ロープレでは基本、でも現実ではありえない。
この作品はフィクションです。作中のゲーム機・ロープレは架空の商品です。現実にある商品とは一切関係ありません。しかし主人公の作中の遊び方には、実際に作者が当時、行った事です。
頭には、親父が残した工事用のヘルメットに、ヘッドバンドで固定されたLEDランプ、裏地にアルミ加工された暗い灰色の農作業用の作業服上下セット、足を守るために鉄板の入った安全靴、軍手と腕時計、背中には、昼飯の入ったリュックサック、その両側のサイドポッケトには、1000mlのペットボトル、通信・アラームの為のスマホを、首にかけるストラップで紛失を防ぎ、左の胸ポケットに入れてボタンを掛け、右手に3本フォーク、左手にはドロップアイテム回収用のキャスター付き旅行鞄。
端から見ると絶対に、ファンタジーRPGの冒険者には、見えないのだが、一応、迷宮探索者労働組合の、ガイドラインは合格した装備だ。少なくとも、この装備で30階層までは、保証されてる。ダンジョン内部は、魔物を倒すと、探索者は『レベルアップ』する、同時に装備品(特に身に装備した)も、レベルアップする。下層階の魔物のドロップアイテムには、剣や槍といった武器・防具も現れるが、装備品はその頃には、レベルアップで同じ位に強化される。勿論そこで装備品を変えても良いのだが、日本には、銃刀法違反と言う法律が存在する、許可を得れば問題ないが、少なくともダンジョンの外側では、気軽に持ち運べない。
さて、いよいよ本格的に攻略開始だ。レベルアップが本当なら、絶対にこの作戦は上手くいく。
お母ちゃんは、ゲームをやったかことないから解らないけど、作戦といっても、RPGなら基本的な事だし、必然的に他の探索者も、やってることだけどね。
地下へと続く階段を降りて、地下1階に着いた俺は、階段付近にいるスライムを、フォークを一気に刺した。
そして情報どうりに光の粒となった、スライムを見届けると、立て続けにに次のスライムにフォークを刺した。やはり地下1階のスライムは、この程度の一撃で倒せるようだ。最も光の粒となって消えるまでは、油断はしないけどね。そして階段付近にいる5体目の、スライムを倒した時、体にグンと力が湧いたような、感覚を感じた。
「これがレベルアップか!」
だけどまだまだ、スライムは床の見える範囲に、ほぼ等間隔に存在する。動きが遅く弱いとは言え魔物は魔物、危険なのは間違いない。
地上への階段を確保しつつ、俺はひたすらスライムを刺し続けた。
作戦は極めて単純だ、安全を確保しつつ、ひたすらスライムを倒すのみ、ロープレの基本中の基本、『経験値稼ぎ』だ。
俺が高校を卒業して、就職してから、生まれて初めて家庭用ゲーム機を手にいれた。黒いボディの16ビットのゲーム機と、一緒に購入したのが、発売当初からある「幻想星2」というロープレだった。
俺は「幻想星2}を遊ぶにあたって、ルールを設けた。「攻略本を読まない」ただそれだけだった。
後で知ったのだが「幻想星2」は、難易度が高いロープレと評判で、攻略本を読まないとクリア出来ない、と言う評価だったらしい。
途中やらなっかった期間も、あったが、2年かけてエンディングを見た時は、感動で涙が出てしまった。
結局、各キャラクターのパラメータは、レベル80を超えていたが、前作のラスボスと今作のラスボスの2連戦は、結構ギリギリの戦いだったと記憶している。
『俺を心配してくれる、家族のためにも、俺は下手を打つことは出来ない。』と思いながらフォークを突き刺していった。
沢山のドロップアイテムが、落ちているのは、分かっていたが、安全第一でスライムを倒していった。
安全が確保したらキャリーバッグに、素早くドロップアイテムを詰め込んでいった。
小一時間程で、いっぱいになったが、バックを階段に置いて、メモ帳にマッピングしつつ、スライムを倒し時計で午後2時半を確認した後で、何匹目かのスライムを倒した時、今日、何回目かのレベルアップの感覚を感じた、その時、突然、頭の中で、自分が耳にする自分の声で
『条件を満たしました』
『称号 「チキンハート」をてにいれました。「チキンハート」の効果により、
スキル 「気配感知」「聴覚感知」をてにいれました。」
「へ?」
一瞬、思考は止まったが、すぐに地上への階段を目指して、もと来た道を戻っていった。そして階段に置いてあるバックを持って、地上1階に辿り着いた
地下への階段を目の前にして、ペットボトルの水を一気に飲み込んで、胡坐をかきつつ言葉を口にした。
「ステータス」
「・・・・。」
「メニュー」
「・・・・。」
俺は深いため息を吐いたあと、大きく息を吸い込んだあと、腹から力を込めて叫んだ。
「サギだーーーーーーー!!!」
あのゲームのエンディングは、本当に素晴らしかった。
ラスボスを倒した後、まさか「あの人達」が真の黒幕だったとは。
でも3作目は・・・・。