう終わりか。まぁそれなりに面白かったぜお前w」
と言って僕の顔面を掴んで持ち上げ、
「火あぶりと氷漬けどっちがいい?」
と耳元で囁いてきた。
「ーーーーっ!」
僕は声にならない悲鳴をあげ、必死に暴れて拘束を解こうとした。しかしやつはビクともせず
「そーかそーか、半分づつ別々にやってほしーか!しょーがないなー特別にそんなわがままを聞いてやろう!なんてったって俺様は上級悪魔のヴェルゴウン様だからなぁw!」
そう言ってやつは、ヴェルゴウンは僕を掴む力を強めた。その瞬間僕は自分の死を悟った。しかし想像していたことは起こらなかった。この後のことを考えたら僕は死んでいた方が良かったのかもしれない。
コツンと何かがヴェルゴウンにぶつかる音がした。
「あ?誰だぁ?俺様に石を投げつけやがった糞虫野郎は!」
「創夢を離して!」
こ、この声は、
「な、凪ちゃん?」
僕はなんとか力を振り絞って彼女の名を呼んだ。
彼女は朝野凪。僕の幼馴染で僕の片思いの相手。
なんで凪ちゃんが?
「テメェ!死ぬ覚悟はできてんだろうな!いや、死ぬより辛い目に合わせてやる!」
ヴェルゴウンはそう口にするやいなや、僕を投げ捨て凪ちゃんの首を掴んで持ち上げた。
「ぐっ!」
「テメェは本拠地に連れて行って玩具にして痛めつけてやる。だがその前に!俺様を愚かにも攻撃したその右手だけはここで2度と使えんようにしてやる!」
ヴェルゴウンがぐっと力を込めたと思ったら凪ちゃんの腕から炎が出た。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「凪ちゃん!!」
彼女の元へ行こうとするもさっきまで逃げていたせいで思ったように足が動いてくれなくて立つこともできない。
「気が変わった。この女をさっさと連れて行くからテメェは見逃してやる。まぁどうせお前みたいな雑魚はすぐ死ぬだろうがな。」
と言ってヴェルゴウンは蝙蝠のような羽根を広げた。
「ま、待て・・・!凪ちゃんを離せ・・・!」
「い、いいの創夢!これであんたが生き残れるんだから・・・!」
そういう彼女の顔は先ほど焼かれた右手のせいで苦痛に歪んでいたが、僕を安心させようとしてるのが馬鹿でもわかるような下手な笑顔だった。
「創夢は精一杯生きて!私の分まで、大好きな貴方が生きて!!」
「凪ちゃん!!!!!」
そこまで聞いて僕はボロボロの体をなんとか起き上がらせたが、
「ふん!まぁ最後の挨拶ぐらいは待ってやったぞ
お前は玩具として十分働いたからなその褒美だ。
だがもう今のが別れの言葉だ。」
そう言ってヴェルゴウンは羽根を大きく羽ばたかせあっという間に遠くに行ってしまった。それをただ見ることしかできなかった僕は自分の無力さに大泣きした。赤子でもそんなには泣かないというほど泣いた。とても長い時間泣き続けた。涙が枯れてなお泣き続けた。丸一日ほど泣いてやっと泣き止むことができた。だが、無力感だけはずっと残っていた。死にたくなった。でも凪ちゃんは精一杯生きてと言った。だから生きなきゃ、でも凪ちゃんのいない場所で生きる意味なんてあるのか?そもそも精一杯生きるってなんだ?凪ちゃんには何もしてやれないのに精一杯?分からない分からない分からない。でも凪ちゃんが言ったから精一杯生きないと、そうだなまず男らしくしよう今まで凪ちゃんにもよく「あんたはなよなよしすぎ!」って言われたし。一人称を俺に変えて口調も変える。次はどうするか。精一杯ってことはできること全部するってことだよな。じゃあ効率よく行動して無駄なことは全部しないようにすればいいんだ。そうだ、うん効率よく動こう、そう考えたら早くここから移動しよう。ずっとここにいるのはあまりにも無駄すぎる。
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これが俺の原点だ。精一杯生きるために効率よく生きなきゃ。それが凪ちゃん、いや、凪が俺に言った最後の言葉なんだから。




