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映画の予告編でネタバレは厳禁

今回は会話が一つもされていません。


俺がお金を出し妻の名義の八王子ダンジョンに近いマンションを購入した名義は、正式には『村田 桜』の名義ではあったが、表向きは『百地 桜』で購入した事になっている。

マンションのICカードは俺と桜と母ちゃんズ、そして護衛の責任者である長田さんが持つことになった。

基本的にマンションには、各部屋にベッドとテレビが設置されて、二つのリビングには大型テレビと録画機器、更に二つのキッチンには料理機材と食器が置くことになった。

妻桜と話し合いの結果、15LLDDKKの間取りの内8LDK分は我が家が、7LDK分は護衛に当たる方々に使って貰う事にした。

一応、余計なトラブルを防ぐため、貴重品は出来るだけ置かない事にし、我が家に割り当てた分の間取りには、基本的に例え留守だったとしても、入らないマニュアルにした、緊急時に我が家の間取りに入る時は、留守であっても、俺か桜の許可を得てから入る様に徹底した。

それは俺達家族も同様にする事によって、護衛の人のプライベートを守る事で、お互いの程よい距離を保つ事が出来ると判断したからだ。

これらは俺達家族と護衛の信頼関係が、成り立っているからこそ可能なのだと、長田さんは言ってくれた。

護衛の方々がマンションの一部を使用する事で、費用の面や色々な問題が発生すると、長田さん達は言っていたが、護衛される俺達家族がマンションの費用を負担する旨の契約書を書いたので、長田さん達は一応の納得はしてくれたようだ。


実は桜の元家族との問題は、これだけでは収まらない問題があった。

それは元々、彼らが現在住んでいる家、田んぼ、畑等の固定資産は、現在でも楓さんが親から受け継いだ者であって、離婚した旦那さんの者ではないそうだ。

楓さんが結婚する際に楓さん名義になり、楓さんと桜が家を出た現在でも楓さんの名義のままで、固定資産税も楓さんの住所に封書で送られてきた為、親から受け継いだ土地を手放したくない一心で、これまでも楓さんが払い続けたそうだ。

楓さんは桜さんには、余計な金銭的な負担と心の負担を強いてしまったと、入籍をした日に俺に泣いて告白してきた。

俺も詳しい事は分からないのだが、楓さんの元旦那と今も元旦那と楓さん名義の家に住んでいる、元義父母夫婦との確執や、桜の10歳年下の弟の嫁との問題、何故か桜に敵意を抱いている弟と、桜を蔑ろしてきた弟嫁、桜を欠陥品とまでのたまった元家族達、それらの出来事を無視し続けた元旦那の親戚達一族、それらに対して意地を突き通したために出来たのが、俺が変わりに負担した借金だったそうだ。

マンション購入後に俺は楓さんに、俺が楓さんの実家の家と土地を買い取ります、と申し込んだところ楓さんは、奴らにむざむざと渡るくらいならと、快く承諾してくれた。

楓さんの名義の固定資産を、俺の名義に変更し終えた頃には、秋真っ只中の10月に入ってからだった。


正体不明のアイテムボックスマスターが資産の一部を、わが国の未来を担う隠れた才能を日の目に当たらせてあげる為、膨大なお金を様々な形で、寄付をした事が話題になった。

金額的には総額で数百億円と個人が寄付するには、日本国内においては最高金額だと報じられ、アイテムボックスマスターは可能な限り、毎年に渡り寄付をし続けると発表した。

国会議員の中には彼に立候補してもらい、国政にも力を貸して欲しいと言っていた人物がいたが、マスコミからは、金が目当てなのだろうと図星を指されて自爆した者もいたが、アイテムボックスマスターからの返事は「No」であった。


10月の第三日曜日は、俺達家族が住む町内にある小さな神社のお祭りの日でもあった。

神社と言っても、常に宮司さんや巫女さんがいる様な神社ではなく、地方の地元のどこにでもある小さな神社で、管理自体は町内の自治会が管理してる小さい神社であった。

また、お祭りと言っても収穫の時期を祝うもので、社を前日の土曜日に飾り、当日は各家々が赤飯を焚いて持ち寄って、男連中が神社の社務所を兼務している自治会館で、軽く酒を飲んで、つまみを食べて終わる小さい祭りであった。

地元の町内の老人たちに俺が結婚した事は既に知らせていたが、この時に桜を紹介したにだが、紙を後ろに束ねて茶色の大きい淵の眼鏡をした彼女と、オークションの生中継でテレビに映り、しばらくの間、女性誌や週刊誌やワイドショーをにぎわした、元アイドルの『百地 桜』が同一人物とは思った人物は一人もいなかった。

桜が地味な服装とあまり話さなかった事もあるが、わざと暗い印象をあたえていた事と、何百億円も手にした『百地 桜』が、こんな所にいるはずがないという先入観のお陰だろう。

要するにアメリカンコミックの代表作で、世間の人達が新聞記者とスーパーヒーローが、イコールで結びつかないのと同じ原理が働いているのである。


10月の秋の祭りが終わり、11月の終盤まで俺は、いつものスケジュールでアイテムボックスカードを作っては納める日々を過ごし、偶にマスコミや桜の元家族の動向に注意しながら、週末には八王子のマンションで桜の原稿の手伝いをし、自宅では毎日毎晩の様にお互いの愛を確かめ合い、そろそろ赤ちゃんができないかなと言っているうちに12月になってしまった。

当初、12月に行うはずだった結婚式も、マスコミや桜の元家族の事を考慮して、年を明けて家族だけで催す小さい物にしようとなり、11月上旬には予約していた式場もキャンセルを行って、同じ系列の小さい教会の家族のみで行う方へ変更した。


そんな落ち着いた日々の中で兼ねてから、大した事にはならないだろうと思っていた事が、国際的なニュースとなった大きな出来事が、俺の身に起きてしまった。

当初から勝てると踏んでいたK国の財閥とのK国地方裁判所における、アイテムボックスカードの特許の裁判で、あろう事か敗訴に近い形の判決が下ったのである。


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