俺に三つの僕(しもべ)は現われるのか?
作者はポセイドンが好きだった。
お母ちゃんの健康診断の結果から異常なしの太鼓判を押された、俺とお母ちゃんは、あんちゃん夫婦とささやかな焼肉パーティーを、あんちゃんの家で行った。
勿論、お肉はドロップアイテムの牛肉を使った、規格外品の最高級品で世間では、100g当たりウン十万円もし、ヒレ肉に至っては100g当たり100万円に届くかもしれない。
姪っ子たちには、国産銘柄黒毛和牛の最高ランクと誤魔化しているが、彼女達が成長したらネタバレするつもりでいた。
彼女達が大きくなって、彼氏が本物の最高ランクの和牛を、懐からおごって貰った時に、俺が原因で別れたらシャレにならないからである。
願わくば彼女達が、良き彼氏、良き夫に巡り合う事を叔父として切に願うのである。
思いのほか想像したより弱く感じた、地下40階層ボスを単独で攻略成功した俺だが、某大国の先鋭軍人を数百人は、どうして全滅したのか不思議である。
確かに強かったが、才能を溢れ厳しい訓練を受け、俺が毎朝やっている太極拳が、盛んな某大国の先鋭が、実に不思議だ。
まあ、近いうちにベヒモス討伐成功を発表するだろう。
いや、実は以外と攻略成功して、他の国を油断させている可能性が、むしろ高いな。
うん、きっとそうだ、そうに違いない。
難しい事は政治家さん達に任せて、俺はベヒモス戦の成果を検証しよう。
まずはドロップアイテム『万能治療薬』、現在アイテムボックスの中で、万能治療薬と万能治療薬2が各種1個ずつある。
万能治療薬はアイテム魔法として使用でき、解析では分解不可のアイテムの為、ポーション同様もっとも基本的なアイテムなのだろう。
世の中には、俺と同じく喉から手が出る程、欲している人は山程いるだろうが、残念ながら俺の心の健康の為、家庭の平和の為、簡単には世に出すわけにはいかない。
それにしてもベヒモスを倒したと言うのに、俺は相変わらずビビリなのだ。
これは自信を持って言える。
魔物相手なら怖いけど何とか戦えるんだけど、他人が相手だと、どうしても気持ちが乗らない。
でも少し胆力がついたから、相手のペースに乗らずに、自分のペースで渡り歩けば何とかなるかも知れない。
それと理不尽だと思うのは、どうしてレベルアップしても、記憶力とか計算能力は上がらないんだろう。
『記憶』スキルはダンジョン限定の、ダンジョン関連のスキルだから、日常の生活には何のサポートにもならない。
レベルアップして考えるスピードは速いのだが、簡単な加減算なら良いが、人とのコミュニケーション能力が、優れているわけではない。
日常会話に戦闘時の思考速度、反射速度は必要ないので、これまた宝の持ち腐れのような気がする。
『収納魔法レベル2 8K』、これは単純に拡張しただけで、アイテムボックスの容量だけが、単純に4Kと比べて8倍増えただけ、ただでさえ持て余しているのに、更に増やしてどうするんだ。
でも最近は少し慣れて、アイテム魔法用保存欄、アイテム、魔石、武器・防具類、鉱物資源と場所を決めて整理しているから、まるで、ゲームのアイテムボックスみたく、扱える様になった。
後はお母ちゃんに見られたくないコレクションも整理できたし、まあ悪い事だけじゃあないけど。
そしてスキル『サイコキネシス』と『レビテーション』。
この二つは正直言って微妙に繊細なスキルで、何と言うかアイテムボックスの外側(?)を、自分の思考でコントロールする感じのスキルだった。
ベヒモスが使っていたので、予想はしていたが、攻撃手段としては全く使えない。
サイコキネシスで水の入ったガラスのコップを、持ち上げたり、落ちてくるのを受け止めたりするのは出来るが、割ったり、粉々にしようと力を加えたが、キズ一つ付けることが出来ない。
またサイコキネシスは、視線ではなく意識を向けてとらえないと発動しない、その為、出来れば視線でとらえて使った方が力が強いので使い所が難しい。
サイコキネシスを複数の物体を持ち上げたり、重い物を持ち上げる為に強めたりするのに、意識を集中させるため、視線と手で離れた物を持ち上げる動作を行うと、より強く、より効率よく使用する事が出来る。
またサイコキネシスは魔法との併用は、予想した通り無理だった。
レビテーションだが、サイコキネシスと同一のスキルと思ったが、全くの別物で自分の体に意識を向ければ比較的、簡単に発動できる。
今の俺ではレビテーションを続けながらの、魔法の併用は無理だが、魔法自体がキャンセルが掛かった感じがしなかった。
そこでレビテーションが自分の足場に一瞬だけ発動するようなイメージで、空中を階段を駆け上がる様に、走り廻るようにしながらの魔法だったら、今のところブリット系の魔法なら何とか発動した。
今後の課題はレビテーションを、無意識に当たり前の様に出来るようにすれば、強力な魔法も使え、戦い方にも幅が大きくなるだろう。
だが、一つだけ懸念がある。
何故、この二つのスキルは組合・民間のダンジョン関係のホームページには載っていないんだ?
超能力、なんて甘美な響きなんでしょう。
作者は中学生の頃は勿論、透視能力が欲しかった。




