年収400万円のスーパーの店員から貯金残高1兆円超えになった。(今のところ)
『私は、本国会においてアイテムボックスカードの製作者である、通称アイテムボックスマスターの証人喚問を申請します。』
『異議あり!、かの人物は民間の一般人の為、また、取り立てて犯罪行為を行っているわけではないので、証人喚問に応じる必要はありません。』
『そもそも一人で、短期間のうちに国庫に現段階で10兆円以上お貢献している人物を、はたして一般人と呼んでよろしんでしょうかね?
護衛をする意味でも情報の共有化は必要だと思いますけど。』
『ご本人は公式の場に出る事は一切拒否しています。
当然、選挙等に出馬する事もないと、ご本人から確認をされております。
更に護衛と言う意味でも、個人情報保護の意味でも情報公開には、我が党は断固反対の立場を取らせていただきます。』
俺が材料を調達し製作までして、組合に委託販売しているアイテムボックスカードによる特需で、一か月未満で10兆円を超える歳入があった為、その使い道を国債の減債だけに使うのは、もったいないと言う野党と、俺の意思を尊重する与党の真向からの言い合い、もとい国会での議論は、国営放送と一部民間放送の生中継で、この話題はニュース、ワイドショー、バラエティ番組でここ連日、様々な意見が飛び交っていた。
俺の減債のみ使用という意思は、国民の大部分、特に家計を預かる主婦層や、お金に厳しい見方をする中年層以上からの圧倒的に支持を受けていた。
一応、俺の意思が受けいられない場合は、俺からの出荷価格を5倍にするとか、アイテムボックスカードの製作数を抑えたり、あるいはストライキに入ると言う意見を、組合を通して意見を述べているので、あとは勝手に決めてくれ、と言った感じであった。
ダンジョン組合の公式オークションまで、あと2か月を切った7月のある日曜日、あんちゃん家族が前日の土曜日の夜に連絡して、我が家に遊びに来る事になった。
ここ最近の俺は、オークションの事もあるが、前もって作り置きをしておきたかった為、家の裏のダンジョンと大平山ダンジョンの、フェニックスとミスリルドラゴンを、例によって一人で一日2度に渡り討伐して、ドロップしたアイテムでアイテムボックスカードの製作を仕越をしていた。
俺が朝8時から夕方4時までに、一日で作れるアイテムボックスカードの製作数は、最大で20000個余りで、これは午前中に2度に渡る討伐と、午後に製作するローテーションが確率したからである。
俺自身のアイテムボックスの中に、オリジナルの販売用カードを『アイテムボックス複製』で材料から複製製作しているだけなので、実は製作と言うよりもコピー機でコピーしている感覚であった。
午前9時、あんちゃん夫婦と可愛い姪っ子たちが揃って、我が家に来て早々、リビングで家族親族会議を開く事となった。
「すまん、勇次郎、娘たちに隠しておく事が出来なかった。」
「ごめんなさい、勇次郎君、娘たちを甘く見ていたわ。」
どうやら、夫婦は姪っ子たちに秘密がばれてしまったようだ。
俺は姪っ子たちに、どういう事か彼女達自身の目線で説明して欲しかった。
「私がおかしいと思ったのは、私がずっと欲しがっていたスマホを、急に最新機種で買ってくれたことなの。
あれだけ、頼んでも買ってくれなかったのに、金属不足で高騰しているスマホを、いきなり最新機種で一括払いで、目の前で払うんだもん、おかしいと思うわ。」
「それだけじゃあないよね、お姉ちゃん。」
「先月、東京の国立競技場であった大会で、私のライバルの子がいるんだけど、その子の家は物凄い資産家で、その子は毎日ドロップ品の、お肉を食べていたんだって、その子の、お母さんが自慢していたんだけど、決勝戦で私が中学新日本記録で優勝したんだけど、私が一般の収入の家だったんで、年を誤魔化してダンジョンでレベルアップしているって、クレームをしてきたんだ。
でも、大会の偉い人が、私が大会前に八王子ダンジョンで鑑定してもらっている事や、ドーピング検査でも陰性だって説明してくれたんだけど、中々、納得してくれなくて、結局その子の、お父さんが連れて帰ったんだ。
それで思い出したんだけど、家のお肉って叔父さんからの貰い物だって、お母さんから聞いていたのを思い出したの。」
俺はこめかみを抑えながら、
「それで、百花は、どう思っているんだい?」
「別に、叔父さんを責めているわけじゃあないよ。
それにドロップした食品を食べても、ルール違反じゃないし、勿論、私自身の努力だけじゃなかったのは少しショックだったけど、でも、出来れば、本当の事を教えて欲しい。」
俺はその場にいる皆の顔を見回した後、二人に説明していった。
物置裏のダンジョンの事、地下100階層制覇、ドロップした肉、最近はドロップアイテムの最上級の肉である、ドラゴンの肉を提供している事、二人がもう少し大きくなったら話す予定だった事。
そして、最後に俺が話題のアイテムボックスマスターである事、俺の収入の10%を、あんちゃんの銀行口座に振り込んでいる事を教えた。
「因みに振り込んでいる金額って、いくらぐらいあるの?」
俺は、あんちゃんに目向けて、顎でクィと百花に「聞け。」とジャスチャーした。
あんちゃんは義姉さんと目配せして、真剣に真面目な顔と声で、
「絶対に話さないと誓えるか?
もし、この先、お前たちから聞いたと耳に入ったら、お前たちの信用を失う事になるぞ?
百花、千春、本当に知りたいのなら、ここで、俺の目を真っすぐ見て、言葉にして誓え、『絶対に誰にも話さない。』と右手を挙げていってみろ。」
百花と千春はお互いの顔を見合わせて、同時に右手を挙げて、
「絶対に誰にも話さない。」
二人の宣誓を聞いて、あんちゃんは、おおよその数字を言葉にした、その金額を耳にした二人は目を見開いて、
「何で、そんなに多いのよ?」
「てっきり、数千万円だと思ってた。それ本当?」
俺は深い溜息をつきながら、
「残念ながら本当だ、もう、分かっていると思うが、俺には、あんちゃん達に振り込んだ金額の9倍の資産を持っている、と言う事だ。」
百花はテンパりながら、
「な、なんで、なんで、そんな金額になるのよ?」
「百花、千春、お前たちはアイテムボックスマスターの事を聞いたことはないのかな?」
「それって、今、テレビとかでやっている、アイテムボックスを作ってるって言う人の事でしょう?
何でもダンジョンの中で、沢山の物が運べるようになる魔法の鞄だ、って先生が言ってた。
トラックで運ぶ位の重い荷物を一人で運べて、魔物との戦いでも邪魔にならない革新的なアイテムだって言ってた。」
「うん、正確には鞄じゃあなくてカードなんだけどね。
簡単に言うとね、俺がアイテムボックスマスターだったりするわけだ。」
二人とも目を大きく開けた可愛い顔をして、
「叔父さんがアイテムボックスマスター?!」
「凄い、だから、急にスマホを買ってくれたり、新しい大型テレビとハードディスク付きブルーレイレコーダーを買ったりしてたんだ。」
「そういえば、お父さんがスーパーカーの雑誌とかも、沢山買って真剣に見てた。」
「お母さんはパソコンでブランド物のカタログを見てたよ。
それから・・」
義姉さんは、俺の顔を見ながら苦笑して
「ち、ちょとー!二人共、いい加減にしなさい。
もう、静かにしてよー。」
俺はあきれた顔をして、
「あんちゃん~、義姉さ~ん、気持ちは分かるけど、世間の目も気にしてよ。
一介の会社員が、自然なプチ贅沢で抑えてくれよ。
俺のアイテムボックスの販売は一過性の物だから、もっと、慎重に行動してくれよ。
後で俺の名前が世間に公開させるような事には、絶対にならない様にしてくれよ。
ちゃんと俺との約束を忘れないでくれよな、二人とも。」
あんちゃん夫婦は、お互いに似たような、愛想笑いの様な苦笑いの様な顔をしながら、
「あははは、ごめん、どうも、冷静じゃあなかったみたいだな、気を付けるよ。」
「そ、そうね、気持ちを引き締めて、生活が楽になるのは、勇次郎君に感謝しなくちゃあいけなわね、それで私たちが贅沢慣れして、結果、不幸にでもなったら勇次郎君が後悔していしまうものね。
ふう~っ、少し頭を冷やすわ。」
「うん、そうだな俺達が不幸になったり、気持ちや愛情がバラバラになったりしたら、勇次郎が後悔するものな。
もう一度気を引き締めるよ。」
「ホントにたのむよ~。」
俺は姪っ子たちに質問した
「二人とも、例え最高級のドラゴンの肉を食べて、今の競技生活があると考えているとしたら、それは大きな間違いだ。
確かにドロップアイテムの食べ物で才能を開花させる効果はあるし、滋養強壮の効果で疲れを癒す効果はあるけど、飽くまでも本人の資質を引き出しているだけで、お前たち自身の力を底上げしているわけじゃあない。だから・・・」
二人共、いつもの可愛い笑顔で、
「わかってるよ~叔父さん、もしそうでなかったら、陸上の役員の方たちが、私やあの子を失格にしていたし、実際にはに意外とドロップアイテムのお肉を食べて強化している子って多いのよ、まあ、実家が大金持ちだったりセレブの子供だったりで、普通の家庭の私が高級食材を、普通に食べているなんて誰も思わなかったら、私も驚いただけだし、むしろ、私の家が資産家だった事が驚いたわ。」
俺はいつもより真剣な顔をして、
「二人共、いいかいよく聞いて、お金はちゃんと考えて使えば素晴らしい物だし一を幸せにもする、だけどね時にはお金は魔物と同じで、人を欲望に惑わす恐ろしい物でもある。
二人の知っている一の中には、お金を持っているっただけで、嫌な奴っていなかった?
良い物をもって自慢をして皆から嫌われていた子ってあ会った事はないかい?
二人はそんな子を見て、どう思ったかな?
羨ましいと思ったかい?
むしろ嫌な奴、嫌な子って思わなかったかい?
二人は、そんな子になりたいと思ったかい?
どうなんだい?」
「あんな嫌な奴になりたいとおもうわけがないわ。」
「私も、あんな子にはなりたくないな。」
俺は、嬉しくなって笑顔で、あんちゃん達に言ってやった。
「いいな~、二人共いい子で、このままずっと真っ直ぐに育ててやってくれな、あんちゃん!」
「ふふん!当然だ!わがままし放題の娘には育てたつもりはない!
俺達の自慢の娘たちだ、もっと、褒めてくれ、勇次郎。」
「それと、スーパーカーとブランド物は買っても良いけど、周りにはばれない様にしてくれよな。
誰かに自慢したり、見せびらかす様な真似はしないでくれ。」
「い、いやね、ただ興味があっただけよ~。」
「よ、よくよく考えて見たら、日本の道路は走りずらいって聞くから、次に買い替える時も国産のファミリーカーだぞ、・・本当だぞ、勇次郎。」
「いや、お金は有り余ってるんだから、欲望をコントロールしてくれさえすえば、別に構わないんだけど。」
俺みたく日本経済の活性化に使ってもらってもいいんだけど、俺もここ最近の貯金額が兆単位あるけど、使い道を考えなければ、とりあえずは母屋と離れのリフォームが先かな。
物語の中のミスリルとエルドラの相場から、アイテムボックスの機能を考えると、作中での世界観の価格では、勇次郎が設定したアイテムボックスカードの、販売価格は物凄く格安です。




