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ジョージはニッシンゲッポ

目を覚まして時計を見るといつもの起床時間になったが、眠りに着いた時と変わらず、桜は俺の体の上で吐息をたてていた。

俺は左手で桜の髪を、右手で背中を優しくなで、俺の左肩で吐息を建てて眠っている桜の頬に口付けをした。

しばらくの間、撫で続けていると、桜の瞼がゆっくりと開いた。


「おはよう、桜。」


目覚めの挨拶と口にキスをすると、桜はようやく夕べの事を思い出したようだった。

体を離して距離をとろうとしたが、俺は両腕に僅か力を込めて桜の行動を阻止した。

桜は恥ずかしそうにしていたので、俺は自然と自分の昔の話を口にしていた。


亡くなった祖父母、父の事、小学校の時の事、中学での虐めに遭った事、高校で桜がアイドルデビューした頃の事、ずっと一途にファンだった事、スーパーに就職した事、パワハラを受けて鬱になった事、桜の早老症をしった時の事、ダンジョンで若返り薬を手に入れた時に桜に使ってもらいたかった事、アイドルから一人の女性として好きになっていた事、俺がずっと思ってきた事を口にした。

俺の話が一段落をすると、今度は桜が自分の事を話し始めた。


本当はアイドルではなくシンガーソングライターを目指して、自分で作詞作曲をしていた事、中学生の時に色々なレコード会社に送った事、そして自分の曲が認められて東京に来た時に、デビューしたのは良いが、自分が思っていたとは違うアイドルだった事、それでもアイドル時代で5曲が自分の作詞作曲した曲が、大ヒットした事、アイドルとしての収入は給料制ではなく歩合制だったのと印税とで、収入が他のアイドルより桁違いに良かったので、同じ先輩芸能人から虐めや嫌がらせを受けた事、やがて大叔母が患っていた早老症の前兆が現れた事、そして引退、引退後いろんな人や知らない親戚が近づいてきた事、進行する早すぎる老化、そして7年前に10歳年下の弟が結婚した事、義妹の嫌がらせや実の弟からの無視、更に自分の印税で家を建てたのに、実の父と父方の祖父母とからの罵詈雑言、楓さんの離婚と楓さんと実家を出た事、印税が治療費と消え、楓さんが生活費を稼いでいた事、段々と動かなくなる自分の体、そんな時に俺と出会った。


「あのね信じられないかもしれないけど私はね、あの時から勇次郎さんの事が好意を抱いていたの。

最初は多分そんなに意識をしていなっかたの、でもね、世間話程度にお母さんと、どんなタイプの人が好きなの?って聞かれたときに、あの時に助けてくれた人って答えていただけだったと思う。

でも、勇次郎さんが皆さんと私に会いに来た時、そして、私、ううん、私達親子に手を差し伸べてくれた時、私の病を治してくれて若返った時、そして、お母さんと一緒に光子さんから昔の勇次郎さんの部屋を案内されて、私のポスターや当時のグッズを大切に保管してくれているのを見た時に、ああ、私は勇次郎さんと、この人と一緒になるかもしれないと思ったの、だから、勇次郎さんからプロポーズされた時、嬉しっくって思わずキスをしっちゃった。

でも私にも不安材料があったのよ、引退してから実家の農業を手伝いながら、暇を見つけて興味を持った漫画やラノベに始まって、アニメが好きになっていわゆるオタクになっていったは、それにBLに興味を持って漫画を描き始めて、ふふふ、BLはさすがにダメかな~て思ってたけど、勇次郎さんのクラスメイトの腐女に感謝ね。ふふふふ。」


その日は予報通りに一日中、大雨をもたらし続けた。


俺達は2階の寝室のベッドに場所を変え、シャワーを時折あいだに入れて、お互いの体を求め続けた。

40代の俺達二人は、成人向けのコンテンツで得た知識と妄想で考えていた事を実践して試していった。

更に俺はレビテーションとサイコキネシスを用いた状態で桜と何度も体を重ねた。

結局、この日の水曜日は一度も家の外には出ずに1日が終わった。


木曜日になると天気は快晴で、この日は早朝からシーツや月曜日の洗濯物を洗濯しながら、桜の荷物をアイテムボックスを使って、我が家に引っ越しした。

彼女の衣類は納戸の衣装ケースと寝室のクローゼットに置き、本や漫画の画材と筆記道具は昔の元あんちゃんの部屋に運び入れ、やがて、洗濯物を取り終えた頃、まるで図ったかの様に母ちゃんズが帰ってきた。


母ちゃんズは何も言わなかったが、楓さんに桜さんの荷物を引っ越しした事を伝えると、母ちゃんズは同時にニカッと笑いながら右手でサムズアップした。



男ならレビテーションとサイコキネシスは有意義に使わなければ。

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