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金は天下の回り物って、言うじゃな~い

 日本で開催されているオークションに、20年前に引退したアイドルが、不治の病を克服して当時の姿そのままに現れて、当時を知る世代の人達を中心に会場中が別の意味でも盛り上がった。

 早老症のせいで、普通より老化が進んだ老婆の姿から見た目十代前半でも、おかしくない姿は西洋の人から見ると小学生に見られてもおかしくなかった。

 実際、桜の身長は140㎝位の為、童顔の桜の年齢を改めて通訳や会場スタッフに聞いている海外の客の姿が、会場の各場所に見る事が出来た。

 会場がそんな興奮に包まれて視界の進行が滞っている間、舞台の裏に下がり日本のマスコミ各社に囲み取材を受けている、桜の映像がオークション番組のテレビ生中継で映し出されていて、生中継をしている民放放送局の50代のベテラン女性アナウンサー、が代表して桜に質問をしていた。


 「こんにちは、桜さん、引退会見以来から約20年ぶりですね。

お久しぶりです。どうでしょうか?久しぶりに大勢の皆さんの前で歌を歌ったのは?」


 桜は俺達家族とに見せる笑顔と違うビジネススマイルで答えた。


 「お久しぶりです。私も久しぶりに大勢の人の前で歌を歌ったので、もう緊張してばかりでした。」


 イヤフォンで何を指示されたかは分からないが、女性アナウンサーは恐縮しながら質問を行った。


 「さて、時間がない様なので恐縮なのですが、女性に年齢を聞くのは大変に失礼なのですが、桜さんは現在の年齢を教えて下さい?」


 プロフィールで生年月日を公開している桜はクールに答えた。


 「私は今年で43歳になりました。」


 若返る前の桜だったら見た目よりも圧倒的に老けていた為、躊躇していただろうが今は逆になったので、自身をもって年齢を口にした。


 「何故、今回桜さんが若返り薬の被験者として、また、オークションのプレゼンとして選ばれたのでしょうか。」


 その質問は下手に答えると、俺にたどり着く為、前持って用意した答えを返した。


 「はい、実は薬の出品所有者の方が若かった頃に、私のファンだったそうで私の現状を知っていたらしく、被験者兼プレゼンに選ばれました。」


 桜に向けられていたマイクを素早く自分の」口元に変え、


 「その方はどういった方ですか?」


 再びマイクを桜の口元に向けた。


 「実は私も直にお礼をしたくて聞いたのですが、プレゼンで流れたVTRを撮った時に組合の人達に紛れていたそうなのですが、その方も撮影に来た組合の方々も教えてはくれませんでした。

何でも教えてしまうと、よからぬ事をする人達がいて危害を行う可能性があるとの事だったので、誰も答えたり教えて下さりませんでした。」


 「そうでしたか。」


 アナウンサーがそう答えてから、桜は続けざまに目に少し潤ませながら、


 「私に薬を分け与えくだっさた人に一言、お礼があります。

何処のどなたか存じませんが、本当に、本当にありがとうございました。

 私も母も、主人も主人の家族も貴方に大変に感謝しています。

 これからは普通の女として、主人と仲良く生活していこうと思っています。

 本当にありがとうございました。」


 お礼の言葉とともに、深々と腰を曲げてお礼を言う桜に、沢山のフラッシュがたかれて生中継が終わった。

 次の日ののテレビのワイドショーを見ると、今度は桜が結婚している事や、ご主人つまり俺の事や、若返った感想など、30分と引退した元アイドルとは言え既に一般人には長すぎるインタビューが、流されていた。

 桜は夫が一般人である事で名前や職業をぼかし、いつ結婚したのかと言う質問には答えず、出会ったのは1年前と、沈黙と事実を上手に交えて、自分が芸能界に復帰しない事を明言して、一般人として生きていく事を宣言して、人前で歌を披露したのは今回限りだと改めて言った。


 そんな桜が立ち入り禁止エリアで警備が厳重な、VIPルームエリアに逃げ込んだ事でマスコミの興味は、いよいよメインの若返り薬の値段と落札者の事となった。

 桜が俺達家族の元へ帰ってきたのは、プレゼンが終わってから小1時間位経った頃だった、お昼の料理も組合の人が桜が帰ってくる時間を計算して用意していた為、料理が来て運ばれてくる前に桜は入室して、着替えている間に料理が運び終えた。


 「桜、ご苦労さん、お疲れさまでした。」


 舞台のエンターテイナーの衣装から、余所行きのドレスに着替えて、俺の横に座った妻にねぎらいの言葉を言った。

 桜は俺に笑いながら、


「くすっ、だってオークションで良い値が付いた方がいいでしょ、私は妻の役割を果たしただけです。」


 うん、うん、可愛いねえ俺の嫁さん、いや、幼妻(?)は、と一人で桜の顔を見ながら、オードブルを口に入れながらレモンジュースを口にした。

すると、全国放送で生中継しているテレビから聞き捨てならない情報が、俺の耳に入ってきた。


 『なんと、今回の目玉である若返り薬の落札金額の内、20%に当たる金額が、先程プレゼンした百地桜さんに差引金額で振り込まれるとの事です。

 これは出品者が彼女の猛烈なファンで、彼女の人生に役立つならばという事と、プレゼンした彼女の当然のだとの報酬だそうです

 これは当番組芸能記者が、組合幹部関係者から独自に入手した情報でだそうです。

さて、今日まで話題が絶えない若返り薬のオークションが、間もなく始まります。」


 テレビから桜の個人情報であるはずの俺からの報酬の情報が流れてきた。

 これを聞いた警備責任者の長田さんは直ぐに組合本部か警察上層部に連絡を取り始めた。

 それからしばらくして、どうやら組合幹部がオフレコで話してしまった情報を、テレビ局のスタッフが誤って放送してしまったとの事だった。

 しかも組合幹部は、桜が3日前に入籍した相手が、アイテボックスマスターである俺だとは知らない立場だったそうで、それを除いても決して外に流してはいけない個人情報なのは間違いないし、桜自身は芸能人ではなく、一般の一個人扱いしなければいけないのに、何故かテレビ局の責任者は芸能人として、個人情報を扱ってしまった、いや、例え芸能人でも収入をテレビ放送で公開してはいけないのだが、情報が過多だった為、桜がインタビューで一般人宣言した事が放送した時に、訂正するべき情報が競売が少し遅れた事で、その事を流してはいけない情報と訂正に間に合わなかったそうだ。

 いずれにしても、桜と楓さんには以前の人間関係でトラブルを回避するために、引っ越しの際に携帯電話の番号を交換した為に、直ぐに影響が現れるとは思えないが、いずれにしても、俺が少し怒っていると伝言を長田さんにお願いした。


 食事を終え、会場が一望できるVIPルームの窓から見える、舞台と巨大スクリーンと室内のテレビのスピーカーから競売が始まった。


 最初に出されたのは、全部で50粒全て揃っている若返り薬で、俺がかなり良心的に安く設定した出品価格である50億円からスタートする事が放送された。

 この値段設定は以前、暴力団関係者との付き合いが原因で、所属していた芸能事務所を解雇された、超大物芸人司会者がトーク番組で話していた金額であった。

 もしも若返り薬があったらどれ位の値段で買うかと言うテーマで、提示した金額が1年当たり1億円だったのを覚えていた為、この設定にしたのである。

 余談だが組合が評価した若返り薬のスタート価格は5千万円で、そのせいで変な財界人に格下に見られたのが原因でもあった。


 競売がスタートすると、先に落札された150億円を瞬く間に超え、アッという間に500億円近くに上昇してきた。

 やがて、700億を超えると2人い絞られてきて、800億からは少しずつ駆け引きが始まり、金額の上昇もゆっくりになり、最終落札金額は1470億円で落札された。


 次に出品されたのは桜親子が使用した、残りの20粒と桜がプロモーションで飲んだ、万能治療薬レベル3の上位であるレベル4を組み合わせて出品された物だった。

 オークションでは初となるレベル4は先天的な失明や難聴部位欠損や遺伝性疾患などを治し、回復魔法レベル3相当の回復機能を兼備していた。

 つまり20歳若返るだけでなく、先天性、後天性の殆どの病気や部位欠損が回復できるので、先に競売された50粒の若返り薬よりも、こちらを狙っている人の方が寧ろ多かった。

 しかも、今働き盛りの40代から60代の世界中のお金持ちが参戦するので、否応なしに会場は盛り上がっていた。


 スタートは50粒の若返り薬より安い40億円からスタートした。

 こちらの競売は先ほどと同じペースで上昇していき、前と違うのは800億円を過ぎても4名が残っており、900億円に迫る所で2名になり、徐々にペースは落ち着き最終的には先ほどと殆ど同じ1450億円で落札された。


 合計金額から税金と諸経費に当たる3割を差し引くと手元に振り込まれる金額は総額2485億円となり、内10%の248億円があんちゃんに、20%の496億円が桜に振り込まれ、残りの1739億円が俺の取り分となった。

 しかし、既に各金融機関に分散してある2兆円を持っている俺からすると、金銭感覚がおかしくなっているせいか、そんなに多くない様に思えた。


生活レベルをスーパーの頃と、そんなに変えていない俺ではあったが、いつの間にか今回のオークションで少しずつタンスの肥やしが増えるなと考えながら、皆と共に会場を後にする事になった。


 あっ、ダイヤモンドを競売に掛けるのを忘れた。




先行して予約投稿をしているのだが、最近リアルが忙しくて筆が思っている以上に進まない。

可能な限り投稿をし続けます。



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