ようこそわが家へ
「お話を聞いた時は半信半疑でしたが、では、ここが?」
「ええ、ようこそ、我が家のダンジョンへ、お話の続きは我が家でしましょう。こちらです。」
俺は東京の八王子ダンジョンを経由して、朝倉さん、長田さんと彼のパーティーの、中川さん、高田さん、加藤さん、馬場さん、志田の7人と一緒に、我が家へ戻ってきた。
組合での会合で俺の称号が、アイテムボックスマスターだと名乗った時、朝倉さん、長田さんの二人だけでなく、隣の部屋で待機していた、職員たちに動揺が広がったのが見て取れた。
周りが少しざわついていたので、場所を変えようと言う話になり、それならばと八王子ダンジョンに向かってくれとお願いした。
車で移動する中で、お母ちゃんに電話で、お客さんを連れていくと伝えた後、俺が一度でも触ったセーブポイント間を、自由に行き来できるスキルを持っていると暴露した。
その説明をしている中で、長田さんは八王子ダンジョンにいる、彼のパーティーの仲間と確認したいとの事だったので、快く許可をした。
八王子ダンジョンで長田さんの部下であり仲間の5人と合流して紹介してもらった。
長田さんの仲間達は階級だと中川さんが長田さんと同期の警部補で、その他の人達は全員が巡査長だそうだ。
中川さんの名前は中川大輔と言い、長田さんと同期の35歳で八王子のアパートに奥さんと子供2人の4人で、くらしているそうだ。
長田さんと中川さんは主に肉弾戦を得意とする、戦闘スタイルと魔法構成だそうだ、
パーティーの中で前日の夕方、受付で俺に声を掛けていた、若い探索者がいたが、それが高田さんで、名前を高田幸男と言い、年齢は26歳の独身で火・水・風の3属性の魔法の使い手で、格闘戦でも長田さん、中川さんに引けを取らない実力者だそうだ。
尤も、長田さんから言わせると魔法構成が魔法職なので、どうしても肉弾戦だと自分たちと差がでてしまうだけだそうだが。
高田さんは身長は180cmの長身で、元イケメン大学生の高橋君と違った、野性味のあるタイプのイケメンだった。
加藤さんと志田さんは二人とも独身の女性で、高田さんと同期で年は26歳、ふたりとも160cm位の身長で、探索者の制服を着ていなければ、ごく普通のOLにしか見えなかった。
加藤博子さんは回復魔法と攻撃魔法の使い手で、どちらかというと攻撃魔法が得意との事だった。
志田優香さんも加藤さんと同じく、回復魔法と攻撃魔法の使い手で、彼女は回復魔法が得意でパーティーの中では一番の回復魔法の使い手だそうだ。
女性二人は後衛職ではあるが、加藤さんは剣道、志田さんは合気道となぎなたの使い手でもあるそうだ。
八王子から葛生市の我が家まで、セーブポイントで瞬間移動した俺達は、母屋に移動する事にしたのだが、中川さんは実際に葛生市にいるのを証明する報告するので、大平山ダンジョンへと通じる裏道を教えてやったら、大平山ダンジョンへ走って行ってしまった。
久しぶりに家族親族以外の大勢での来客だったが、床の間の大きい座卓に座布団を引いて、話の続きを行うことにした。
「東京でもお話した様に、俺は称号『アイテムボックスマスター』を持っています。そして、朝倉さんにもお話した様に、この称号によって日本の経済に影響をあたえるのは間違いありません。
何故ならば、現在ダンジョンの問題となっているダンジョン内の、ドロップアイテムの回収、搬送の効率の悪さを解決できる手段になるからです。」
「と言うと?」
俺は少し息を吸ったあと、
「アイテムボックスマスターの効果で、俺はアイテム魔法レベルエクストラ『アイテムボックス作成』と『アイテムボックス複製』を身につけた為、普通の探索者にアイテムボックスをアイテムとして供給する事が出来るからです。」
朝倉さんは納得した様に、独り言を言う声の大きさで、
「もしかしてと思いましたが、まさか、そんな事が・・。」
「だけど、これには問題が存在します。一つは材料の問題、これは俺に任せていただければ問題ありません。
二つめは製作費、どうやら皆さんの反応を見ると、アイテムボックスを作れるのは俺だけの様子ですね。
製作費は俺と要相談ですが、政府関係者も納得することが出来る価格だと思います。最大の問題なのは前の二つと密接した問題で、組合つまり政府機関に卸す値段と、政府機関が販売する値段、つまり国から見た原価と売価の問題です。
そして、俺が要求する販売希望価格を、絶対に値引きをしないで、販売して頂きたいと思います。」
朝倉さんは眉間に皺を寄せて、
「どれ位の販売価格になるのです?」
俺はワザとため息をした後で答えた
「まず一番規格が小さい物で、容量が収納魔法で言う処なら4M、つまり1辺4メートルの立方体の大きさで、3千万円の販売希望価格です。」
朝倉さんだけでなく、探索者チームのみなさん全員が、大きく目を見開いて驚いた、
「村田さん、それはいくらなんでも高すぎます!」
「そうでしょうか?」
「高すぎます、軽トラック2、3台分の容量で、その価格では買い手が着きませんし、何より暴利だと買い手から非難されるのではありませんか。」
「実際のアイテムボックスは空間レベルで四次元と考えていただければわかりますが、皆さんが考えているより無駄なスペースはありませんから、思っている以上に中に入ります。
ダンジョン内の輸送では絶対必要不可欠ですし、効率も格段によくなりますよ?
それに、暴利と言いますが、これでも良心的な値段設定だと思いますよ。」
「何処がです!」
「先程、暴利だと言いましたが俺の製作費は、ほとんどないに等しいですよ、むしろ、政府機関の方が暴利を貪る価格設定になります。」
「どういう意味ですか?」
俺は今度こそ本当の意味で溜息を憑き、アイテムボックスから品物を取り出しながら、
「材料に魔法金であるエルドラが、必要不可欠だからです。」
朝倉さんの前にスマートフォン位の大きさの最高規格64M純エルドラ製のカード、現在のエルドラの時価で最低でも1億2千万円以上する現物を置いて見せた。
「・・エルドラ・・・」
「納得して頂けたでしょうか?」




