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私の手間の掛かる叔父さん。 村田千春

今回は登場人物最年少である千春の視点です。

間違いなく本編です。

私は葛生市立山西小学校6年、村田千春12歳です。

私の家族は両親と2歳上のお姉ちゃんの4人暮らしをしています。

お父さんは、車で15分位の青果仲卸業者に勤務しています。

お母さんは時々、電気のエリア検針を行っていて、月に2週間位の期間だけ集中して働いています。

お父さんは季節にもよるけど、基本的に早朝3時頃出社をして午後1時には帰宅しています。

だから、お休み以外は、お父さんと朝ごはんは一緒に食べる事はありませんが、私とお姉ちゃんが学校から帰ってくると、お父さんはリビングで昼寝をしてます。

お母さんは、検針のお仕事がない時は、お母さんの実家の会計事務所で1日4時間位お手伝いをしていて、お母さんの従兄弟のおばさんのお手伝いと、今も元気なお祖母ちゃんの話相手をしています。

でも、お母さんが実家のお手伝いを出来るのは、お父さんがコンビニエンスストアを建てて、本社社員で夫婦で店長と副店長が経営を任せて、土地と建物の家賃収入があるからだそうです。

難しい話は私にはよく分かりませんでしたが、それはお父さんの弟に当たる勇次郎叔父さんのお陰だそうです。


お父さんが言うには、叔父さんが土地と建物をお父さん名義にする事に、快く許可してくれたからで、場合によっては裁判になって兄弟で喧嘩になる事もあるそうです。

コンビニの土地は、お祖父ちゃんが亡くなった時に、お父さんの名義になったけど、その土地は、相続した中で半分以上の面積に当たり、コンビニにしたときの土地の値段は、お祖父ちゃんから相続した全部の中で、お金にすると80%位の値段になるそうです。

しかも、コンビニとして本社に賃貸で貸し出した家賃収入の中で、税金とか保険とか支払った後の、我が家で自由に使えるお金は、残業代がでない時のお父さんの給料より多いそうです。

お父さんは、お母さんが実家のお手伝いをしたり、私たちが毎晩、みんな揃って夕飯を食べる事が出来るのは、叔父さんのお陰だって言ってました。

それと、叔父さんがいてくれるお陰でお父さんは、お父さんのお母さんである光子お祖母ちゃんの事が、安心していられるんだって言ってました。


ただ、そんな勇次郎叔父さんの事で、お父さんは少し心配事があるそうです。

私も詳しくは教えて貰っていないけど、叔父さんは昔、誰からかに虐められていた事があって、それが原因で鬱病になってしまったそうです。

そのせいなのか他の人に対して臆病になってしまって、他の人とは距離を取るようになり、恋愛に対しても臆病になってしまったと、お父さんは言ってました。

でも、お祖母ちゃんが言うには、勇次郎叔父さんは生まれつきのヘタレで、他人の感情に鈍い所があって、更に自分に対する評価が異常に低いそうです。

更に付け加えるのなら、本当は物凄く凄いのに、物凄く自身を持っていいのに、その自身のなさは病気だと、死ぬまで治らない性格だと付け加えていました。


私とお姉ちゃんが、叔父さんの病気的性格を認識したのは、ダンジョンが現われて1年半を過ぎた頃でした。

それまでは、叔父さんって普通だと思ってたけど、ある日、お父さんがヨーロッパ車のスーパーカーの本を沢山買ってきたこと、お母さんが最近ネットでブランド物のバッグやアクセサリー、宝石なんかを見ていて、お姉ちゃんと二人で、両親の様子がおかしいと話をしていたの、それから、中学生のお姉ちゃんが、中学校に入学した時から「ガラケーでいいから携帯電話が欲しい。」って言い続けていたのに、「中学生だから」とか「使用料金に余裕がない。」とか色々言って誤魔化して買ってくれなかったのに、ある日、学校から帰ってきたら、お姉ちゃんに今年の最新機種のスマホを、未成年使用の契約状態で買ってくれた事で、流石に変だ、おかしいと疑い始めた。


おかしいと思った中で、話題が私たち姉妹のスポーツ活動の話の中で、お姉ちゃんが陸上女子中学新記録を出して優勝した時に、お姉ちゃんのライバルの同い年の選手が、同じく中学新記録で準優勝した時に、大金持ちのお爺さんの人が、ライバルの子はドロップアイテムの非常に高い豚肉を毎日、少しずつ食べているのに、優勝できないのはおかしい、お姉ちゃんがドーピングとかインチキしているのに違いないと大声で、大会関係者い詰め寄っていたのですが、勿論、お姉ちゃんがドーピング検査で陰性だったし、違法行為でダンジョンでレベルアップした形跡もないと説得したけど、大金持ちの爺ちゃんパワーで周りに迷惑を掛けていた事を思い出した。

そんな話で私たちが、叔父さんから貰って食べている最高級の牛肉、豚肉、鶏肉、お刺身とかクジラ肉なんか全て、叔父さんがダンジョンでゲットしたドロップアイテムで、お父さん達、ううん、私達家族のお金の巡りが良くなったのは、叔父さんのおかげなの?とカマを掛けたら、両親はあっさりと自供した。


それからは、お姉ちゃんも私もオドロキの連続だった。

叔父さんが話題のアイテムボックスマスターだった事。

おそらく世界で初めて一人でダンジョンをクリアーした事。

そして、ダンジョンの外で超能力スキルが使える事

叔父さんが販売しているアイテムボックスの10分の1が、お父さんの収入として振り込まれる事

そして貯金残高がすでに数百億円になっていて、これからも増え続ける事。

秘密を教えられる前に宣誓したけど、確かに怖すぎて誰にも言えないよ。

一通り秘密を打ち明けられたけど、私達家族は叔父さんの希望通り、お金で不幸になるのだけは気を付けましょうと、お父さんとお母さんは私達姉妹に真剣な目で言われた。


私達姉妹は、この時に初めて勇次郎叔父さんは凄い人だと思ったが、お祖母ちゃんの言った病気的性格の意味を知ったのは、8月の16日の送り盆の、夕日が沈んだ夕飯前だった。


この日はお墓参りの後、次の23日の日曜日に東京で行われる、叔父さんが出品される若返り薬のオークション日で、落札金額の10%をお父さんの口座に振り込まれるので、私達家族と叔父さんの前の家に住む、昔のトップアイドル桜さんと、桜さんのお母さんである楓さん二人で、VIP扱いで極秘招待されているので、会場のVIPルームでオークションの様子を見られるので、その打ち合わせを兼ねて叔父さんの家に遊びに来ていた。

夕飯前に私は興味本位で、アニメや漫画に出てくるキャラクターと比較したくて、トップ探索者の叔父さんの能力について聞いてみた。

私の叔父さんって凄いんだよ~。

目立つから派手な事はしなかったけど、空中に浮かんだり、サイコキネシスで私を浮かべて見せたり、マッハは出さなかったけど、あっと言う間に向こうの方へ行ったと思ったら、あっと言う間に戻ってきた。

それに薄暗い夕日が落ちたばかりの家の周りで、50メートル以上離れた私達姉妹が、広告の裏に書いた小さい字を読んでみせたりした。


もうすぐ夕飯と言う処で、叔父さんの好きな人はと言う話になったけど、そこからの叔父さんは歯切れが悪いというか、格好が悪い、とにかくヘタレだった。

結局、お祖母ちゃんが桜さんに告りなさいと言って、桜さんを呼んできても、皆の前では恥ずかしいのか、桜さんの手を引いて、向こう畑に行ってしまった。

私達家族と楓さんを加えた全員で、畑のキュウリの合間を縫うように叔父さんの告白の様子を見ていた。


「でも、誰かに告白するなんて、勇次郎にしては進歩したかな。」


そういうお祖母ちゃんに対して、お父さんは頷きながら、


「だけど、相手は憧れのアイドルだった百地桜だ、楓さん、実際のところ勇次郎に勝算はあるんですか。」


楓さんは口元を上に挙げて、


「実は桜は勇次郎君にホの字だね、なあに、私の娘だもの、男を見る目は確かだよ。

この前のデートは、私とみっちゃんの母親2人が尾行に失敗したせいで、あの2人をくっ付ける事が出来なかったけどね。」


「ち、ちょっと、声が大きいわよ、楓ちゃん、告白が聞こえないわ。」


「この距離では聞こえないよ。

勇次郎と桜さんの反応で判断するしかない。皆、静かに。」




皆には聞こえていないようだけど、私は集中すれば二人の声が聞こえるはず、叔父さんは生まれつきの聴覚感知だと言ってたから、きっと聞こえるはず、叔父さん、頑張って、私が手伝ってあげるからね♥。

私はそう思って会話に集中すると桜さんの声が聞こえてくる。


『あのう、私に用って何ですか?

勇次郎さん。』


そういう桜さんに対して、勇次郎叔父さんは叔父さんの気持ちがバレバレの態度なのに、ヘタレな叔父さんは遂に意を決して告白するようだ。

でも、多分、好きです!付き合ってくださいって言うつもりなんだろうね。

大人なんだから単語を1個付け足せばいいのに、


『さ、桜さん!お、俺と

「けっ!」

け、結婚してください!』

                

私は叔父さんの告白のここだ!と言う場所で大きく叫んだ。

叔父さんは私の目論見通りにプロポーズをした。

周りの皆は驚いた顔で私を見た後、すぐにプロポーズをした叔父さんの方を見た。

叔父さんは驚いた顔をこちらに向けた後、何だか私っていうか、見ていた私達に睨み始めた。


「!」


何かを言おうとした叔父さんに対して桜さんは、口を開けた状態の叔父さんの顔を、両手で挟んで自分の顔に向きを変えて、口を開けた叔父さんの口を塞ぐように、自分の唇でその言葉を塞いでしまった。

10秒位その状態を保った時、皆が


「「「おお!」」」


と叫んだ後、ようやく桜さんは叔父さんの口から唇を離した。

だけど、その後の叔父さんはカッコ悪かった。


しばらく桜さんの顔を見て顔が真っ赤になった後、叔父さんはそのまま後ろにブッ倒れた。

はあ、ホント、私の叔父さんって世話の焼ける大人だわ、やれやれだぜ♥








このエピソードは勇次郎視点から千春視点の方が良いと、勇次郎のモデルの某氏からアドバイスを受けて書き直しました。


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