こんなの普通は、農家の物置の裏に生えてこないでしょ
主人公の親兄弟と人間関係の良さが、書けたと思う。
長年に渡り、勤めて来た会社を退職して、俺は一緒に暮らしている母親、村田光子(67歳)と、自宅の前にある畑の手伝いや、自宅周り・裏山・自宅前から、近くの市道につながる100メートル程の私道の、草刈り・除草剤散布・手入れして半月程過ごしていた。
俺の父は、5年前に他界し母とは、二人暮らしをしている。兄・村田光太郎(46歳)は、結婚して市街を通り抜けて、市の西側の開けた場所に、義理の姉・村田明子(44歳)と中学生と小学生の姪っ子の4人で、一戸建ての自宅に住んでいる。父が亡くなった時、相続で兄は、2車線の国道と市の環線道路が、交差する田んぼを相続し、そこに大手のコンビニ(駐車場大型4台・普通車36台)を、建てて家賃収入と、会社員である夫婦の給料で、貯蓄・生活をしている。兄は自分が一番良いところを、相続したのを気にしたのか、残りは俺に譲ってくれた。
俺は独身者だったし、『家族を養っている兄には、俺には解らない苦労をしている。』と思っていたので、全く気にしていなかった。兄夫婦も俺の本心を理解していたので、骨肉の争いには、ならなかった。
4年前、兄は俺の事を思って、幹線道路沿いの、水はけの良い田んぼに、テレビコマーシャルで、見たことのある35年一括借り上げの、大手建託のアパートを建てる事を勧めてくれた。
2LDK家賃5万円の8部屋のアパートを4棟、家賃は大手建託から、毎月、俺の銀行口座に振り込まれていたが、俺は固定資産税や、自動車税などの税金を支払う以外、老後の生活のため貯蓄に廻していた。
とは言え、会社をやめた俺は、日々の生活費や固定費に、余裕があるわけでは、ないので次の仕事を探す事にしていた。なにより仕事があるのは、素晴らしいし、現金収入があった方が心強い。
退職して2週間余り経った、ある日曜日の朝、家の敷地内、2階建ての物置の裏に、見慣れない1辺5メートルの立方体の岩を見つけた。裏山の岩に溶け込んで、始めから、そこに存在していたかの様に。
世間から遅れる事ひと月余り、テレビで見るより幅・奥行き・高さが、10分の1大きさのダンジョンが、家の敷地内に、世間から隠れるように、姿を現した。
次話でいよいよダンジョン侵入(だけど地上部分だけ・魔物は描きません)