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口が災いをもたらすのならば、そのときは沈黙が正解

地下40階層ボスの能力の一端が分かるエピソードです。


ベヒモスとの戦いの後、地上に戻った俺はアイテム魔法で、悪性腫瘍を完治した、お母ちゃんに全部話した。

レベルアップした悪性進化新生物の事、安易にお母ちゃんをダンジョンに入れてしまった事、お母ちゃんの様子に気が付かなかった事、苦しかった事、今までの事、お母ちゃんに生きていて欲しかった事、ベヒモスの事、万能治療薬の事、お母ちゃんの今の体の事、話した色々な思いがこみ上げて、全部、お母ちゃんは黙って、俺の話を聞いてくれた。


「まずは、勇次郎、ありがとう、お前の様子が昨日の夕方から、おかしいと思ったけど、その様子だと私は本当に癌だったみたいね。

一応、病院で健康診断と検査を、来週にでもうけてみるわ。

それに、お前にとっても、その方があんしんでしょ?」


「うん、実は俺もその事を考えてた。」


「それから、私に負い目を感じる必要はないわ。

癌だと気が付かなかったのは、今まで健康診断を受けなっかった、私に責任があるのよ。

4月の始めに来た市からの手紙を無視して、受けなかったんだもの。」


「・・・」


「それに、お前は私を助けてくれたのよ、少しは胸をはってもいいのよ。

勿論、ベヒモス?だったかしら、それと戦うなんて、私が前もって知っていたら絶対にお前をとめたもの。

お前だって、その事が判っていたから、黙って行ったんでしょ。」


「うん。」


「だったら、『結果良ければ全て良し』よね。」


「うん。」


「・・・ねえ、勇次郎、貴方は多分だけど、もしかしてダンジョンを、これからも一人で攻略するつもりなの?」


「うん」


「じゃあ、あらためて聞くけど、どうして一人でやるの。

誰かと攻略してもいいんじゃあないの?」


「俺、皆と違って何かを成し遂げたい。という証が必要なんだよ。

だけど、多分、俺は死ぬまでヘタレは治らないと思う、レベルアップしても全然、変わらないし、頭も良くならないし、口下手も全然、進歩しない。

俺だって死にたくないし、死ぬつもりもない、痛いのはヤダし、逃げる時は逃げるつもり、本当に駄目だったら、素直に諦めるよ。

だから、お母ちゃん、このままダンジョンに挑戦させて、お願い!」


「わかったわ、でも、家は家、他所は他所よ、絶対に無理はしない事、なるべく怪我はしない事、それがじょうけんよ。」


「うん」


「じゃあ、あらためて、本当にありがとう。

勇次郎、お前は私の自慢の息子よ。」









東京  霞が関


「結局、某大国は500名の犠牲の後、攻略をいったん先送りにするようだな。」


「某大国だけではありませんよ、隣のK国と北も40階層ボスまでたどり着けていないんですから。」


「北は収容所の人間がメインだから仕方がないが、K国はネットゲームが盛んだから、てっきり、もう少しすすんでいると思ったが。」


「そう簡単にはいかないだろうね、どういう理由かは分からないが、魔法の適正が日本と違って、男女差、タイプ別で偏っている。

K国は、いわゆる戦士型と攻撃型に極端に偏っている、回復型と補助型ですらレア扱いだ。

しかも、後者のタイプはK国の場合、女性に比率が多い、色々と神経を使わなければならないし、一つのチームの男女比が偏っていれば、自ずと問題も発生しやすい。」


「しかも、鑑定持ちに至っては、最前線で戦わせる程、余裕はなさそうだし、わが国の様に比較的バランス良く存在するわけではない。」


「その癖、それがわが国の責任だ等と言う奴も現れる始末だ、尤もK国の国民でも流石に、そんな意見に乗る様な馬鹿は少ないがね。」


「ところで、『神託』持ちは、世界にどれくらいの数がいるのですか?」


「どの国でも極秘扱いだ、我々だって把握している訳ではない。

自国の所有者の名前さえ一部の者しか知らないのだから、当然、我々の中で誰が知っているのか分からないし、それ以外の者には知る権利さえない。」


「ベヒモスの公式発表の件ですが、本当にあれでよかったのですか?」


「別に嘘は言っていないし、実際にあのデータは正確だ、米国や英国・ロシアも似た様ものだったし、各国だって了承をしていたから問題はない。」


「そうだな、確かにあのデータは間違っていない、八名で挑めばレベルは48、三百人で挑めばレベルは340、五百人で挑めば540と変化・進化をするかもしれないが、確認のしようがない。」


「それに実際に八人のチームで挑んで、犠牲が出ても我々に責任を擦り付けてくるかもしれないから、この場合、沈黙が正解だな。」


「それと魔石の件ですが、各大学や研究チームが面白い事を発見したそうです。

実は魔石を・・・・・・だそうです。」


「それは凄い。」


「只、それには色々と問題が山積みでして、実用化しても今度はダンジョン内の輸送が、どうしてもネックになるんですよ。」


「やはり、そこが一番の問題か、全く頭の痛くなる話だ。」











40階層ボスの特殊性は、初期設定のままにしました。


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