いやだな~史上初のオーパーツ職人だってさ
『エルドラ』
地下95階層からドロップされる鉱物資源でも希少部位である金、更に金の中には数百分の一の確率でドロップし、しかも極少量でしか採取されない。
また、中には魔道具としてドロップされ、既存の製法では未だ作られていない、ユニークアイテムの原料として使わられている。
ユニークアイテムには、バリアを発生させたりする鎧の核だったり、、レビテーションの効果を発生させたる靴底だったり、有名なのは俺が作ったアイテムボックスの劣化版の様なカードだったり、とにかく魔道具には必要不可欠の原料が魔法金エルドラである。
ユニークアイテムは解析すると、分解できる基礎アイテムと効果が付随する為、ある程度の作り方は予想出来るのだが、実際に造るとなると全く造る事は出来ずにいた。
エルドラは既存の技術では、熱で溶かすことも、削って採取する事も、切ることも砕くこともできず、ましてや曲げたり加工する事など夢のまた夢であった。
少なくとも政府機関でも俺が提示した実物をみるまでは。
座卓の上に並べられた5枚のカードは、大きさは小型のスマホとほぼ同じで、角は手を切らない様に丸みを持たせ、カードの上部の真ん中には小さな丸みの突起物をしたストラップホールがあり、それぞれ銀色が強くでている物から金色の物まで、段階的に順番に並べておいてある。
銀色が強い方からカードの下部にそれぞれ、4M3・8M3・16M3・32M3・64M3と刻まれていて、その上には日本語で「日本国 八王子ダンジョン」と刻まれていた。
「ミスリルとエルドラを材料として、エルドラの保有量によって性能が違っています。
この4枚のアイテムボックスカードは、八王子ダンジョンの中でしか収納・排出・アイテム鑑定を使う事は出来ません。
このカードを使用するには所有者が直接、肌に触れてアイテム魔法を使って使用します。
またカードは肌に触れてさえいれば、後は手袋や服といった薄手の装備品越しでも、対象のドロップアイテムを触れれば、効果を発揮します。
内容量ですが、4M3と書かれているのを、俺はいつも4Mは言っていますが、この4Mの場合の容量は1辺4メートルの立方体の大きさとほぼ同じです。
同じように8メートル、16メートルと続き、純エルドラ製の64Mは1辺64メートルの立方体となります。」
朝倉さんと長田さんのチームは、5枚のカードを見ながら俺の話に聞き入っていた。
「このサンプルは使い勝手を聞きたいので、無料で進呈します。」
俺の言葉をきいた一同は俺の顔を見た。
「今後、ダンジョンごとにサンプルを一つずつ渡しますので、不具合の有無、使い勝手を検証してから、本提供とさせていただきます。」
朝倉さんは俺の目を見て、不思議な顔をしながら、
「エルドラは貴重な物だと聞いておりますが、本当によろしいのですか?」
「まあ、確かに貴重ですね。造るとなると毎回、フェニックスとミスリルドラゴンを最低1日1回は討伐しなければいけませんが、今の俺なら油断さえしなければ、ダメージを受けずに時間もかからず倒せますから、まあ大丈夫でしょう。」
今度は長田さんたちが不思議そうな顔をして、長田さんが代表して聞いて来た。
「あのう、村田さん、フェニックスとミスリルドラゴンとは、何ですか?」
「何って、99階層とラスボスの事ですよ。」
全員が一斉に驚いた顔をして聞いて来た。
「いや、99階層はレッドドラゴンでしょう。」
「ラストボスはシルバーメタルドラゴンです。」
ん?話が嚙み合わないな。
!もしかして、
「戦う前に解析しましたか?」
「はい!、私がしました。」
加藤博子さんが手を挙げて即答した。
「解析では名前は何と?」
「それぞれ、レッドドラゴン、シルバーメタルドラゴンでした。」
「頭にメタルモって付いていなかった?」
加藤さんは少し考えた後
「そういえば頭に変身型ってありました。」
「じゃあ、同一個体のようだね。二体とも称号『試練を与えし者』だったから、単独での戦闘だった場合、変身してフェニックスとミスリルドラゴンになるんだよ。
おそらくだけど、『試練を与えし者』は何らかの形で探索者に試練を与えていて、条件を満たしていけば変身して試練を与えてくる。
俺の場合は単独で『試練を与えし者』を4体倒したから、称号『試練を乗り越えし者』を貰ったんだと思うよ。」
「・・・」
探索者達は何か考え込んでいる様になった。
俺は少し考えてから朝倉さんに聞いた
「朝倉さん、アイテム魔法と収納魔法の使い手のレベルは現在、どれ位の人数でどれくらいのレベルがいますか?」
朝倉さんは少し考えてから
「ここだけの話で内密にお願いします。
アイテム魔法の所持者は日本で、確認されている数は約50人足らずです。勿論、村田さんの様に申告していない人は除きますが、そして半数がレベル1でレベル3以上は10人、レベル4は3人です。」
「!}
思ったより少ない、と言う事は、もしかして
「・・収納魔法の使い手はどうですか?」
「現在、我々が把握しているのは、村田さんを含めて僅か3人だけです。
レベルも村田さん以外は二人ともレベル1のままです。」
「もしかして俺の予想通り、市販のアイテムボックスを造れる称号『アイテムボックスマスター』を持っているのって、日本で俺だけって事ですか?」
「村田さん勘違いしないでください。
現在、世界で貴方しかアイテムボックスマスターは存在しません。」
世界で自分にしか作れる技術って、日本には多いと聞いております。




