気づいた時にはレベルチートだった
アイテムボックスのサンプルを日本の各ダンジョンに、それぞれ各種1個ずつ制作し、複製用のオリジナルを自分のアイテムボックスの中に収納したあと、組合から日本の友好国から、それぞれ各種1個ずつのサンプルを製作して欲しいと注文を受けた。
俺は先の話し合いの時に、各国の政府が公式に制覇したダンジョンのみ製作すると話して置いたので、注文をしてきたダンジョンが、例え本当はダンジョンを制覇していなくても、公式上では制覇したと、それぞれの国のトップが公言してきた一つの証拠となった。
アイテムボックスの受注数と優先順位の整理は、組合が担当してくれるが、最終的な受注決定の判断は、俺が判断することになった。何のトラブルが無ければ、組合の意向に沿って受注するつもりだが、結局は俺が作るので、この決定となった。
サンプルの提供を終えて、後は正式な注文を受けるだけとなった頃、俺は材料のストックを確保する為、フェニックスとミスリルドラゴンを公休日以外は、毎日の様に討伐して分解と錬成と複製を使って、アイテムボックスの素体である金と銀のカードを製作していた。
これまでストックしてあった、ドロップアイテムは必要な物と予備を除いて、全て組合に買い取ってもらった。その結果、俺の探索者としての所得は、非公式ではあるが日本でトップの高額所得者になったと、朝倉さんから報告を受けた。
振り込まれた金額を見て、正直いって俺には使い道に困るので、頭を冷やす意味でもしばらくは、口座に死蔵にする事にした。
具体的に欲しい物はとくにはないが、俺自身の秘密が多い為、空き家となった前の家と、物置に隣接する元本家の跡地である竹林、あと集落で空き家となって我が家の近く家や畑は、出来れば所有者から買い取りたいと思っている。
アイテムボックスの販売による収入が、高額となる事を予想して、収入の10%を、あんちゃんの口座にあんちゃんの収入として、条件を付けて振り込む事にした。
あんちゃんへの条件とは、
一つ、、夫婦仲良く生活する事、特に離婚は絶対にダメ!
二つ、秘密を守る事、特に姪っ子たちには可能な限り
三つ、生活レベルを、なるべく上げない事、
この三つの条件は俺の振り込みせいで、あんちゃんの家族が不幸になるのが嫌だったからである。
あんちゃん夫婦は、最初は俺からの申し出を断っていたが、俺の気持ちを組んで了承してくれた。
「村田さん、解析させてもらっても良いですか?」
フェニックスとミスリルドラゴンを倒して10時のお茶休みを、母屋の縁側でしていた時に、正式に俺の護衛となった長田さんのパーティーの一人、志田さんから突然のお願いを受けた。
「別にいいけど、あれ、前に俺のレベルを話さなかった?」
「それが朝倉さんはアイテムボックスの話ばっかりだったので、村田さんのレベルをの確認を先送りにしてきたので、そろそろ確認して来て欲しいと連絡を受けたのです。」
「そういえば話した事がなかったか、俺もうっかりしてたけど、朝倉さんも忙しかったから後回しにしていたか。じゃあ、ダンジョンをに行こうか。」
俺は外でも解析は使えるが、彼女達はダンジョン内でしか解析が使えなかった為、長田さん達と共に裏のダンジョンへ入って解析を受けた。
独特の波動を感じながら、俺の解析と変わらないレベルを、志田さんは、戸惑いながら言葉にした。
「・・レベル278・・」
「え?」
一斉に全員が俺の方を見て驚愕していた。
「一人でダンジョンを制覇したから、高レベルだと分かっていたが・・まさか、それほどとは・・」
「フェニックスとミスリルドラゴンを、剣だけで倒した動画で見ていたから、強いと分かっていたが・・」
俺は少し戸惑いながら
「あの、俺も皆さんのレベルを解析してもいい?」
皆は俺に了承するかのように頷いた。
「え~と、・・長田さんがレベル120・・、・・高田さんが111・・、中川さんが108・・、加藤さんと志田さんが共に104・・?、え、どういう事?
皆さん、公務員探索者の中でも上位だって、言ってませんでしたっけ?」
長田さんは軽い溜息をした後、
「村田さん、組合が推奨するシルバーメタルドラゴンの討伐メンバーは、レベル95以上のバランスの取れた8名のパーティーが理想です。
そもそも、普通はレベル100を超えると、簡単にはレベルアップするのは難しいのです。
私の知る限り、日本でレベル150以上の探索者は一人もいません。
少なくとも、さっきまでは。」
「いやいやいや、まさか、レベル100と言ったら、俺がベヒモスを倒したのが確か102だったかな?
あの時の俺が8人いたって、地下100階層どころか、地下80階層のボスを倒すのは難しいと思うよ。」
副リーダーの中川さんは少し考えた後、
「村田さん、70階層代の魔物と戦った感想を教えてください。」
俺は70階層代の独特のフォルムを持つ飛翔型魔物を思いだしながら、
「う~ん、79階層のボスは数は多かったけど、範囲魔法が利いたからそんなに苦しくなかったかな、その他の魔物は大体が一刀両断だったかな、まあ、油断禁物が俺の信念だったから、ザコと言えばザコだったかな。」
中川さんは今度は深い溜息をついて、
「村田さん、70階層代のフロアモンスターを一刀両断なんて普通はあり得ません、大体、パーティー全体で魔法と直接攻撃での総力戦ですし、79階層のボスは魔法使いの大量導入による、範囲魔法の連発で削って、取りこぼしを直接攻撃で倒すのが定石です。」
今度は魔法使いの加藤さんが、遠慮しながらもし出てきた。
「あのう、村田さんの魔法を一通り見せてくれませんか、アイテム魔法の攻撃魔法化を見た事がないので、参考にさせてください。」
「うん、いいよ。」
俺はもうしでを受けて、
「じゃあ、各属性の俺の高レベル魔法を一通り見せるね。加藤さん。」
俺は反対側のダンジョンの壁に手を向けて、なんちゃて攻撃魔法の俺的レベル4ボム系とオリジナル魔法レベル4ショットを放った。
その後は機関銃の様なブリット、同時に1000発くらいの数で同時に放たれるアロー、100発の全方位同時発射されるランス、超音速で発射され着弾と共に爆発するオリジナル魔法のショット、レベル5に匹敵する威力を持つ5発分のボム、と様々な魔法を繰り出した中で、パーティーで魔法職の加藤さんと志田さんが、一番に驚いたのはマナポーション5による魔力全回復であった。
「色々と突っ込みたい事がありますが、村田さんの魔力量はレベル100の魔法職の倍どころか、3倍、いや、4倍近くあります。」
「何なんですか、あのブリットの速度と連続射撃は、他の魔法の同時具現化数は、
今の段階で並の『マジックマイスター』よりも明らかに強いのに、これでレベル5の魔法が使えたら、『マジックマイスター』の上位の称号を狙えるのでは。」
みんなから慣れない賛辞に俺は苦笑いを浮かべながら
「いやいや、レベルが高いだけで、同じレベルだったら俺は本職に負けるよ。」
「いいえ、確かに同じレベルなら攻撃魔法を本職としている人の方が、単発の威力は上かもしれませんが、村田さんは確認しただけでも、火、水、風、氷、雷、回復とレベル1からレベル4を使える、これだけでも既に異常です。普通は1から2属性で3属性をもっていたら天才と言われます。属性が増えれば魔法のレベルの伸び方も鈍化されてしまいます。」
「更に、アイテム魔法『マナポーション5』は魔法職にとっては夢の様な魔法です。」
「間違いなく今後のアイテム魔法の使い手への対応は、村田さんの登場によって、大きく改善されるのは、間違いありません。」
「・・・マジで?」




