天眼とステータス
2話目の投稿です。
やっぱり話を文書にするのは大変だと実感します。
「私の名前は『クレア・シルフィード』よ。気軽にクレアと呼んで良いわ。」
「俺は『長道 悠哉』だ、じゃあ、クレア早速なんだがさっきは何で俺の名前を知ってたんだ?」
彼女は初対面にも関わらず、いきなり自分の名前を言い当てたのだ。気にならない方がおかしい。
「簡単よ、私のスキル[天眼]これであなたのステータスを覗き見てたってわけ。」
クレアは自らの目を指差し自慢気に言う。
「スキル?ステータス?・・・悪いけどクレア、その辺から話を聞いていいか?」
ゲームなんかでは聞いたことのある単語でも実際に聴くと自分の判断基準とズレていることが多い。
こう言う時には素直に教えを請うたほうが利口だ。
「いいわよ。そうね、わかりやすく言えばスキルっていうのは特殊な能力や技術のことで元々その人の中にある才能や努力によって出現する物のことよ。」
「?よくわからん」
「はっきり言うのね。・・・実際に見た方が早いわ、ちょうど貴方には空きがあるみたいだしね。」
そう言うと彼女は立ち上がり俺の額に指を当て、そのままゆっくりと目を閉じた。
「何を?」
「少し集中して、貴方も目を閉じて。」
「・・・・・」
言われるがままクレアの言う通りに目を閉じる。
数十秒後、彼女の指先から熱い何かが伝わり、ゆっくりと眼の全体を満たしていく。
「これでOKよゆっくり目を開けてみて」
彼女に言われゆっくりと目を開ける。
「?何も変わらないように見えるけど。」
目の前にはクレアの姿しか写っていない。
・・・改めて見ると中々の美女である。
「そう?それじゃあ、もっと集中して見て」
「集中・・・」
言われて眼に少し力を込める。
すると・・・
(・・・お?)
クレアの横に文字が浮かび上がる。
______________________________________
〜クレア・シルフィード〜(20)(♀)
種族:人間
Level:58
腕力:78
耐久力:105
素早さ:40
魔力:980
職業:召喚魔術師・A級冒険者
契約獣:セイレーン、神鳥
スキル・特殊技巧
・召喚術LV9(max10)
・契約術LV10(max10)
・薬物耐性LV5
・天眼
・火炎魔法LV5 ・水魔法LV6 風魔法LV9 土魔法LV5
・調理技術LV8 ・回復魔法LV3
___________________________________________
そこにはゲームのステータスの様に文字が並んでいた。
「これが・・・」
「そう、スキル『天眼』の能力よ。相手のステータスを見たり、道具や薬草なんかの鑑定もできるわ。」
興味本位で目の前に注がれた紅茶を鑑定してみる。
___________________________________________
〜紅茶〜
種類:ダージ
注意:微量の薬物反応あり。
___________________________________________
・・・微量の薬物反応って何だよ。
「クレア、この紅茶何か薬物が入ってる様なんだが?」
「下剤」
「なんでそんなもの仕込んでるんだよ!?」
「趣味?」
「趣味!?」
ツッコミどころの多いことを言うクレアは悪戯に成功した子供の様に笑う。
「良い反応ね。冗談だったんだけど、ここまでスキルが定着するなんて珍しいわ。」
そう言いながら彼女は新しく淹れた紅茶を2人分俺の前に置いた。
「そうなのか?っていうかスキルって譲渡やコピーが出来るものなんだ。」
さっき話した内容では元々ある個人の才能や努力によって出現するのがスキルだと言っていたのに対し彼女のした事には矛盾が生じていた様に思う。
「もちろん、普通は出来ないわよ。」
そう言って彼女は懐からビー玉の様な玉を取り出す。
「これは『写し身の宝珠』というこ古代遺物よ詳しいことは『天眼』で見てみれば良いわ。」
言われて目に力を込める。
______________________________________
〜写し身の宝珠〜
・持ち主の持つスキルを他者へ移すことが出来る。
・使用制限12回
・残り1回
_______________________
「ちなみに古代遺物は大昔いた大魔導師がスキルを使って作った物でそれぞれが特殊な能力を持ってるの。使用制限なんてのもあるけど、物の中には半永久的に使える物もあるわ。」
「貴重品だろ。良かったのか?見ず知らずの男に使って」
「構わないわ。私は使う予定もなかったしね。それに貴方達を呼び出したのはこの世界の人達の都合で私はそれに加担した。これはそのお詫び。あなたには必要なスキルだったしね。」
確かにかなり便利なスキルだ。
このスキルがあれば相手の強さや切り札なんかを見通し、事前に対策をすることも可能になる。
「ひとつ付け加えるけどべつにステータスやスキルを見るのは天眼に頼らなくてもいいの。」
そう言ってクレアは懐から一枚のカードを取り出す。
「これが『個人基礎表』よ。この世界の・・・身分証みたいな物になるわ。」
「へぇ。」
そう言ってステータスプレートを見てみる
______________________________________
〜クレア・シルフィード〜(20)(♀)
Level:58
腕力:78
耐久力:105
素早さ:40
魔力:980
職業:召喚魔術師・A級冒険者
スキル・特殊技巧
・召喚術LV9(max10)
・契約術LV10(max10)
・薬物耐性LV5
___________________________________________
「?」
クレアのステータスプレートを見て違和感に気づく彼女のステータスプレートと天眼で確認したステータスはかなり違った内容だったからだ。
「クレア、ステータスプレートって書き換えができるのか?」
「正確には書き換えることは出来ないわよ?さっきも言ったけどステータスプレートは身分証、他人に見られて困る内容は隠す事が出来るの。私の場合、契約獣と一部のスキルを隠してるの」
「なんでだ?」
「契約獣を隠すのは他の人に手の内を明かさない為よ。」
他の魔法が使えても基本は召喚魔術師、契約獣を知られるのはデメリットでしかないのだろう。
「スキルや特殊技巧は多く種類があると他の面倒な奴に目をつけられやすくなるの。普通の人ならあっても3、4個かな?」
「そうなのか?」
はじめに見たのがクレアのステータスだったのでそれが普通なのだと思ったが違った様だ。
「普通の可愛い女の子が多彩なスキル持ちのチート魔術師とは」
天は二物を与えず、という言葉は嘘なのだろう。
「あら、可愛いだなんて嬉しいこと言ってくれるわね。そう言う貴方も整った顔立ちをしてるわ。女装とかも似合いそうだもの。」
「褒め言葉と受け取っておきます。」
棒読み式に答える。
整った顔立ちはともかく女装が似合うなんて言われて嬉しくはなる男はいないだろう。
・・・幼馴染に女装させられ学園のミスコンに出場したトラウマがあるのだ。
女装なんて絶対しない。
「・・・なんだか遠い目をしてるわね。」
あんな目に合えば当然だ。